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10 猫
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ラーゼン研究所は皆それぞれ自分の研究こそ生活の全てであり、たわいもない話をする相手や時間も限られていた。
廊下の端や食堂でひそひそこそこそ話すような話は大体妬み、嫉妬だったと理解している。
僕はそんな会話に入らなかったし、入りたくもなかった。
自然と聞こえる分は仕方ないとして、あの研究員たちのどろどろとした大人の貶し合いも、目の前のこの子達のように堂々として、きゃぴきゃぴとした会話だったのなら、少しは可愛く見えた・・・・・・かもしれない。
「シャオさん!シャオさん!次の質問は僕ですよ!」
「違うわっ、次はわたし!ちゃんと順番くらい守りなさい」
「ねえねえ、シャオさん。今から雷魔法の練習しませんか?」
「うわっ!それいいな!訓練場行こう!ほらっ、シャオさん早く!」
「・・・・・・行きませんし、みんな、一旦落ち着いて・・・」
叔父さんの遣いでごく稀に訪ねていた孤児院を思い出す。
僕が扉をノックした瞬間から聞こえてくるのは複数の足音。
ドタドダドタ、バタバタバタバタ!
扉を開くシスターの苦笑いと共に飛び出してくるは満面の笑みの子どもたち。
どすんと尻もちをついてすぐ、引き摺られ中庭へ。
息も絶え絶えで、職員宿舎に帰ったのは一度や二度の話ではない。
・・・そして現在。
食堂の出窓横の一席に座る僕を取り囲むのはほぼ初対面だったはずの一年生たち。
「さっきの授業ではどうも」だなんてレベルじゃない。
昼食のトレーを手にしたまま誰が僕の隣に座るか小競り合いが始まってしまい「みんなで食べましょう」の一声で、あっちこっちから机を運び、椅子を運び、大昼食会になってしまった。
食べ終わったところで席を立つこともできず、始まったのは質問攻めと身体検査。
「本当に尻尾ないの?」
「じゃあ牙は?」
「手小さいねぇ。足も見ていい?」
「ねえ、何歳・・・え!成人してるの?!」
「今度私と勝負しましょう。」
「目、真っ黒だねぇ」
「・・・・・・・・・一人ずつ喋ろうね・・・」
昨日の談話室での二度見が嘘のよう。
集られ過ぎて最早周りが見えない。
一年生と言ってもみんな僕と同じか、僕よりも体の大きい子ばかり。
こう見るとククルのような有翼人、ヨスカくんのような竜人の数は少ないんだなぁ。獣人が圧倒的多数だ。
耳や尻尾、牙や角。同じ種族でも形や色に個性があって実に興味深い。
こうもいろんな種族がいるならぜひとも一人一人ゆっくり観察させてもらいたい。
実は僕、動物は結構好きなんです。
中でも特に好きな動物がいてですね────・・・
「なあなあ、お前どこであんな強力な魔法覚えたん。」
さっきからずっと僕の右腕を抱きしめて離さない獣人の男の子がいる。
くりくりした大きな瞳は新芽を思わせる淡緑色で、真っ直ぐ僕に向いている。
空気を纏った柔らかそうな金髪は、窓から差し込む日の光で輝いて見えた。
「お前ではなく、僕の名前はシャオです。」
「シャオは人間なのに何であんな魔法使えるん?」
「・・・んー・・・それが僕にもよく分からなくてですね・・・」
「自分のことなのに?変なの。」
「・・・ふふ、僕もそう思います。」
何とも素直な物言いについ笑ってしまった。
僕の笑いにつられたのか、その子の頭上、三角の耳がぴくぴくと動く。
当たり前だけど・・・生えてるんだよなぁ。
尻尾も左右にふよふよ動いてるし、本当・・・・・・堪らない。
だって僕、無類の猫好き。
薬草園にもたまにふら~とやってくる猫がいて、少し離れたところで昼寝をしたり、気紛れに僕の足に擦り寄ってきたり。
撫でてやるとゴロゴロと喉を鳴らす姿なんてもう・・・っ!
