刀気擬人伝

taiaki

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第3話契りをかわした者の闘い

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第3話契りをかわした者の闘い

「さぁ第2ラウンドだ。刀を守りたかったらオレに勝って見せろ」


男は大太刀の刀身を肩に乗せ、手招きで挑発してきた。


『気をつけよ神威、やつの大太刀は重量もあり、リーチも長い、懐に入る前に斬られたら終わりじゃぞ』


「じゃあどーすんのよ?オレまだ刀使って2日目よ?新米のペーパードライバーなのよ。亀仙人のじっちゃんに天下一武道会の情報すら教えられてないのよ」


『安心せい、お主が天下一武道会に出ることは無いし、やつの大太刀にもちゃんと弱点はある…それに』


一瞬オレの隣に椿の幻影が見え、その幻影がオレの肩に優しく手を置いた。


『妾が一緒に闘うのじゃ、負けはせぬ』


自信ありげだなぁ、まぁ昨日もそうだったけど

オレは刀を構えて男を見据えた。


「知ってるか?小僧、オレ達刀の持ち主は契りをかわした刀を持つと身体能力が飛躍的に上がるんだ。つまり、人としての次元を超えた戦いをすることになる」


…逃げていいかな?何でそんな危ない状況になるの?


「椿…オレもう帰りたい」


『気落ちするのが早すぎやせんか!!?』


だって身体能力上がるとか、じゃあ何?筋肉ムキムキのおっさんとかが契りかわしてたら地球だって叩き割れるってことでしょ?アラレちゃんとオボッチャマンくんが戦うようなもんじゃん、地球の終わりじゃん。


『昨日も言うたであろう、妾を信じよと、妾と神威ならどんな相手にだって負けはせぬわ、それに、昨日の敵の刀は死刀じゃった…あのようなもの戦いとは言わぬ、むしろ今からの闘いこそが本当の初陣じゃぞ』


どうしてこんなにも意気揚々とできるのだろうか、オレなんか足ガクブルなんだよ?ズボンで分かりずらいかもだけどここから逃げ出したいのよ。


「それじゃ…いくぜぇ!!!」


男は、大太刀を横に構えて飛び込んできた。


『来たぞ!!やつから目を離すでないぞ!!』


「目を離すなって…うぉぉぉっ!!?」


オレは必死に体制を低くして大太刀をかわすと、頭上からブォン!という荒々しい音が聞こえてきた。


「チッ」


『いいぞ!そのままやつ目掛けて突くんじゃ!』


「は!?え!?突き!?えーっと…こうか!」


オレはしゃがんだ体制のまま、椿を男の体目掛けて突き出す。


「あめぇ!!」


男は空中で身体を捻らせて突きをかわし、もう一度オレから距離をとる。


「よくかわしたじゃねぇか、大したもんだ」


怖ぇ…昨日の敵なんかとは比べ物にならねぇくらい強いんだけど…


『神威よ、今から妾が作戦を伝える。その通りに動くんじゃ』


「作戦って…だからオレ戦闘経験まるでないんだって」


『いいから、言う通りにするんじゃ』


「わーった、わーったよ、どーすんだよ」


「ごちゃごちゃと話してる余裕はねぇぞ!!!次は当ててやるからよぉ!!!」


男はもう一度オレに向かって突撃してきた。それにオレは合わせるように前に突き進む。


「何っ!?」


『よいか、大太刀はリーチが長い分細かい軌道の修正が効かぬ、攻撃の際は必ず大振りせんといかんから行動パターンを読まれやすいのじゃ』


そう、だから今の相手の構えを見て、次の攻撃を読んでしまえば…


ガキィン!


オレは男の横薙ぎの攻撃を椿で防ぎ、突進を続けた。横薙ぎの斬撃は身体全体で防ぎきればオレでも止められる。


「オレの攻撃を、止めやがった!!?」


「おおぉぉぉぉ!!!」


ズバン!


オレは、一気に男に接近して男の胸を斬り裂いた。


「ぐおぉぉっ!!!」


「はぁはぁ」


今のはかなりの手応えだったはず、これなら


「やるじゃねぇか」


「!?」


オレが振り返ると、男の胸には確かに傷がついていたが、まだ致命傷には程遠く、男はしっかりと自分の足で立っていた。

ってかまだ動けんのかよ!!


「正直甘くみてたぜ、お前才能あるぜホント」


す…素直に喜べねぇ


『ふん、妾の主人じゃ当然じゃわ』


「なんでお前がドヤってんの?」


『作戦を伝えたのは妾だからじゃ』


そういえばそうでした。


『神威よ、今度はこちらから攻めるぞ』


「マジ?」


『大マジじゃ』


グイッとオレの身体が自然に何かに引っ張られるように動き出し、オトコに向かっていく。


「おぉぉぉぉ!!!?」


「なるほど、今度はテメェからってか」


いや、そんなつもりは毛頭なかったんですけどねぇぇぇ!!!


『いくぞ神威よ!桜華流じゃ!!』


「お、ぉぉぉ、了解ぃぃ!!」


技を出すタイミングで完全に身体を椿に任せて、オレは掛け声を合わせる。


「『桜華流』」


刀を引いて、力を込め、男の胸辺りに狙いを定めた。


「『花椿』」


男の胸目掛けて、高速の5連突きを突き出すが、男はその内の3発を大太刀で防いでしまった。


「ガハッ…5連突きか、しかも速さもなかなかにエグいじゃねぇか」


『あの大太刀で3発も防ぎよったか、やはり契りをかわした者は一筋縄ではいかんか』


桜華流でダメって…相当やばくね?


