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第八話 王族の面汚し
王族の面汚し②
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サリナスの手を借りてダールトンとフランチェスカ、ついでに間男を王宮の中庭に連れ出した。
何代か前の王は散財好きで彼の作らせた調和の取れない悪趣味で豪奢なオブジェやエクステリアが至るところに建てられている。
中でも目立つところに建てられた噴水は茨に捕らわれた裸婦像が中央に置かれており、石でできた棘だらけの茨が水上に生えているというモンスターさながらの不気味な造りをしており、すこぶる評判が悪かった。
それを有効活用してやろうと思った。
まず全裸の間男の股を開かせたまま、荊の上に座らせる。
自重で棘が食い込み気を失っていた間男は痛みで目を覚ました。
「お、お許しください!!
私は金で買われただけで、陛下に歯向かう気などまったく————」
「王妃に不義の胤を注ぎこんだ。
長らく私はあの売女を抱いていない。
もし孕めば間違いなく私の子ではない。
オルタンシア宗家の血筋を絶とうとしたのだ。
これが王国に対する攻撃行為でなくてなんとする?」
「そ、それは……」
「高貴なる王妃を犯すのは支配欲が満たされたろう。
まして自分の子種で孕んだ王子が国王などになるなどと想像して腰を振ればさぞ昂ったことだろう!
羨ましいなぁ……そんな快楽を私は味わったことがないぞ!!」
奴の腿の間にぶら下がった残骸を踵で踏み躙ると猿のように甲高い声を上げてもがき苦しむ。
無様なこの男に私は少なからず嫉妬している。
フランチェスカに愛などないし、愛されたいとも思っていない。
だが、私との子作りは嫌で仕方なかったヤツが別の男との時にはケダモノじみた悦び方をしているのを見て、原始的な雄のプライドともいうべき何かが傷つけられ、悔しくて恥ずかしくて腹ただしくて仕方がない。
王家の血を絶やそうとした、という処刑理由は建前で、実のところ私的な怒りのぶつけどころとしていると言った方が正しい。
茨がまとわりついた裸婦像に奴の背中をもたれさせて縄体に食い込むほどに縛り付けて固定する。
これでオブジェの土台ができた。
次はダールトンだ。
当然、コイツも全裸に剥く。
骨格自体はガッシリしているが贅沢な食事によってたるみ切った肉体はオークのようだった。
間男の均整の取れた肉体とは雲泥の差だ。
「ゆ……ルして…………」
「なぜだ?」
ダールトンの嘆願の言葉の意味が分からなかった。
なぜ、許してもらえると思っているのだろうか。
父を苦しめ、母を嘲り、レプラの命を奪おうとし、追放し、辱めを受けたことを悦んだ。
許せる要素がカケラもない。
「今思えば、貴様がレプラを殺そうとした時に殺しておくべきだった。
そのせいで貴様は多くの罪を重ね、私の怒りを買った。
悪いと思っているよ。
お詫びに王位をくれてやる」
そう言いながら、間男の上に重なるようにして荊の裸婦に抱きつかせた。
棘が刺さる痛みに潰れた喉で声にならない悲鳴を上げる。
……あ、いいこと思いついた。
「おい、口を開けろ」
私は間男に命じる。
そしてダールトンの腰を掴んで位置を調整する。
「やめ……ゆる……」
「いやだ」
設置完了だ。
「あ……あ、あ、あ、あ…………」
ダールトンの目から涙が滴り落ちる。
尊厳を踏み躙られた屈辱の涙だ。
さらに煽るように楽しげに声をかける。
「彼の顎の強さに期待するんだな。
彼が力を抜いて口が閉じれば貴様のムスコが噛み切られるぞ」
「く……ぉぉおぉぉぉ…………」
いい歳をして子供のように泣き喚く。
見苦しいし聞き苦しい。
こんなのが次期国王なのだ。
国はともかく、王政の廃止はそう遠くないかもな。
ダールトンへの復讐において私が手を下せることは少ない。
放っておいてもコイツは自滅する。
その様を私が見届けられないのは残念だが……まあいい。
さて、メインディッシュ————いや、むしろこれから行う悪虐行為のオードブルをいただくとしよう。
私は努めて優しく、彼女に愛称で語りかけた。
「フラン。お前には色々迷惑をかけた。
そもそもそこの愚物の機嫌を取るためにお前を娶るようなことしなければよかった。
お前のような売女に王妃の椅子はさぞかし座り心地が悪かったろう」
「陛下! お、お許しください!