ああ、思い出したら我慢できなくなってきた。
「ねぇ、その耳ちょっと触ってもいい?」
「・・・・・・は?」
「(・・・あれ?)」
僕の一言に周りの生徒がざわついた。
まずいことでも言ったかな・・・、耳を触るのは禁止!なんて校則でもあったりする?
当の本人は驚いた表情の後、少し恥ずかしそうにぽりぽり鼻の頭を掻いていて、またそこも猫っぽい。
「きゅ、急にごめんね?!ふわふわしてて、かわ・・・素敵な耳だなと思ってつい口に出しちゃって、」
「いいぜ。」
「・・・え?」
「み、耳!触りたいんだろ。シャオなら別に、触ってもいい・・・」
頰に赤みが差し、色白の肌にほんのり色がつく。
僕よりも少し大きな体なのに上目遣いに見えるのは、猫耳を僕に差し出してくれているからだろう。
時折動く目の前の猫耳は破壊力抜群で、口角が上がってしまう。
もう一度「触っていいの?」と尋ねると、男の子は僕を一瞥した後静かにこくりと頷いた。
「えっと・・・じゃあ、遠慮なく。失礼しま────」
「待てゴルァ。シャオ、あんた何しようとしてんの。」
「っわあ!!び、びっ!びっく、り・・・っ!」
「それ俺のセリフだから。」
一瞬で頭上を通り過ぎた巨体。
愛くるしい猫耳に伸ばした腕をとられ、体が後方へ引っ張られる。
今朝も見た焦茶と黒の大きな翼が後ろから回り込み、僕の視界はあっという間に遮られてしまった。
周囲が何も見えなくなり、顎を掴まれ強制的に上を向くと不機嫌そうな青灰色と目が合った。
「目を離したらこのザマだ。ふざけんなよ。」
「べっ、別に僕は何も、」
「じゃあ今何しようとしてたんだ。」
「えっと、耳を・・・触らせてもらおうと・・・、あ!引っ張ろうとかそんな意地悪なこと考えてませんよ?!」
「・・・・・・」
「なっ、何ですか?その馬鹿にするような目は、うわあああっ、」
背中と膝裏に腕を差し込まれ一瞬で宙に浮く横抱きの体。
一気に上昇していく景色、そして食堂の天井をよく見ると大きな天窓が開いていて、有翼人はそこからも自由に出入りできるような造りになっていることにようやく気づいた。
身を乗り出し、下を見ると唖然とした顔の一年生たち。
そして片付けていない僕のトレー。
「ちょっ、僕まだ食器片付けて、」
「獣人の耳を触るっつーのはなぁ!」
「は、はい?!」
「好意をアピールするためなんだよ!」
「・・・・・・はいい??!」
「・・・ったく・・・、勘弁しろ・・・」
「?!?!ごめんなさい?!」
・・・と言うことは。
先ほどの僕の行動(未遂)は、遥か年下の男の子に「ちゅき、好き~~♡」ってしようとしてたってこと・・・?
あの子も急に言われたもんだから、断れなかったんだろう。
たいっへん申し訳ない・・・!