『気を抜くな神威!来るぞ!』


「え?」


顔を上げると、男が大太刀を振りかざし、突き出した体制のままのオレ目掛けて振りおろそうとしていた。


「潰れろ」


「ちょっ!!?それは反則!!!」


「おらぁぁ!!!」


ズズゥゥン!!!


大太刀が振り下ろされ、砂煙が上がり辺り一面が見えなくなった。


「上手くかわしたか」


オレはギリギリで横にかわして致命傷は避けたものの、肩をかすめて血が滲んでいた。


「だが、かわしきれてはいなかったみてぇだな」


「ぐっ…」


オレは痛む肩を手で抑えて、表情を歪める。

いてぇ…なんでこんなにいてぇんだよ。


『神威!!無事か!!?』


「何とか…でもやっぱ帰りてぇ…」


『ふぅ、どうやら冗談を言える余裕はあるみたいじゃの』


いや、割りとガチなんですけど…


『気を抜くなよ神威、まだ闘いは終わっとらんぞ』


「せー」


?何してんだアイツ、自分の刀をまるで槍投げするみてぇに構えて…槍投げ?


『!マズイ、避けよ神威!!!』


「のっ!!!」


椿の声が聞こえるのと同じタイミングで男が刀を一直線に投げ飛ばしてきた。


「うおおぉぉぉ!!?」


オレはギリギリで何とか飛んできた刀を身体を半身にしてかわすし、視線を前に向けると、目の前に敵の拳が視界いっぱいに広がっていた。

あ…ダメだかわせねぇ


ボゴン!!!


『神威!!』


オレの身体は、後方へ大きく吹っ飛び地面をバウンドしながら転がっていく。


「ぐっ…いってぇ」


「大太刀には大太刀の戦い方ってのがあるんだよ。よーく覚えておけよ小僧」


男が何か言っているが、オレは顔面の痛みでそれどころでは無い。


男は投げた太刀を拾い上げると、ブンブンとまるで棒のように振り回し構えを取り直す。

いや、如意棒かよ…筋斗雲にでも乗るつもり?


「さて、次はどーする?」


オレは、フラフラと立ち上がり顔を抑えながら男を見る。


『愚か者、あれほど敵から目を離すなと言うたじゃろうが』


「あれほどって言うほど言ってなくない?」


オレはもう一度構えて、男の動きをよく見ようと足と肩の動きに注目した。


『神威よ、もう一度桜華流をする、身体を貸してくれ』


「信じるぞ」


『任せよ、次で決めて見せようぞ』


「来ねぇのか?ならこっちからいくぜ!」


男は、またオレに向かって刀を構えながら突進してくる。


「これでしめぇだ!!!」


「『桜華流』」


「!」


オレは右手で刀を持ち、上段の構えで男を待ち伏せる。


「今更上段斬りか、くらうわけねぇだろ!!」


オレが上段から刀を振り下ろすと同時に、男は一瞬ブレーキをかけ、身体を反らせて攻撃をかわし、即座に体制を戻して、刀を振る。


「終わりだ!!!」


カシャッ


「!」


男が視点を下にむけオレの刀を見た時、オレは刀を振り下ろした体制のまま左手に持ち変えて刃を上に向けていた。


(最初の上段斬りはフェイク!?)


「『彼岸花』」


オレは左手に持った刀を振り上げて、男の身体を切り上げた。


「ぐわぁぁぁぁ!!!!」


男は倒れ、ようやくオレは勝ったんだと思うと同時に、足腰の力が抜けてその場に座り込んだ。


「か…勝ったぁ…」


「ようやったぞ神威!!さすが妾のご主人様じゃ!!」


いつの間にか人の姿に戻った椿が、オレを胸に抱き抱える。


「やはり妾の目に狂いはなかった!!お主は強いぞ!!」


「ムガガゴムゴムゴガー!!」


喋れん!!椿の胸に顔を押し当ててるせいで何も喋れん!!つか嬉し苦しいんだけど


「おっと、またやってしもうた」


椿がパッと離してくれたおかげでようやく自由になり、オレはその場で仰向けになって寝転がる。


「疲れた…ホントに疲れた」


「ホントじゃのう、妾も入学届け中にお主の危険を察知して飛んで来なければ危うかったわ」


入学届けか…そういえば、オレは学校に行こうとしてたんだよな…学校…


「そうだ!!!学校!!!」


オレがむくりと起き上がると椿がオレの肩を抑え、自分の膝にオレの頭を乗せ膝枕をしてくる。

何この嬉し恥ずかし状況は?


「もう少しよいではないか、これだけ頑張ったんじゃ、少しくらいゆっくりしてもバチは当たらんぞ」


「いや、でも学校は義務なんでね?」


「フンフフーン♪」


機嫌良さそうに鼻歌なんか歌っちゃってるしこの子…


「あ…あの…」


「「?」」


オレ達2人が視線を向けると、先程の男が使っていた大太刀であったウイハという女の子が人の姿になってこちらに話しかけてきていた。

随分小さい子だなぁ、7~8歳くらいかな?


「神威よ、あのおなごを随分といやらしい目で見ておるのう」


椿は膝にオレの頭を乗せたまま、頬をつねってきやがった。オレボロボロなのに


「いひゃい、いひゃい、違うオレはロリコンじゃないって」


「私、ご主人様倒されて持ち主消えた…だから、新しいご主人様になってください」


「「…はい?」」


この子、何かとんでもない事言ってない?
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