上 下
14 / 40

12、癒しの魔法

しおりを挟む
***クロード目線***

朝から胸騒ぎがした。
俺の可愛い小さなチアキがそばにいない。
寂しいし、心苦しい。
チアキと出逢うまではこんな事
なかったのに、俺はおかしくなったのか?
あと1日もあるなんて、長すぎる!
この俺が独り寝が寂しいだなんて、な。
……いつぶりだろうか?
決して幼児好きという変な性癖を
持ってるわけじゃない。
チアキとやりたいとかの変態ではない。
チアキがチアキだから好きなのだ。
チアキと出逢ってしまった瞬間、
魅力されたかなように心の大半が
チアキで埋め尽くされただけだ。
自分に子はいないがチアキがもし
自分の子ならば、父性愛っぽいのか?
何だか違う気がするが、チアキが
好き!という気持ちは間違いない!!
それだけは断言出来る!
時折、チアキは幼児とは思えない発言や
行動は多々あり驚くことばかりだが
もし本当に神の子だとしたら、納得いく。
もしかすると長命種族の人型の
神族かもしれない。
はるか昔に存在したらしい
神話級の種族かもしれない。
そうなるとこの町の町長のそう祖母も
もしかすると同じなのかもしれない。
はあ~。今すぐチアキに逢いたい。
一瞬たりとも離れたくない。
俺はおかしくなったかもしれない。

早起きして、メロリラたちの部屋に
行こうかどうか迷っているうちに
朝食の時間になっていた。
俺はどれだけ迷っていたんだ?
思わず笑ってしまった。
可愛いチアキに恒例のキスをして
言葉がわかるようにした。
本当は手など身体に触れ独自の
魔力をのせたら出来るんだけど、
それは内緒。
俺がチアキにキスをしたいんだ。
効率もいいから、良しとしよう。

朝食を済ませ、可愛いチアキが
なぜか行きたがっていた教会に到着した。
……2人で居たかった。
小さな町の割には立派な仕掛けの教会だ。
かなりの魔力を帯びたこの教会は
王都のお城並みの防御力が張られている。
いざとなれば100人にも満たない
町人と冒険者たちはこの教会に
避難できるだろう。
あと、ヒビーキ町長のそう祖母は
この町の軌跡の少女とも言われていた。
その少女が書いた書物は誰も読めず、
異国の姫とか世界を渡った姫とも言われている。
その姫が亡くなった後も、この町を
守っているから驚きだ。
その少女こそが、ヒビーキ町長のそう祖母だ。
町長の兄がギルドマスターで
父母と妹が宿を経営。
一族経営というやつだな。
この町を敵に回したら怖い。
俺が王族である事も、薄々
感づいているかもしれない。
やはり仲間に、俺だけ"様"呼びを
やめてもらおうか?
今更やめたら変に思われるだろうか?

先程の痩せた子どもだが、見た感じ
10歳くらいだろうか?
隣村?確かニウェン村って名前だったな。
小さな村だから、休憩の場にするにも
(討伐隊は)大所帯だからいつも
素通りしていた村だ。
念の為、遠くから様子を伺って
困っていないか見回る程度だった。
現状を知るためにも数人で
探った方がよさそうだな。
ここから村まで馬で半刻(約1時間)
一旦森に行き狩りをしてから
小さな荷馬車で二ウェンに入ろう。
状況によって一泊……。
チアキと離れたくない!
だが、あみだくじの結果俺が
チアキと一緒に寝れるのは明日だ。
今日も独り寝だ。さみしい!
くそっ!!
今すぐ準備して夕方までに村に入ろう。
数年前の村長は、若い息子に
村長として教育していたし
わりと話がわかる男だったはず。
何かが起きたのか?
母子で命からがら逃げてきた村民。
近くの森に逃げ込んでも
母子を追い詰めなければいけないほど
何かの秘密を握ってるのか?
この子だけでも助かったから
良かったが、何が起きてるんだ?

かなり衰弱して居たらしいが
司教と神官が交代で癒やして
傷もだいぶ良くなったそうだ。
横たわる子どもをチアキが見ていた。
チアキは俺から降りると小さな手を
子どものおでこに当てた。

チアキから膨大な魔力を感じた。
魔力防御の魔具は付けてるはず?!
暴発か?っと思い身構えたが違った。
あたたかくて、柔らかさを感じる魔法。
チアキの身体が光を帯びていた。
チアキの小さな手から子どもに
ゆっくり染み込む様な優しい魔力。
癒しの魔法?
あと、何だ?
黒いモヤのようなものが子どもから
出てきたと思ったらチアキに
触れると消えていった?!
ま、まさか浄化?呪があったのか?
「奇跡か?」
「……神の遣い。」
マズイ!この光や黒いモヤが
司教や神官たちにも見えたらしい。
エミリア司教たちはひざまづいて
祈りを捧げていた。
神の申し子……。
国や神殿にチアキが囚われる。
ダメだ。なんとか阻止しないと。

しばらく誰も話さなかった。
子どもの肌は健康的な色になり
傷が癒えていた。
エメラルドグリーンの目からは
涙が出ていた。
「……暖かい。」
かすれていたが子どもが
初めて声を発した。
司教たちも驚いた顔をしていた。
「君、何をしたんだ?!」
可愛い私のチアキに詰め寄った
エミリア司教に怯えたのか
俺にしがみついてきたチアキは
可愛かった。
優越感に浸ったのも束の間

「ま、魔力量がすごいと思っていたが
魔族並みの…いやそれ以上の……。」
「……。」
エミリア司教たちに口止めが必要だ。
神の申し子かもしれないチアキにも
事情を聞かなければいけない。
話してくれるだろうか?
まだ、数日だが俺を信用してくれるだろうか?
村に行く前に司教と話さなければいけない。
だが、俺がチアキから離れたら
チアキが危ないかもしれない。
どうすればいいんだ?
しおりを挟む

処理中です...