【完結・R18】28歳の俺は異世界で保育士の仕事引き受けましたが、何やらおかしな事になりそうです。

カヨワイさつき

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第一章 2人の約束

5、複雑な心

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「今、助ける。」
助けて!!
ザシュ。シュッ。
コロッ、コロン。
何かを切る音?
何かが転がる音……。
俺の目の前には、黒っぽいマントを
羽織った大きな男性。
異世界ものの物語に出てくる騎士そのもので
想像以上のカッコ良さだった。
後ろ姿なのに色々な感情と安堵感からか、
パーカーの中に入れたアベリアちゃんを
無意識に抱きしめていた。
……俺たちは、助けられたんだ。
俺の視界を遮るように守られながら、
俺はその大きな背中に感謝の"ありがとう"と
よくわからない罪悪感を感じ"ごめんなさい"と
なぜか謝っていた。
狼っぽい何かから助けられた俺たちは、
まだ、振り返らない男性に守られていた。
男性の髪の毛は、光を受け銀色に輝いている。
「ハルト先生……。」
あきらかに違うのに、大きな背中に
守られている自分は、まるで小さな
子どもに戻ったみたいだ。
その男性の後ろ姿を見つめていると、再び
安心感と罪悪感、そして懐かしさを感じたのだ。

数人の鎧姿が、壊れた馬車や
亡くなった者たちに黙祷(もくとう)を
捧げている様に見えた。
「……。」
やっぱり亡くなったの?
その後、鎧姿の人は何かを調べたりしながら
目の前の大きな背中の男性に報告?をし
指示されているように見えた。
不意に早く男性の顔を見たいと望んでしまった。
相変わらず、俺の目の前に立ち続ける男性。
もしかして、亡くなった者や馬を
俺に見せない為なのか?
視界の端っこに、どこからか出した布で
亡くなった者を布で包もうとしていた。
一瞬、ボーッとしてしまった。
乾いた血……。亡くなってしまった……。
「リナリアさん!」
俺、守るから。アベリアちゃんを守るから!!
リナリアさんを…守れなくて、
ごめん…なさい。アベリアちゃんは…
…守ります。だから…安らかに…眠って…。
"ありがとう。"
リナリアさんが、包まれる瞬間、
リナリアさんが微笑んだ気がした。
フワァ~と俺の頬に優しい風が吹いたんだ。

「知り合いか?君は何者だ?」
「……。」
自分に声がかけられたと気づいた時には、
赤い鋭い瞳に見つめられていた。
あぁ…俺、この男性に心配されているのか?
俺は無意識にお腹をさすっていた。
「……妊夫?」
えっ?ちがう。妊婦?そんなわけないだろが。
俺は男だぞ!!女に見えるのか?
皆と比べたらチビかもしれないけど、
こんな時に冗談なんか言わないでくれ!!
って言いたかったけど、急な浮遊感の後
温もりを感じた。
自分自身に何が起きたのかわかるまで、
時間がかかったのかもしれない。

俺は今、たくましい腕に人生初の
お姫様抱っこをされてしまったのだ。
しかも、その人物がなぜかハルト先生と
ダブったのだ。
白銀、銀色のキラキラ光る髪、
ルビーの様にキレイな赤い瞳。
そしてたまに、鋭くなる目。
たくましく、優しく、力持ち。
怖いほどキレイな男性。
相手は男性なのに何故かドキッ!!とした。
初めて逢ったのに、なぜか懐かしい。

しばらくすると目の前には、
大きな馬がたたずんでいた。
一瞬、馬車をひいていた馬を……。
亡くなってしまった馬を思い出して
俺は泣きそうになってしまった。
「怖がらなくていい。もう安心だ。」
ちがう、違うんだ。
俺はこんな、泣き虫じゃない。

男性なりに俺に笑いかけてくれたんだろうが
たぶん日頃笑わない人なんだろうなぁって
思ってしまった。
ぎこちない笑顔、気遣われた笑顔。
訳わからない懐かしさや安心感?
結局、その男性にしがみつくように
しばらく泣いてしまった。

ハルト先生の様に同じ仕事に付き、
28歳になった俺。
なんだか、昔に戻ったみたいな
なんとも言えない複雑な心境になってしまった。
今日一日は色々ありすぎて、すごく
濃い日であり長く感じた日になったのだ。

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