「ぼっ、僕、あの子に、あ、あ、謝らないと!下ろしてください!」
「行かせるかよ馬鹿。何だあの一年、シャオに匂いまで付けやがって。分かりやす過ぎだろ。」
「?!な、何言ってるんですか?!」
「下見てみろ、下。」
「・・・はあ?」
天窓近くで止まったククル。
この食堂は天井が高く、今も相当高い場所にいる。
恐る恐るもう一度下を向くと、またワーワー騒ぐ一年生の中に混じってこちらを睨みつけるあの淡緑色の瞳が見えた。
猫耳は伏せ気味で外を向き、尻尾はピンと上に向かって伸びている。
ここからでもわかるくらい彼は大きく息を吸い、両手をこちらへ突き出して叫んだ。
「俺はイザーク!猫じゃねぇぞ!虎の獣人だ!ちゃんと覚えとけ、シャオ!」
イザークくんが大きく左右に両手を開き、思い切りパン!と手を叩く。
その瞬間、僕の周りを囲むように色とりどりの花が現れた。
花に手を伸ばすとそこに実体はなく、何も掴めない。
この距離で見てもこの花が幻だと信じられないくらい、本当に緻密で繊細な魔法。
「すっ・・・凄い!今度またこの魔法見せてくだっ、んぐっ、んん?!」
「あー・・・だりぃ。」
「んん、んぐ?!」
「あいつ何寮だぁ?星寮なら今日中に絞める。」
「?!むごっ、む、むむっ、」
「午後の授業は俺と一緒だろ。さっさと行くぞ、この獣人誑し。」
「??!むぐぅっ!??」
目も口も、一度に覆えるほど大きなククルの手が邪魔で何も見えない喋れない。
何も喋らなくなったククルにそのまま連行され、到着した五年生の授業場所にはあのヨスカくんも居た。
それぞれ違った理由でむすっとしている僕とククルを見比べ、鼻をすんすん動かしている。
そして何かに気付いたらしい。
にやにやとした笑みを浮かべククルの肩を何度も叩いた。
「ククルも苦労するね。面白~い。」
「苦労してるのは僕なんですが?」
「面白がんな。角折んぞ。」
「まあまあそう言わずに。心を広く持ちなよ。」
「・・・お前、ランスに同じことされたらどうすんだ。」
「え?半殺しにするけど?」
何の躊躇もないヨスカくんの恐ろしい返事に僕は思わず後退り。
にこにこ顔に全く合わないその返事に、ククルは「だろうがよ」とぐしゃぐしゃと自分の頭を掻いていた。
二人の会話についていけない僕を置き去りにして、午後の授業は大きな鐘の音を合図に始まった。
廊下の端や食堂でひそひそこそこそ話すような話は大体妬み、嫉妬だったと理解している。
僕はそんな会話に入らなかったし、入りたくもなかった。
自然と聞こえる分は仕方ないとして、あの研究員たちのどろどろとした大人の貶し合いも、目の前のこの子達のように堂々として、きゃぴきゃぴとした会話だったのなら、少しは可愛く見えた・・・・・・かもしれない。
「シャオさん!シャオさん!次の質問は僕ですよ!」
「違うわっ、次はわたし!ちゃんと順番くらい守りなさい」
「ねえねえ、シャオさん。今から雷魔法の練習しませんか?」
「うわっ!それいいな!訓練場行こう!ほらっ、シャオさん早く!」
「・・・・・・行きませんし、みんな、一旦落ち着いて・・・」
叔父さんの遣いでごく稀に訪ねていた孤児院を思い出す。
僕が扉をノックした瞬間から聞こえてくるのは複数の足音。
ドタドダドタ、バタバタバタバタ!