父やそこの男は生かしておいても何の役にも立ちませんでしょうが私は役に立ちます!!
陛下の……陛下のために身と心を尽くして奉仕いたします!!」
そう言って私に跪き、ズボンのベルトに手をかけてきた。
寝室からここまで全裸で歩かされて、羞恥心が麻痺しているのか?
こんな日の下で何を始めるつもりだ。
奴の髪を掴んで持ち上げると「痛い痛い!」と悲鳴を上げた。
その声が耳に触った。
どれほど憎く嫌いな相手でも女というだけで暴力を振るうのに不快感を覚える。
しかも不快なことにコイツの髪や肌や目の色がレプラに似ているのだ。
典型的な貴族美人
今更、どう思われようと構わないが生理的にやりたくないことを相手を苦しめるために行いたくない。
「なあ、貴様は今まで何人の男に抱かれてきた?
恥ずかしがらなくても良い。
今更少なく申告したところで罪が軽くなるわけでもないしな」
ポイ、と地面に放り捨てられたフランチェスカは怯えた目をして答える。
「お、覚えていません……
実家にいた頃は……ぶ、舞踏会や、その……特殊な趣向のパーティに通っていましたので……数を気にしたことは……」
コイツ……本当に私と同い年か?
想像の斜め上を行く返答に困惑してしまう。
私よりも聞き耳を立てていたダールトンの方にダメージが行ってそうだ。
「そ、そうか…………その、ご盛んだな……」
身を焼くほどの怒りの火が弱まりそうなくらいフランチェスカの性的な倒錯ぶりの凄まじさに圧倒されている。
あの父親の影響を受け、贅沢に甘やかされて育ったのならば歪んで然るべきか。
しかし、ブレかけた復讐心に喝が入れられる。
「陛下っ!! 寛恕を与えてはなりません!!
王妃————その淫売は私に命じて間男どもを殺害しております!!
それも、一人二人ではございません!!」
サリナスが悲痛な叫びを上げ、私の背筋が冷たくなった。
「黙りなさい!! サリナスっ!!」
「私に命じるのも慣れたものでした。
おそらくは常習犯でしょう。
それに間男だけでなく、私の前任の寝室守護の護衛騎士も不自然な死を遂げております!
自らの不貞を隠すためであれば他人の命を奪うことに躊躇わない!!
悪魔のような女にございます!!」
「そんなっ!! 言いがかりです、陛下!!
私はそんなことを命じておりません!!
その不忠者が犯した罪をなすりつけようとしているのです!!
信じてください!!」
涙ながらに訴えるフランチェスカ。
私は即答する。
「信じるわけなかろう」
「へいかっっ!?」
「ああ、お前の不貞についての捜査が行き詰まるわけだ。
既にこの世にいない人間のやったことを暴くのは難しいからな。
これで辻褄が合う。
…………道理にそぐわない暗殺命令は王族であろうと殺人罪が適用されるぞ」
「お、お気を確かに!!
私が殺したのは浮気相手ですよ!!
王妃の腹に胤を仕込もうとした反逆者です!!
