【完結・R18】28歳の俺は異世界で保育士の仕事引き受けましたが、何やらおかしな事になりそうです。

カヨワイさつき

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第一章 2人の約束

7、総帥目線

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*ナオクル・チロメドゥル目線

リストン王国は新しい国王とともに
2人の浄化の神子の提案で近衛騎士団と
国内を東西南北という方角の呼び名で呼び、
大きく4つに分けたのだ。
同様に騎士団も4つに分けたのが10年前。
それに伴い役割分担も明確にし、いいのか
悪いのかわからない面倒な規則も作ったらしい。
そして、4つの騎士団と主に城の警護や
王の護衛をする近衛騎士団を束ねるのが
いつのまにか私の仕事になっていた。
適当に返事したら、仕事を押し付けられた感じだ。
肩書きは"総帥"、神子が来る前から
総帥だったが、「この国に居てくれるだけで
安心する。」と言った者も早々と老衰で
亡くなっていったのだ。
泣き虫で意地っぱりな"あいつ"も、
めんどくさいと言いながら、
決まり事を作っていたな。
フッ…。
それからはバカの一つ覚えのように
この国に居続け、残された館には
年に数回立ち寄るだけで、不自由はないか
他の者を住まわせた。
何に対しても関心を持てず、見様見真似の
偽善をしながら長い間、城の一室を
占領していたのだ。
たまに部屋を訪れる者は、私をみて
萎縮しながら報告書を置いていく。
会話もそこそこに……。

今朝方とある騎士団の団長から報告が届いた。
神樹の森、カナップ領、そして
ボイニー王国の3つが重なり合う場所、
その付近に瘴気が発生したと
報告されたのだ。
普段なら団長からの報告と共に、現国王に
報告し、浄化の神子が作った浄化の魔石を
持ち出す許可を出すという流れになる。
報告、連絡、相談?指示。
会話していないから相談は……ないな。
神子いわく、"ホウレンソウ"というらしいが
薬草も野菜も私には必要性をあまり感じない。

浄化の神子のお陰で新しい魔道具が
開発されたおかげで、魔力が少ない者とも
煩わしい手続きの無駄が省け
指示が出しやすくなったのだ。
マーチン・メルディ・リストン、
現在の国王の10年目という節目に、
2人の神子たちも祝賀会とやらの
準備に王城に居たのだ。
国内外の者が祝いの為リストン国に
押し寄せている最中に"濃い瘴気"。
早々に片付ける必要があった。

「ナオクルさん、俺が浄化しに行きます。」
「マコト様、自ら行かずとも……。」
私の言葉を遮るようにマコト様は
笑顔とともに言葉を紡いだ。
「魔石作りばかりで飽きちゃった。」
「……。」
「たまには、お外で身体を動かして
色々しないと身体が鈍るから行ってくるよ。」
「……私も行こう。」
「えっ?!」
何やら驚いているが、"たまには身体を
動かさないと鈍る"と言ったから私も
動かそうと思っただけだ。
念のため騎士団長に連絡を入れ
"信頼できる数人"に集まって貰った。
久々に身体を動かすからか、所々
魔力溜まりが出来ていた。
軽く魔力を使うつもりで転移装置は使わず
まだ若い浄化の神子、マコト様とともに
カナップ領主の家についた。
久々に使った魔力は湧き上がり
溢れかえる魔力に皆がひいてる気がした。
まあ、いつもの事か……。

もう1人の浄化の神子ハルト様は
カナップ侯爵の次男と婚姻を結び
妊夫中の為、お城で待機中だ。
魔力を溜めないといけない時期だし、
魔力が不足するとお腹の子も産む者も
危なくなるらしい。
生き物が多く集まる場所に、
瘴気は生まれやすいが、
コレは異常だ。
早々に片付けないと。
なぜか胸辺りがザワザワした。
出迎えてくれた侯爵の丁寧すぎる
挨拶を断り現地に向かった。

悪い思念や執念、負の感情が瘴気の
原因だろうと呼ばれている。
たしかに重苦しい空気にも思えるが
よくわからない。
負の感情には正の感情。
楽しい事や前向きな事を考えたら
いいらしい。
"今日、久々に部屋を出た。"
"人と、久々に話した。"
"マコト様が話しかけてくれた。"
あとは、騎士団団長に"直接、声を届けた。"
頭の中に直接だから驚いたのか、"はい"しか
返事はなかったが、なぜかイタズラが
成功した時のような感じがした。
今のところいい事は4つだ。
多いのか少ないのかはわからないが、
俺から瘴気が生まれる事がないように
願おう。人族や獣人に人気の
チャベツ神にでも、願おうか?

浄化がひと段落ついた時、不意に
魔物の気配と血の匂いがした。
騎士団達とマコト様とその場所に転移した。
国境越えの鑑札持ちの乗り合い馬車が
無残な姿になっていた。
血溜まりはあちこちにあり、マコト様と
同じ髪色の者が、ソイルウルフに棒切れを
持ち果敢にも対じしていたのだ。
死ぬつもりか?
「今、助ける。」
なぜかその者と襲い掛かるソイルウルフの
間に入り、瞬時に2匹を葬った。
他のソイルウルフは、怖気ついたのか
私たちが到着すると同時に逃げていった。
騎士団が魔核を大事そうに回収していた。
確か、魔道具に使うらしい。
それならば、逃げたのも回収した方が
よかったのかもしれない。
「魔核、(もっと)いるのか?」
「は、はい。大事に使わせて頂きます。」
ん?やはり、まだ必要なようだ。
今からでも、間に合いそうだが
距離が開いてきたな。
あと、マコト様は私を見てなぜか驚いている。
しばらく動く様子もないし、後ろの
黒髪の者が気になってしまった。

「ハルト先生……。」
か細い声が聞こえた。
ハルト…センセイ?ハルト様の知り合いか?
「リナリアさん!」
今度は力強い声。リナリア?
どこかで"最近"聞いた名だ。どこで聞いた?
「知り合いか?君は何者だ?」
「……。」
幼げな顔立ちだがお腹をさすっている。
"リナリア"?2人は婚姻関係か?
「……妊夫?」
彼が握っていた棒をそっと捨て
抱き上げると私の魔力が彼に流れたのだ。
気持ちいい……。
なんだか懐かしいような
寂しいのに、何かが温かく感じた。
もっと抱きしめたら、もっと気持ち良く
なるだろうか?
妊夫だから魔力がいるんだな。
好きなだけ私の魔力を喰え。
"アリアナ"という者が亡くなった今、
彼への魔力供給がない状態だ。
彼もお腹の子も危ない。
それにしても今日は、すごい日だ。
懐かしい、温かさだ。
久々に身体が軽い。
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