扉を開くシスターの苦笑いと共に飛び出してくるは満面の笑みの子どもたち。
どすんと尻もちをついてすぐ、引き摺られ中庭へ。
息も絶え絶えで、職員宿舎に帰ったのは一度や二度の話ではない。
・・・そして現在。
食堂の出窓横の一席に座る僕を取り囲むのはほぼ初対面だったはずの一年生たち。
「さっきの授業ではどうも」だなんてレベルじゃない。
昼食のトレーを手にしたまま誰が僕の隣に座るか小競り合いが始まってしまい「みんなで食べましょう」の一声で、あっちこっちから机を運び、椅子を運び、大昼食会になってしまった。
食べ終わったところで席を立つこともできず、始まったのは質問攻めと身体検査。
「本当に尻尾ないの?」
「じゃあ牙は?」
「手小さいねぇ。足も見ていい?」
「ねえ、何歳・・・え!成人してるの?!」
「今度私と勝負しましょう。」
「目、真っ黒だねぇ」
「・・・・・・・・・一人ずつ喋ろうね・・・」
昨日の談話室での二度見が嘘のよう。
集られ過ぎて最早周りが見えない。
一年生と言ってもみんな僕と同じか、僕よりも体の大きい子ばかり。
こう見るとククルのような有翼人、ヨスカくんのような竜人の数は少ないんだなぁ。獣人が圧倒的多数だ。
耳や尻尾、牙や角。同じ種族でも形や色に個性があって実に興味深い。
こうもいろんな種族がいるならぜひとも一人一人ゆっくり観察させてもらいたい。
実は僕、動物は結構好きなんです。
中でも特に好きな動物がいてですね────・・・
「なあなあ、お前どこであんな強力な魔法覚えたん。」
さっきからずっと僕の右腕を抱きしめて離さない獣人の男の子がいる。
くりくりした大きな瞳は新芽を思わせる淡緑色で、真っ直ぐ僕に向いている。
空気を纏った柔らかそうな金髪は、窓から差し込む日の光で輝いて見えた。
「お前ではなく、僕の名前はシャオです。」
「シャオは人間なのに何であんな魔法使えるん?」
「・・・んー・・・それが僕にもよく分からなくてですね・・・」
「自分のことなのに?変なの。」
「・・・ふふ、僕もそう思います。」
何とも素直な物言いについ笑ってしまった。
僕の笑いにつられたのか、その子の頭上、三角の耳がぴくぴくと動く。
当たり前だけど・・・生えてるんだよなぁ。
尻尾も左右にふよふよ動いてるし、本当・・・・・・堪らない。
だって僕、無類の猫好き。
薬草園にもたまにふら~とやってくる猫がいて、少し離れたところで昼寝をしたり、気紛れに僕の足に擦り寄ってきたり。
撫でてやるとゴロゴロと喉を鳴らす姿なんてもう・・・っ!
ああ、思い出したら我慢できなくなってきた。
「ねぇ、その耳ちょっと触ってもいい?」
「・・・・・・は?」
「(・・・あれ?)」
僕の一言に周りの生徒がざわついた。
まずいことでも言ったかな・・・、耳を触るのは禁止!なんて校則でもあったりする?
当の本人は驚いた表情の後、少し恥ずかしそうにぽりぽり鼻の頭を掻いていて、またそこも猫っぽい。
「きゅ、急にごめんね?!ふわふわしてて、かわ・・・素敵な耳だなと思ってつい口に出しちゃって、」
「いいぜ。」
「・・・え?」
「み、耳!触りたいんだろ。シャオなら別に、触ってもいい・・・」
頰に赤みが差し、色白の肌にほんのり色がつく。
僕よりも少し大きな体なのに上目遣いに見えるのは、猫耳を僕に差し出してくれているからだろう。
時折動く目の前の猫耳は破壊力抜群で、口角が上がってしまう。
もう一度「触っていいの?」と尋ねると、男の子は僕を一瞥した後静かにこくりと頷いた。
「えっと・・・じゃあ、遠慮なく。失礼しま────」
「待てゴルァ。シャオ、あんた何しようとしてんの。」
「っわあ!!び、びっ!びっく、り・・・っ!」
「それ俺のセリフだから。」
一瞬で頭上を通り過ぎた巨体。
愛くるしい猫耳に伸ばした腕をとられ、体が後方へ引っ張られる。
