十二食堂

カヨワイさつき

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オープン初日

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あまり宣伝してないけど、いいかな?
店長は、早々と寝てしまい、まだ
真っ暗な深夜に起きてしまった。

店長は思い付いた。
そうだ!魚釣りに行こう!!
竿を持ち、エサ屋さんで買い物し
いざ、広い海原へ……。
足場のいい、コンクリートの地面、
あみエビを餌にまき餌、サビキ釣り。
入れ食いだった。
気づけば空は明るく、大型クーラーには
満杯になるほどの小魚が入っていた。
エサもなくなり、ホクホク顔で
帰り、シャワー浴びて新店舗に移動した。

大小さまざまな魚の下処理。
一部は味噌煮、
一部は天ぷら用、南蛮漬け。
焼き魚用。

気づけば夕暮れ時だった。
両親も交えてのお世話になった人たちを、
招いた開店祝いをした。
煮物各種、おでん、肉団子、ナンコツからあげ
鳥もも肉の唐揚げ、串揚げ、天ぷら各種
あとは、焼き物各種だった。
「おめでとうございます。」
「開店おめでとう。」
「変わったお店だけど、メニュー表ないの?」

メニュー表?
そんなの……ただ忘れてただけさ。
あはは。

「毎日書こうかなって、思って……。」
そんなのウソだ。忘れてただけだ。
「おお。毎日日替わりって感じなのか?」
日替わり……。うん、それもいいかな?
「まあ、その日の仕入れとか、
その日の気分次第で、お客様の
リクエストに答えて作りたいなぁって……。」
あはは……。
「それは、すごいね。まあ、あんななら
出来そうね。頑張ってね。」
どーも?まあ、がんばるよ。
「ありがとう。」
時間は刻々と過ぎ、夕食時……。
「あのぉー、オープニング?
十二食堂ってこちらですか?」
「はい、いらっしゃいませ。
お客様第1号、あっ第2号ゲット!!」
「えっ?」

ヤバっ!!
心の声がもれてしまっちゃった、えへ。
「へぇー、あ~、あの大工さんの
お知り合いなんですね。ありがとう。
リクエストあれば、お作りしますよ。」
「あっ、いえ。匂いに釣られただけで、
お客ではないので、すみません……。」
「……ママぁ。お腹すいた、保育園に
行かないの?」
「あっ、あっそうね、ごめんごめん。」
「……。」

このお客様の身なりからして、
おみずって感じ?子どもは着古した洋服。
すぐ近くに24時間保育があるけれど、
お腹を空かせたまま登園?
ご飯を保育園で食べるの?
「ママァ、ご飯食べていい?」
「あっ、お外で食べましょ、す、すみません。
おじゃましました。」
ぐぅ~……。
顔を赤らめながら出て行こうとする
痩せた母子。
食べたがっていた物、小さな子どもが
トートバックから取り出した食べ物。
スーパーの値引きシールが貼られた
一番安いと思われるおにぎり……。

「ちょっと、まてぇーい!!」
「ひゃぁ、ご、ごめんなさい。
今お給料前でもちあわせ……。」
「ちがいます!!出勤まで、時間はあるの?」
「は、はい。」
「どれくらい時間あるの?」
「……1時間ちょっとは。」
「それなら充分。はいはい、お客様
第1号様、第2号様ご案内!
さあ、何、食べたい?」
「ん~わかんない……でも、おにぎり
食べていい?」
「あっ、ルナ。こら持ち込みはダメ。」
「え~、でもママご馳走前、"そこっぱら?"
入れてから食べないと、お外ご飯は
高いから、いっぱい食べちゃ……むぐっ。」
痩せた母親は、子どもの口をふさいだ。
「「「「「……。」」」」」
「ルナ。もう行くわよ!!」
母親は顔を赤くし、出て行こうとした。
「待ちなさい。今日は開店初日、
オープニング。しかも、貴方達は
私の大切なお客様1号様と2号様なの、
はい、これは当店からのサービス。
お代は無料です。ごひいきに。」
「……。」
「わぁ、ママ、これごちそう、すごい。
今日は、誰かのお誕生日なの?」
「あら、エラいわね。このお店の
誕生日なのよ。」

お皿にはチキンライス、卵焼き、
唐揚げ、エビの天ぷら、タコさんウインナー、
ミニハンバーグが乗っていた。
「足りなかったら、ここのはバイキングで
自分でとって食べていいわよー。」
「うわぁぁぁ、ママ、このお店
夢みたいなお店だよー。誕生日って
すごいご馳走の日なんだね。」
母親は、目に涙を浮かべながら
小さな女の子とご飯を食べていた。
「ここは夜開店で朝方までしている
お店よ。余ったらもったいないし、
朝ごはんも、サービスするから
あなた達1号と2号、朝ごはん
必ず食べに来なさいよね!!」

本日釣った、お魚たちも
しっかり入っていたバイキング形式の
初日でした。

料金設定?
考えるの、めんどくさ…っ!!
その人に合わせた料金かな?
100円以上1000円以内?
お客様3号、4号それ以後は順調で
南蛮漬けも、唐揚げ系も大好評だった。
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