どのみち死刑となる者たちではありませんか!?」
凄いなぁ……とんでもない論理だ。
しかもそれが詭弁とすら思っていない。
「私、間違っていませんよ」みたいな顔でのたまっている。
自分もその反逆者の一味、いや首領格であることを忘れているのだろうか。
まあ、追い詰められた気狂いの戯言よりも、重んじたいのはサリナスの忠義……いや、罪悪感か。
以前も王妃を斬らせてほしいと懇願していたな。
「サリナス・フォン・レイナード。
穢れた命令により忠義高く由緒あるレイナード家の剣を血で汚したこと……主君として謝罪する。
すまなかった」
私は頭を下げた。
するとサリナスはだくだくと大粒の涙をこぼして地面に平伏し、頭を擦り付けた。
激しく嗚咽していて背中が上下に震えている姿は重荷から解放された喜びに震えているようにも見えた。
さて————
「フラン。貴様は王族の面汚しだ。
王国史上最悪の悪女として未来永劫語り継がれよ」
「陛下っ————きゃああああああっ!!」
私はフランチェスカの両手首を縛り付けて、裸婦像の頂部に吊るす。
さらに、股を開かせた形に縛り付けて固定する。
そして、下にいるダールトンの頭を掴み、フランチェスカの腿の間に近づけていく。
「う……嘘……!?
陛下! お許しを!! やめ……それだけはおやめください!!」
「お前に忌避するものがあろうとはな。
良いではないか。
親子仲睦まじいのだ。
それを周囲に見せつけてやれ」
「イヤアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!!!」
完成した。
悪趣味な先祖の残した茨の裸婦像に間男、義父、妻を繋げて、括り付けた。
しかも一糸纏わぬ姿でだ。
間男の腹には『王妃の玩具』。
ダールトンの背中には『無能な俗物』。
フランチェスカの腹には『淫乱殺人鬼』。
とそれぞれ血糊で文字をデカデカと書いてやった。
ダールトンがもう少し美しければ芸術っぽくなったかもしれないが、これはこれで趣深いものだろう。多分。
日が完全に昇っている。
私の作品製作を距離をおいて見ている者の数は何十人もいる。
ほとんどが王宮の使用人たちだ。
シウネの作ったカメラがあれば……このザマを王国中にばらまけたのだが————よそう。
マスコミ連中と同じことをするのは気分が悪い。
私は息を吸い込み声を張り上げる。
「こやつらは罪人である!!
王家の品位を貶め、臣下の命を身勝手に奪い、王位の簒奪のためあらゆる非業を行った許すまじき悪である!
よって、王命によりこやつらはここに晒す!!
決して余が許すまで解放するな!!」
視界に入っている者たちは直ちに平伏し「ハハァッ!」と言って命令をうけいれた。
何代か前の王は散財好きで彼の作らせた調和の取れない悪趣味で豪奢なオブジェやエクステリアが至るところに建てられている。
中でも目立つところに建てられた噴水は茨に捕らわれた裸婦像が中央に置かれており、石でできた棘だらけの茨が水上に生えているというモンスターさながらの不気味な造りをしており、すこぶる評判が悪かった。
それを有効活用してやろうと思った。
まず全裸の間男の股を開かせたまま、荊の上に座らせる。
自重で棘が食い込み気を失っていた間男は痛みで目を覚ました。
「お、お許しください!!
私は金で買われただけで、陛下に歯向かう気などまったく————」
「王妃に不義の胤を注ぎこんだ。
長らく私はあの売女を抱いていない。
もし孕めば間違いなく私の子ではない。
オルタンシア宗家の血筋を絶とうとしたのだ。
これが王国に対する攻撃行為でなくてなんとする?」
「そ、それは……」
「高貴なる王妃を犯すのは支配欲が満たされたろう。
まして自分の子種で孕んだ王子が国王などになるなどと想像して腰を振ればさぞ昂ったことだろう!
