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3日目 パート2

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私は、誠一様と呼ばれる方と救急車に、
乗り込み 病院に運ばれました。

「あの、すみませんでした。ありがとうございます。
わ、私は山野さくらと、申します。」
「朝竹誠一だ。なぜだ?」
えっ?なぜ?って何が、なぜ?
なぜか、イラつかれてる。
「ごめんなさい、あさだけさん。」
「あさだけ、じゃなく、あさたけだ。
しかも朝竹は、会社に数人いるから、
せいいちって呼べ。」

「ありがとうございます。誠一さん。」
「で、なぜだ?」
「えっ?何が?」
「早く言え。なぜ 車に飛び出した?
なんか、イヤなコト、あったのか?」

勘違いされてる?
「ち、違います。ただ私、ボーっと
歩いてただけで、家探してだだけで…。
なかなか、見つけれなかったから…。」
「そうか、わかった。」

険しい顔をさらに、険しくさせた誠一さんは、
イケメンなんだろうけど、少し怖く感じました。

病院に着き、しばらくすると治療を受けました。
軽い打撲と、足に擦り傷。
むち打ちにもなるだろうから、
安静にするよう言われました。
古傷と重なった感じで、また傷が出来ました。

誠一さんはなんと、右足を骨折。
全身打撲、むち打ち。
私より酷い状態でした。
歩いてたよね?骨折した足で?あれ?

警察も病院に着いたようで、事情聴取されました。
誠一さんに助けてもらった事などを
話し、ボーっと歩いていただけなので、
「あまり、覚えてません。」と答えました。

車の運転手は、倉田さんが、
ナンバープレートを記憶してくれていたので、
すぐに捕まりました。
偶然にも、酒気帯びでした。

名前、年齢、住所…は、不詳だと、
まずいので所長、新聞屋さんの住所にしました。
建て替えの為、アパートを追い出され、
以前お世話になった 新聞屋さんの
事務所のご好意で、仮住まいの事も、
警察に話しました。

しばらくすると、
「大丈夫か?」
所長が、迎えに来てくれました。
なんだか安心してしまい、泣きそうになりました。
知り合いってだけで、なぜか安心する。
「嫁から連絡受けてきたんだ。事故ったって 
聞いて、心配したよ。」
「嫁?あっ、看護士さん、木村さんって、
名札に書いてた。」
「そうそう。ここで、嫁さん働いてるんだ。」

バタバタバタ。
「病院は、走らないで下さい。」
遠くで足音と、注意されてる声が聞こえてきました。

足音が、近づいてきました。
「山野さん、大丈夫?」
「よかった、生きてる。生きてたわ。」
加藤さんと松本さんが、駆けつけてくれました。
松本さんに、ぎゅうぎゅう、抱きしめられ
地味に痛いです。
「うっ。」

ぎゅうぎゅうの次は、体を前後に、
ガクガクされました。
「大丈夫なの?無事だったのね。よかったぁ。
警察から、事務所に電話をもらっって、
急いできたのよ。もぉー、
生きた心地しなかったわよー。」

「患者さんを、揺さぶらないで下さい。
この子は安静にしないと、いけないのよ。
松本さん、お久しぶり。」
「あらまあ、木村さんの奥さんじゃない。
お久しぶりねぇ。元気にしてたぁ?」

「失礼ですがこちらの、山野様の保護者という事で、
よろしいでしょうか?私、倉田と申します。」
倉田さんと所長達は、名刺交換をしながら、
色々話をしていました。

「お前の携帯番号、教えろ。」

誠一さんに、番号を聞かれましたが
携帯を持った事がない事を伝えると、驚かれました。
「今までどんな、生活をしてたんだ?」

メモ用紙に、誠一さんの携帯番号が
書かれていました。
郵便物は特にないし、仕事は、ハローワークに、
こまめに行ってたから、連絡に、
そんなに、不便さはありませんでした。
三ヶ月短期の派遣のお仕事で、
携帯を貸与されていたけど、自分からかけた事は、
ありませんでした。

手続きや色々終わり、所長の車で、
新聞社に戻り、今日はもう、
ゆっくり休む事にしました。

倉田さんというおじ様は、誠一さん秘書だそうで、
誠一さんは、なんと会社の社長さんだと知りました。
しかも翌日の、新聞で知りました。
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