3 / 21
3
しおりを挟む
僕は16歳になった。
六つ歳下の妹、ユイと並ぶと僕の方が小さい。
・・・なんでだ。
きっとユイがいつまで経っても食いしん坊だから、ユイに栄養をとられたんだ。
身体も細くて、色白。
それが少しコンプレックス。
人魚の中では珍しい真っ黒な髪を、あの王子様と同じように一つに結んでいる。
「兄様!今日も上に行くの?ユイと遊ぼうよぉ。」
「ユイが木の実食べたいって言ったんだろ~!!要らないのか?」
「・・・いるぅ。いってらっしゃーい。」
ぷぅ、と頬を膨らませるユイ。
人魚が地上に上がっていいのは14歳になってから。
ユイはまだ10歳だ。地上には上がれない。
そもそも魔力がまだ足りないから、人間の姿になれない。
ユイはどこか不満げな顔で、僕に手を振り見送りをする。
・・・なんだよ、僕、ユイのために木の実探しに行くんだけど。
「・・・ぷはっ!うわっ!今日も良い天気!さすが、太陽の国!」
燦々と注ぐ陽の光に目が眩む。
まだ朝なのに、もうすでに暑い。
これなら湖の水もすぐ乾くから、早く人間になれそう。
いつも決まった木の下で、僕は足を乾かす。
僕の鱗は、薄い灰色なんだけど、あの宝玉みたいな、不思議な光り方をする。
僕はそれがお気に入りだ。
だって、婆様が綺麗、っていつも褒めてくれていたから。
「うう~・・・やっぱりゾワゾワするなぁ、この瞬間。いつまで経っても慣れない。」
淡い光を発しながら、僕のヒレが人間の足へと変化していく。
初めてこれを体験した時には、気持ち悪くて気持ち悪くて・・・・・・。
二年経った今では、ゾワゾワ程度になったけど、気持ち悪いのには変わりない。
用意しておいた人間の服をささっと着たら・・・
「はいっ!人間の男の子の完成!」
歩く練習も、最初の方は父様に手伝ってもらって何とか様になった。
今では、普通の人間に見える・・・はず。
「この黒い髪が、役に立ってるよなぁ、本当。人魚の中では浮いちゃうけどさ。」
人魚では珍しい黒い髪も、人間にはいくらでもいる。
むしろ、あの銀の髪は人魚の色だ。
「あの人も人魚の血が入ってるんだろうな・・・王族だし。・・・さてと。」
僕は、湖のすぐ隣の森に向かって、片手を突き出した。
「今日もたっっくさん、木の実集めるぞーーー!」
そよそよと吹く風が心地いい。
まさか今日があんな日になるなんて、この時の僕は、まだ知らない。
六つ歳下の妹、ユイと並ぶと僕の方が小さい。
・・・なんでだ。
きっとユイがいつまで経っても食いしん坊だから、ユイに栄養をとられたんだ。
身体も細くて、色白。
それが少しコンプレックス。
人魚の中では珍しい真っ黒な髪を、あの王子様と同じように一つに結んでいる。
「兄様!今日も上に行くの?ユイと遊ぼうよぉ。」
「ユイが木の実食べたいって言ったんだろ~!!要らないのか?」
「・・・いるぅ。いってらっしゃーい。」
ぷぅ、と頬を膨らませるユイ。
人魚が地上に上がっていいのは14歳になってから。
ユイはまだ10歳だ。地上には上がれない。
そもそも魔力がまだ足りないから、人間の姿になれない。
ユイはどこか不満げな顔で、僕に手を振り見送りをする。
・・・なんだよ、僕、ユイのために木の実探しに行くんだけど。
「・・・ぷはっ!うわっ!今日も良い天気!さすが、太陽の国!」
燦々と注ぐ陽の光に目が眩む。
まだ朝なのに、もうすでに暑い。
これなら湖の水もすぐ乾くから、早く人間になれそう。
いつも決まった木の下で、僕は足を乾かす。
僕の鱗は、薄い灰色なんだけど、あの宝玉みたいな、不思議な光り方をする。
僕はそれがお気に入りだ。
だって、婆様が綺麗、っていつも褒めてくれていたから。
「うう~・・・やっぱりゾワゾワするなぁ、この瞬間。いつまで経っても慣れない。」
淡い光を発しながら、僕のヒレが人間の足へと変化していく。
初めてこれを体験した時には、気持ち悪くて気持ち悪くて・・・・・・。
二年経った今では、ゾワゾワ程度になったけど、気持ち悪いのには変わりない。
用意しておいた人間の服をささっと着たら・・・
「はいっ!人間の男の子の完成!」
歩く練習も、最初の方は父様に手伝ってもらって何とか様になった。
今では、普通の人間に見える・・・はず。
「この黒い髪が、役に立ってるよなぁ、本当。人魚の中では浮いちゃうけどさ。」
人魚では珍しい黒い髪も、人間にはいくらでもいる。
むしろ、あの銀の髪は人魚の色だ。
「あの人も人魚の血が入ってるんだろうな・・・王族だし。・・・さてと。」
僕は、湖のすぐ隣の森に向かって、片手を突き出した。
「今日もたっっくさん、木の実集めるぞーーー!」
そよそよと吹く風が心地いい。
まさか今日があんな日になるなんて、この時の僕は、まだ知らない。
応援ありがとうございます!
10
お気に入りに追加
98
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる