【完結】透明の石

N2O

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メラン編

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『まだ半分も溜まってないな。しかしやはり方法は合理的だ。一気に譲渡される』

「・・・ちょっと忘れてたのに。思い出させんなよ、ディーのアホ。」


トウヤは黒の柱にもたれかかっている。ダニエルとエドガーとの会話で少し落ち着いたのに、またあの恥ずかしさを思い出してしまった。ジロリとディーを睨みつける。大体合理的とは何だ、とトウヤは苛立ったように鼻息を荒くした。
あと数日魔力を譲渡して貰えば、メランの結界を張り直すこともできるだろう。
だが今日のダニエルの話を聞いて、トウヤは考えたことがあった。


「・・なぁ、ディー。俺の魔法で怪我した人も治せんの?」

『トウヤ、お前出来るだけ表に出たくないのではなかったのか?お前のは治癒魔法の比ではない。。身体の欠損も元に戻る。それは異質だぞ?』

「んー・・表には出たくないけどさ、例えばまた魔物と戦うことになって、怪我した人が目の前にいてさ。俺が助けなきゃその人が死ぬ、ってなったら・・・魔法使うと思うんだ。」

トウヤは落ち着いた声色で話す。表情も穏やかだ。
ディーと以前一緒に立てた作戦が無事終わったら、村に帰りたいという気持ちは変わらない。これからもそうだ。
だが、自分の力や自分の置かれた状況をよく考えると、そうは言っていられないということにも気付いたのである。

「ディーもさ、最初は普通の人間やつだったんだろ?俺なんかよりずっとずっと長い間力使って葛藤もあったんだろうなぁって。俺にやれることはやんなくちゃって思ったんだ。国中の怪我人を治して回る、なんかはさすがに無理だけど。目の前にいる人だけでも助けたい。」

『・・・私は元から魔力が多すぎた。譲渡してもらうこともそんなに無かったのだ。・・・お前は周りに愛される人間なのだから、存分に助けてもらうといい。一人で行こうとするな。トウヤが魔法を使いたいと思うなら私は止めたりなぞ、せん。トウヤはトウヤだ、私ではない。自分の道を進むといい』

「・・・うん。ありがとう、ディー。」


ディーの言葉が、じんわりとトウヤの心に響く。自分は自分のままでいいのだ、他でもないディーにそう言ってもらえた。それがどれだけ心強いことか。


少しずつ自分ができることを広げていければいいな、と昨日よりも前向きになれたトウヤだった。
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