今朝も見た焦茶と黒の大きな翼が後ろから回り込み、僕の視界はあっという間に遮られてしまった。
周囲が何も見えなくなり、顎を掴まれ強制的に上を向くと不機嫌そうな青灰色と目が合った。
「目を離したらこのザマだ。ふざけんなよ。」
「べっ、別に僕は何も、」
「じゃあ今何しようとしてたんだ。」
「えっと、耳を・・・触らせてもらおうと・・・、あ!引っ張ろうとかそんな意地悪なこと考えてませんよ?!」
「・・・・・・」
「なっ、何ですか?その馬鹿にするような目は、うわあああっ、」
背中と膝裏に腕を差し込まれ一瞬で宙に浮く横抱きの体。
一気に上昇していく景色、そして食堂の天井をよく見ると大きな天窓が開いていて、有翼人はそこからも自由に出入りできるような造りになっていることにようやく気づいた。
身を乗り出し、下を見ると唖然とした顔の一年生たち。
そして片付けていない僕のトレー。
「ちょっ、僕まだ食器片付けて、」
「獣人の耳を触るっつーのはなぁ!」
「は、はい?!」
「好意をアピールするためなんだよ!」
「・・・・・・はいい??!」
「・・・ったく・・・、勘弁しろ・・・」
「?!?!ごめんなさい?!」
・・・と言うことは。
先ほどの僕の行動(未遂)は、遥か年下の男の子に「ちゅき、好き~~♡」ってしようとしてたってこと・・・?
あの子も急に言われたもんだから、断れなかったんだろう。
たいっへん申し訳ない・・・!
「ぼっ、僕、あの子に、あ、あ、謝らないと!下ろしてください!」
「行かせるかよ馬鹿。何だあの一年、シャオに匂いまで付けやがって。分かりやす過ぎだろ。」
「?!な、何言ってるんですか?!」
「下見てみろ、下。」
「・・・はあ?」
天窓近くで止まったククル。
この食堂は天井が高く、今も相当高い場所にいる。
恐る恐るもう一度下を向くと、またワーワー騒ぐ一年生の中に混じってこちらを睨みつけるあの淡緑色の瞳が見えた。
猫耳は伏せ気味で外を向き、尻尾はピンと上に向かって伸びている。
ここからでもわかるくらい彼は大きく息を吸い、両手をこちらへ突き出して叫んだ。
「俺はイザーク!猫じゃねぇぞ!虎の獣人だ!ちゃんと覚えとけ、シャオ!」
イザークくんが大きく左右に両手を開き、思い切りパン!と手を叩く。
その瞬間、僕の周りを囲むように色とりどりの花が現れた。
花に手を伸ばすとそこに実体はなく、何も掴めない。
この距離で見てもこの花が幻だと信じられないくらい、本当に緻密で繊細な魔法。
「すっ・・・凄い!今度またこの魔法見せてくだっ、んぐっ、んん?!」
「あー・・・だりぃ。」
「んん、んぐ?!」
「あいつ何寮だぁ?星寮なら今日中に絞める。」
「?!むごっ、む、むむっ、」
「午後の授業は俺と一緒だろ。さっさと行くぞ、この獣人誑し。」
「??!むぐぅっ!??」
目も口も、一度に覆えるほど大きなククルの手が邪魔で何も見えない喋れない。
何も喋らなくなったククルにそのまま連行され、到着した五年生の授業場所にはあのヨスカくんも居た。
それぞれ違った理由でむすっとしている僕とククルを見比べ、鼻をすんすん動かしている。
そして何かに気付いたらしい。
にやにやとした笑みを浮かべククルの肩を何度も叩いた。
「ククルも苦労するね。面白~い。」
「苦労してるのは僕なんですが?」
「面白がんな。角折んぞ。」
「まあまあそう言わずに。心を広く持ちなよ。」
「・・・お前、ランスに同じことされたらどうすんだ。」
「え?半殺しにするけど?」
何の躊躇もないヨスカくんの恐ろしい返事に僕は思わず後退り。
にこにこ顔に全く合わないその返事に、ククルは「だろうがよ」とぐしゃぐしゃと自分の頭を掻いていた。
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