キャンバスメモリアル

Daddy

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出会い

第22話 忘れ物

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――翌朝、2人は宿を引き払いドラフターに向けて出発した。
ハンプを出る時、2人のもとへカラスロがやってきた。

「もう、出発されるのですか?」
「あ、カラスロさん。お世話になりました~。」
「あぁ、とりあえずドラフターに向かうことにしたよ。」
「そうですか。探し物が見つかると良いですね。」
「ありがとう。カラスロさんも自警団頑張ってな。」
「はい、街のため頑張りますとも!では…」

挨拶を交わすとカラスロは街へと戻っていった。

「いい人だね、カラスロさん。わざわざ見送りに来てくれたんだ。」
「そうだな。――よし、行くか!」

2人はハンプを後にして、ドラフターに向けて旅立った。
しばらく歩いたところで、シキはアカがそわそわとしていることに気がついた。

「何だよ?何か忘れ物か?」
「い、いや!別に大丈夫!」
「ずっと落ち着きないぞ?どーしたんだよ。」
「……ごめん!あたし、やっぱ銃が欲しい!」
「はぁ?いらねーって言ったじゃねーか!」
「でも…やっぱりあると便利かな~とか思って…」
「いや、いらねーだろ。何に使うんだよ。」
「…ほら!鳥とか捕まえやすくなるし、そしたらご飯も豪華になるじゃん!」
「…はぁ。」
「ね!お願いシキ。」

シキはハンプの方へと向けて歩き出した。

「ありがとう~。お詫びに美味しいご飯作るからね!」
「――だから、昨日確認したのに。」
「ごめんって~。」

2人はハンプへと戻っていった。
道中、シキはアカに小言を言い続けた。そして再びハンプへ着く頃には2人は言い争っていた。

「しつこいな~。そんなんじゃモテないぞ?」
「モテるとかモテないとか、関係ないだろ!」
「――小さい男。」
「は?何だって?」
「なーにも言ってないよ?」
「言っただろ!小さい男って。」
「聞こえたんじゃん。いちいち聞き直すな!」
「あー腹立つ!お前1人で買いに行け!」
「はいはい。1人で買いに行きます~。おこりんぼと行っても楽しくないし~」
「早く行け、ばーか。」
「バカって言う方がバカなんです~。」

アカは露店に向けて走っていった。
シキは腹を立て落ち着かないまま、ウロウロとしていた。
そして、不意にズックのことを思い出した。

(腹立つと言えば…おっさんどーしてんのかな?)

シキはズックの家へと向かって歩き出した。
ドアの前に立ち、シキはズックに向かって声をかけた。

「おーい、おっさん!シキだけどー。今日旅立つからよー。一応挨拶に来たぞー。」
「……」

返事はない。どうやら留守のようだった。

「何だよ。挨拶に来たってのに。」

シキがその場から立ち去ろうと後ろを振り向くと、遠くからズックが歩いてきてるのが見えた。
酒に酔っているようで、ふらふらとこちらへ向かっている。
シキは心配になってズックへと駆け寄った。

「おーい、おっさん!大丈夫か?」
「……シキか。お前、旅立ったんじゃなかったのか?」
「アカの奴がよー、忘れ物して戻ってきたんだ。てか、知ってたのかよ。」
「…今、カラスロに聞いてきた。」
「そーか。おっさん仲良かったんだな。」
「仲が良いだと?ふざけるな、あんな奴と仲が良いわけあるか!」
「何だよ急に大声出して。」
「…ふん。他所者のお前には関係ない。」
「また、それかよ…。そーいや、リンネルは?ずっと姿見せなかったんだけど。」
「…攫われたよ。」
「――は?攫われたって誰に?」
「…カラスロだ。」
「――そんなわけないだろ。あの人自警団のトップだろ?」
「…ふん。これだから他所者は…もういい、さっさと旅に戻れ。」
「そんなわけにはいかねーだろ!リンネルを助けないと!」
「…さっさと旅立て。」
「お前が真っ先に動くべきだろ!お前、助けてもらったんだぞ?」
「…いらん世話だ。」
「ふざけるなっ!」

シキはズックを思い切り殴った。
ズックは倒れた。酒に酔っていたズックは、起き上がることもできなかった。

「お前は最低な奴だ!もういい、俺がリンネルを助けに行く!」
「……」

ズックは何も言わず、その場で拳を握りしめていた。
シキはズックに目もくれず、屯所に向けて走り出した。
屯所に入ろうとした時、自警団の男が声をかけた。

「あ、シキさん!どうしました?旅立ったんじゃ…」
「…カラスロに用があってな。いるか?」
「先程、戻られたのでいると思いますが…」

シキはカラスロの部屋へと向かった。

「入るぞ!」
「――おや、シキさん。旅立たれたんじゃなかったのですか?」
「…リンネルはどこにいる?」
「――はい?」
「リンネルだよ!」
「誰のことだか…」
「ズックのおっさんを慕ってた奴だよ。知ってんだろ?」
「――あぁ、彼ですか。彼なら地下で保護してますよ。」
「会わせてくれ。」
「…面識があったのですか?」
「あいつがズックを助けるように俺たちに言ってきたんだ。」
「わかりました。では、ついて来てください。」

シキはカラスロについて、屯所の地下へと向かった。


「…何だか、怒ってらっしゃるようですね。」
「…お前が攫ったって聞いたからな。」
「――そんなわけないでしょう?彼が貧しい暮らしをしていたから保護しただけですよ。」
「何で、今更なんだよ。」
「――ズックのせいですよ。彼は怪しい連中と連んでいますからね。」
「……」

地下についた。柄の悪い男が扉の前に立っていた。

「どうしたんです?カラスロさん?」
「何でもない。コンテ、扉を開けてくれ。シキさんが保護した子どもに御用のようだ。」
「…わかりました。」

コンテと呼ばれる男が、扉を開いた。シキは薄暗い牢屋に入っているリンネルを見つけた。

「リンネル!」
「……シキ?」

シキが牢屋へと駆け寄った。
リンネルは怪我をしているようだった。

「…これが保護か?」
「……」
「何とか言えよ!」

シキが怒鳴りながら振り向くと、コンテがシキに向かって襲いかかってきた。

「残念です。シキさん、戻ってこなければ良かったのに…」

カラスロが薄暗い闇の中でつぶやいた――
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