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当日

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「我、ミーナ・レジェン・カセンドラーは、
ユリ・シライ・カセンドラーに誓う。
ユリ・シライをずっと愛し慈しみ、
生涯、来世以降も守り抜く事を誓う。」
「わ、我、ユリ・シライ・カセンドラーは、
にミーナ・レジェン・カセンドラーに誓う。
ミーナ・レジェン・カセンドラーを
愛し、慈しみ、わ、私を全てあげます。」
グフっ。
ぎゅー、ちゅ。

「あ、あのー、誓いのキスは、
私の言葉の後に…まっ、いいか。」
少し呆れた様子の神官を尻目に、
二人の世界に入り込んだ、ミーナは
ユリに長すぎる誓いの口付けをしていた。

「誓い言魂と誓いの口付けを交わした事により
ミーナ・レジェン・カセンドラーと
ユリ・シライ・カセンドラーの
婚姻をここに結びます。幾久の幸福が
降り注ぎますように。」

2人の祝福ムードに押されながら
たくさんの拍手で気がついたユリは
顔が赤く火照り足に力が入らなかった。
口付け途中で、いつの間か
お姫様抱っこになり、神官の
わざとらしい咳で、ミーナは
名残り惜しそうに口づけをやめた。

この国の第五王子の婚姻は多少の
アクシデントはあったものの
1日目の儀式を無事終えることとなった。

初夜は、ユリが気絶するまで続き
なかなか部屋から出ない2人に、
周りは振り回されるアクシデントは
あったものの、2日目の儀式は少し
遅れ気味に執り行われた。


疲労じゃなくて、披露宴2日目。
ユリとイチャイチャしたいしかめっ面の
ミーナと、そんなミーナを凛々しいと
思っているゆり。
各国からの賓客に挨拶もそこそこに
引きこもりたいミーナは、こういう時の
神頼みと思い、変態…シン、神と
長官のマキに、お願いをした。

「最低限の受け答え、飲み食い出来る
影を出してくれ、頼む。」
ミーナらしい頼み方をされた長官、マキは
引き換えに、
「こいつを何とかしてくれるなら、
引き受ける。」
と、マキに対して執着心の塊の神を指さしした。
流石のミーナも、一応、神だしユリと
回収者の"かい"を助けてくれた1人を
何とかは、出来ないと思った。ところが
「マキさん、本当に嫌ならキッパリ
言葉で言った方がいいよ。」
「な、な、何回も嫌って言ってるわよ。」
「完全には、嫌ってないようにみえるよ。
その、神さまもマキさんに殴られたり
蹴られたりするのを、楽しんでるように
みえるよ。」

「「変態だからだ(よ)。」」
「……。」

「なんだか上手く言えないけど、マキさんと
変態の神さま、楽しんでるように見えるわ。」
「冗談じゃないわ。なんで、
こんな嘘つき変態、執事…神が私に…。」
「まぁちゃん、分身だった僕も本物の
僕もまぁちゃんが好き。好きすぎて、
まあちゃんの髪の毛、脱いだ服、
使い終わった……。」
ドカッ。
「「「……。」」」

「2人が話し合うといい様な気もするが、
よかったら、俺らが間に入ろうか?」

こんなやりとりがあり、話し合いの間
ちょっと違う願いの叶い方だったけど、
披露‥疲労宴に本物、披露宴会場には
分身を置くことになってしまった。

結婚式から6日目の朝だった。

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