【完結】透明の石

N2O

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メラン編

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4体の魔物は地上へ降りるとすぐ団員たちを襲った。急な襲撃に団員たちは狼狽えながらも応戦している。
そもそも中央騎士団は要人の護衛や街の治安維持が主な任務であり、魔物との戦闘には慣れていない。先日の魔物の襲撃の際に初めて大型、中型の魔物を見たと言う者も少なからず居たし、亡くなった者の殆どが騎士団員だった。対人と対魔物では勝手が違うのだ。


魔物は団員を捕まえようと4体バラバラに襲いかかってきた。途中で合流したヤハドが指示を出すが、団員達は右往左往している。その後ターナーも合流し、本格的に戦闘態勢になった。


「イグニスのターナー、こちらは騎士のヤハドだ。私たちが先導する。君たちは援護してくれればいい。まずは自分の身を守れ!わかったな!」

ターナーは団員に向かって叫んだ後すぐ、火魔法を使って魔物の動きを封じにかかる。ギャァアアという魔物の恐ろしい叫び声が辺りに響き渡った。
しかし、団員の中にはすでに正気ではない者もいた。陣形を乱し、自ら魔物の獲物になっていく。


「下がれ!やられるぞ!魔物に慈悲なんてものはない!」


ターナーとヤハドだけでも骨が折れる相手だというのに、守らなければならない者が増えたために、ターナーは苦戦を強いられる。
すると砦の方から聞き慣れた声がしてきた。しかも物凄い大声である。




「おい!こら、親父!来るなら来るって先に言えよ!!!あ゛?!そんな魔物如きに苦戦なんざ、落ちぶれたもんだなぁ!」



やはり相変わらずな息子に苦笑いする。「他にまず言うことがあるだろう、フィンよ」とターナーもヤハドも思ったが、面倒臭くなりそうなので「早く加勢しろ!」とだけ叫んだ。そのフィンの後ろからも馬に乗って何人か向かって来ている。
何とかなりそうだな、と一瞬気を抜いた瞬間。
バキィッとターナーの身体に、魔物に放り投げられた団員が直撃した。



「ぐぅ・・・・!」



不意な衝撃に唸り声が漏れる。投げられた団員は意識がなかった。受け止めきれず、ターナーは団員と一緒に地面へ叩きつけられた。

「っ、おい!君!大丈夫か?!」

「~~っ!親父!!!!!上見ろ!!!!!」


息子の怒鳴り声に頭を上げると、魔物が一体ニタァと笑いながら手を伸ばしていた。「意識を団員こちらに向けすぎた!まずい!」と咄嗟に団員を抱え込む。


その瞬間だった。




「ーーーーーさせない!!!!!」



そう遠くで少年の声がしたかと思うと、辺り一面を黒い靄が覆った。新たな魔物でも来たのか?!と団員を抱え込んだまま少しでも衝撃を和らげようと自分の周りに結界を張る。これではあの大型の魔物の攻撃は受け止められないかもしれないが、張らないよりはマシだ。
しかし、予想していた衝撃は来ず、辺り一面に広がっていた黒い靄が徐々に薄い色になっていき、最後は光となって消えていった。




「これは奇跡か?」


光が微かに反射して残る中、さっきまで戦っていた魔物の姿は一体もなかったのである。
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