羨ましいなぁ……そんな快楽を私は味わったことがないぞ!!」
奴の腿の間にぶら下がった残骸を踵で踏み躙ると猿のように甲高い声を上げてもがき苦しむ。
無様なこの男に私は少なからず嫉妬している。
フランチェスカに愛などないし、愛されたいとも思っていない。
だが、私との子作りは嫌で仕方なかったヤツが別の男との時にはケダモノじみた悦び方をしているのを見て、原始的な雄のプライドともいうべき何かが傷つけられ、悔しくて恥ずかしくて腹ただしくて仕方がない。
王家の血を絶やそうとした、という処刑理由は建前で、実のところ私的な怒りのぶつけどころとしていると言った方が正しい。
茨がまとわりついた裸婦像に奴の背中をもたれさせて縄体に食い込むほどに縛り付けて固定する。
これでオブジェの土台ができた。
次はダールトンだ。
当然、コイツも全裸に剥く。
骨格自体はガッシリしているが贅沢な食事によってたるみ切った肉体はオークのようだった。
間男の均整の取れた肉体とは雲泥の差だ。
「ゆ……ルして…………」
「なぜだ?」
ダールトンの嘆願の言葉の意味が分からなかった。
なぜ、許してもらえると思っているのだろうか。
父を苦しめ、母を嘲り、レプラの命を奪おうとし、追放し、辱めを受けたことを悦んだ。
許せる要素がカケラもない。
「今思えば、貴様がレプラを殺そうとした時に殺しておくべきだった。
そのせいで貴様は多くの罪を重ね、私の怒りを買った。
悪いと思っているよ。
お詫びに王位をくれてやる」
そう言いながら、間男の上に重なるようにして荊の裸婦に抱きつかせた。
棘が刺さる痛みに潰れた喉で声にならない悲鳴を上げる。
……あ、いいこと思いついた。
「おい、口を開けろ」
私は間男に命じる。
そしてダールトンの腰を掴んで位置を調整する。
「やめ……ゆる……」
「いやだ」
設置完了だ。
「あ……あ、あ、あ、あ…………」
ダールトンの目から涙が滴り落ちる。
尊厳を踏み躙られた屈辱の涙だ。
さらに煽るように楽しげに声をかける。
「彼の顎の強さに期待するんだな。
彼が力を抜いて口が閉じれば貴様のムスコが噛み切られるぞ」
「く……ぉぉおぉぉぉ…………」
いい歳をして子供のように泣き喚く。
見苦しいし聞き苦しい。
こんなのが次期国王なのだ。
国はともかく、王政の廃止はそう遠くないかもな。
ダールトンへの復讐において私が手を下せることは少ない。
放っておいてもコイツは自滅する。
その様を私が見届けられないのは残念だが……まあいい。
さて、メインディッシュ————いや、むしろこれから行う悪虐行為のオードブルをいただくとしよう。
私は努めて優しく、彼女に愛称で語りかけた。
「フラン。お前には色々迷惑をかけた。
そもそもそこの愚物の機嫌を取るためにお前を娶るようなことしなければよかった。
お前のような売女に王妃の椅子はさぞかし座り心地が悪かったろう」
「陛下! お、お許しください!
父やそこの男は生かしておいても何の役にも立ちませんでしょうが私は役に立ちます!!
陛下の……陛下のために身と心を尽くして奉仕いたします!!」
そう言って私に跪き、ズボンのベルトに手をかけてきた。
寝室からここまで全裸で歩かされて、羞恥心が麻痺しているのか?
こんな日の下で何を始めるつもりだ。
奴の髪を掴んで持ち上げると「痛い痛い!」と悲鳴を上げた。
その声が耳に触った。
どれほど憎く嫌いな相手でも女というだけで暴力を振るうのに不快感を覚える。
しかも不快なことにコイツの髪や肌や目の色がレプラに似ているのだ。
典型的な貴族美人
今更、どう思われようと構わないが生理的にやりたくないことを相手を苦しめるために行いたくない。
「なあ、貴様は今まで何人の男に抱かれてきた?
恥ずかしがらなくても良い。
今更少なく申告したところで罪が軽くなるわけでもないしな」
ポイ、と地面に放り捨てられたフランチェスカは怯えた目をして答える。
「お、覚えていません……
実家にいた頃は……ぶ、舞踏会や、その……特殊な趣向のパーティに通っていましたので……数を気にしたことは……」
コイツ……本当に私と同い年か?
想像の斜め上を行く返答に困惑してしまう。
私よりも聞き耳を立てていたダールトンの方にダメージが行ってそうだ。
「そ、そうか…………その、ご盛んだな……」
身を焼くほどの怒りの火が弱まりそうなくらいフランチェスカの性的な倒錯ぶりの凄まじさに圧倒されている。
あの父親の影響を受け、贅沢に甘やかされて育ったのならば歪んで然るべきか。
しかし、ブレかけた復讐心に喝が入れられる。
「陛下っ!! 寛恕を与えてはなりません!!
