上 下
204 / 225

第204話 剥奪

しおりを挟む
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
バグド・ガス元伯爵の罪状。

強要、強姦、猥せつ、恐喝、詐欺行為、
水増し、殺人未遂、殺人、名誉毀損、
器物破損、文章偽造及び破損、
盗品等関与、窃盗、強盗教唆 、誘導
建物不法侵入及び破損、不法滞在、
獣人,獣族,人族,魔族売買、誘拐、監禁、
横領、傷害、暴行、遺棄、恥辱、
癒の月23日現在、確定罪状。
追加余罪あり。

剣とフクロウの伯爵位、剥奪および、
終身特別強制労働。

アルヴァン王国 第1騎獣隊団長第3王子
ジョルジュ・ルーシェ・アルヴァン、記入
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
調べるたび、面白いほど出てくる罪状。
証拠品が、わかりやすい所にあるので、
立ち入り調査の新人教育に、ちょうど
いい場所かもしれない。と思うほど、
定番の場所から、次々と出てきた。

主人の部屋から、隠し通路が発見され、
地下通路になっていた。
地下牢には、数人の見た目が良さげな
獣人族、獣族、魔族?人族が、数人
ずつ、閉じ込められていた。
皆、栄養状態が悪く、身体には
無数の傷、噛み跡までついてた。
ほとんどの者が、服を身につけて
いなかった。
もとは、シーツらしき布切れを、
裂いたものを、数人で使っている
様だった。

おまけに、ご丁寧な、わかりやすい
足かせ、手かせ付き。
何名かは、瀕死状態。
数人、亡くなっていた。
カビや、汚物のひどい臭い、
それをごまかす為なのか、臭い
香水の匂いで、悪臭が漂っていた。
地下牢の奥には、拷問の跡だろうか?
血の匂い、排泄物に混じり、
ヤローの体液らしきものもあった。

急いでこの、館のシーツや布を
保護した者達に与え、回復薬を
入れたスープを与えたり、
瀕死状態の者たちには、4分の1に
割った回復薬を、直接口に入れた。
傷などは、たちまち消え、
スープを自力で、食べれるまで、
回復した。

発見した時には、元伯爵ヤローに、
拷問したくなったくらいだった。
あと数十発、殴っとけば、
よかった。
なぜ、数発しか殴らなかったのか、
自分でも不思議なくらいだ。
殴る価値もないと、無理矢理、
理由をくっつけて、俺は自分を、
落ち着かせていた。

自分の息子のカイザも、立ち入り調査を
手伝っていたが、あまりにも、
わかりやすい証拠品が出るので、
わざとか、黒幕が、いるのかと
カイザも、怪しいと思ったそうだ。
今はまだ、黒幕の調査中だ。

弓矢が、得意な少女に、どう話を
切り出そうか、考えていた。
罪状や、事実はそのまま伝えるが、
どこまで話すか、正直、迷っていた。
また、辛いことを思い出すだろうし、
心のケアを、どうしたらいいか、
わからなかった。
我が子の様に、思えるし、
可愛がりすぎても、変に思われる
だろうか?

俺は難しい顔をしていたらしい。
カイザは、表情を読み取り、
ケアを僕たち兄弟姉妹がするよと
申し出てくれたのだった。
しおりを挟む

処理中です...