王妃————その淫売は私に命じて間男どもを殺害しております!!
それも、一人二人ではございません!!」
サリナスが悲痛な叫びを上げ、私の背筋が冷たくなった。
「黙りなさい!! サリナスっ!!」
「私に命じるのも慣れたものでした。
おそらくは常習犯でしょう。
それに間男だけでなく、私の前任の寝室守護の護衛騎士も不自然な死を遂げております!
自らの不貞を隠すためであれば他人の命を奪うことに躊躇わない!!
悪魔のような女にございます!!」
「そんなっ!! 言いがかりです、陛下!!
私はそんなことを命じておりません!!
その不忠者が犯した罪をなすりつけようとしているのです!!
信じてください!!」
涙ながらに訴えるフランチェスカ。
私は即答する。
「信じるわけなかろう」
「へいかっっ!?」
「ああ、お前の不貞についての捜査が行き詰まるわけだ。
既にこの世にいない人間のやったことを暴くのは難しいからな。
これで辻褄が合う。
…………道理にそぐわない暗殺命令は王族であろうと殺人罪が適用されるぞ」
「お、お気を確かに!!
私が殺したのは浮気相手ですよ!!
王妃の腹に胤を仕込もうとした反逆者です!!
どのみち死刑となる者たちではありませんか!?」
凄いなぁ……とんでもない論理だ。
しかもそれが詭弁とすら思っていない。
「私、間違っていませんよ」みたいな顔でのたまっている。
自分もその反逆者の一味、いや首領格であることを忘れているのだろうか。
まあ、追い詰められた気狂いの戯言よりも、重んじたいのはサリナスの忠義……いや、罪悪感か。
以前も王妃を斬らせてほしいと懇願していたな。
「サリナス・フォン・レイナード。
穢れた命令により忠義高く由緒あるレイナード家の剣を血で汚したこと……主君として謝罪する。
すまなかった」
私は頭を下げた。
するとサリナスはだくだくと大粒の涙をこぼして地面に平伏し、頭を擦り付けた。
激しく嗚咽していて背中が上下に震えている姿は重荷から解放された喜びに震えているようにも見えた。
さて————
「フラン。貴様は王族の面汚しだ。
王国史上最悪の悪女として未来永劫語り継がれよ」
「陛下っ————きゃああああああっ!!」
私はフランチェスカの両手首を縛り付けて、裸婦像の頂部に吊るす。
さらに、股を開かせた形に縛り付けて固定する。
そして、下にいるダールトンの頭を掴み、フランチェスカの腿の間に近づけていく。
「う……嘘……!?
陛下! お許しを!! やめ……それだけはおやめください!!」
「お前に忌避するものがあろうとはな。
良いではないか。
親子仲睦まじいのだ。
それを周囲に見せつけてやれ」
「イヤアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!!!」
完成した。
悪趣味な先祖の残した茨の裸婦像に間男、義父、妻を繋げて、括り付けた。
しかも一糸纏わぬ姿でだ。
間男の腹には『王妃の玩具』。
ダールトンの背中には『無能な俗物』。
フランチェスカの腹には『淫乱殺人鬼』。
とそれぞれ血糊で文字をデカデカと書いてやった。
ダールトンがもう少し美しければ芸術っぽくなったかもしれないが、これはこれで趣深いものだろう。多分。
日が完全に昇っている。
私の作品製作を距離をおいて見ている者の数は何十人もいる。
ほとんどが王宮の使用人たちだ。
シウネの作ったカメラがあれば……このザマを王国中にばらまけたのだが————よそう。
マスコミ連中と同じことをするのは気分が悪い。
私は息を吸い込み声を張り上げる。
「こやつらは罪人である!!
王家の品位を貶め、臣下の命を身勝手に奪い、王位の簒奪のためあらゆる非業を行った許すまじき悪である!
よって、王命によりこやつらはここに晒す!!
決して余が許すまで解放するな!!」
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