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グレイス編
20
「ほら。ララ、もう泣き止んで?せっかく・・・また会えたんだから。」
「んっ、ぐすっ、う、うん。わかった。ぐす、」
ララは僕にしがみついたまましばらく泣き続けた。
あの頃みたいに、僕はララの背中をとんとん、と摩る。
お互い母さんに叱られた時はこうやって、慰め合ってたなぁ。
僕の母さんも怒るとめちゃくちゃ怖かったから、よく泣いてた。
「シン、立ったままも疲れる。向こうで休憩しよう。」
「は、はいっ!ありがとうございます・・・。ララ、行こう?」
こくんと、ララが静かに頷く。
僕はララの手を引いて、少し離れた森の入り口を目指した。
何箇所か、木と木の間にタープが張られているのが見える。
身体はこんなに大きくなったのに、泣き虫なのは相変わらずなんだな。
「ほらほら、人間のララちゃん。いつまでも泣いてたら不細工になるわよ。そろそろ泣き止みなさい。いいわね?これ、ハーブティーよ。二人で飲むといいわ。」
「はっ、はい!ご、ごめんなさい・・・嬉しくて・・・」
「ディーナさん・・・ありがとうございます。」
「いいのよ。私たちはあっちにいるから。ゆっくりお話しするといいわ。ほら、あんた達っ、そっち行くわよっ!」
「・・・・・・シン、あとで迎えに来る。」
「はい!ロシュさん。ありがとうございます。」
ディーナさんに腕を引っ張られながら移動するロシュさんの尻尾がペタッと下がっている。
・・・心配してくれてるんだろうな。
獣人のヒト達は感情が目に見えて分かるから、人間より安心する。
「・・・シン兄ちゃん、大丈夫なの・・・?」
「ん?何が?僕はそのララの腫れた目の方が心配だけど?」
「・・・もう。あのヒト達のことだよ。前に来たことある、あの翼が生えたヒト達は、優しかったけどさ。」
「翼・・・、ヨミさん達ね。ヨミさんが教えてくれたんだよ。ララのこと。・・・もしかして、ロシュさんのこと?」
ララがチラッと、ロシュさん達の方を見る。
不安そうで、そしてどこか疑っているような目だ。
そうだよね。戦争に勝った国の相手と僕は今一緒にいる。
そして、この黒髪だ。
僕がロシュさん達に利用されてるんじゃないか、ララは心配してくれているんだろう。
同じ黒髪だ。
これまで少なからず、そういう理由で嫌な思いはしてきたはず。
僕は、ララにあの頃と同じように微笑んだ。
「ララ、心配してくれてるんだよね。ありがとう。でも僕今、とっても安心出来る場所にいるんだ。」
そう、これが今の僕の本心。
母さんがいない村。
そして、誰もいないあの塔の中。
安心できる場所なんてなかった。
本当は誰にも会わず、ソレイユに行っても良かったのかもしれない。
でもララのことを聞いて、ララにだけは会いたかった。
僕の、たった一人の人間の友達だったから。
ララは僕の言葉を静かに聞いていた。
しばらく目に涙を溜めながら何か考えていたけど、その溜まった涙をごしごし手で拭うと、真っ直ぐ僕を見た。
薄茶色の瞳が、相変わらず澄んでいて、安心する。
「私ね、ずっと・・・ずっと、シン兄ちゃんに謝りたかったの。村の・・・ううん、私の両親がシン兄ちゃんにしたこと、聞いたの。」
「・・・あの時はきっとそうするしかなかったんだよ、ララ。」
「そんなことないっ!!!あんなの間違ってる!!私が・・・もう少し強い力持ってたら・・・シン兄ちゃんを一人で行かせることなんて・・・っ、」
「ララ。それ以上言わないで。・・・もう、全部終わったんだよ。」
「ひっく、でも、でもぉ~・・・」
「ララ、よく聞いて。」
僕はララの手を優しく手に取る。
家の手伝いを良くしてるんだろう。
ところどころ、小さな切り傷がある。
その手をそっと、握りしめた。
「この首輪見て。僕のこと・・・本当に大切に思ってくれるヒトができたんだよ。僕・・・・・・そのヒト達と一緒にソレイユに行く。ララとはここで、お別れなんだ。」
握った手が、ピクリと動いた。
口をぎゅっと固く閉め、泣かないように、泣かないように、我慢するララの瞳は本当に澄んでいる。
「また会いに来れるか分からない・・・けどね、僕、きっと幸せになるから。ララも、幸せになって。」
「・・・ん。わ、かった。私、村一番の美人、って言われてるんだからっ!シン兄ちゃんより可愛い人見つけて、その人と結婚するっ!」
「か、か、可愛い!?僕喜んでいいの、それ・・・?」
「喜んでいいのっ!シン兄ちゃん・・・大好きだよ。絶対、絶対、幸せになってね。約束・・・ひっく、なんだからぁ~~!」
「・・・ふふ、ふふふっ、また泣くんだから。ほら、ディーナさんにも言われたでしょ?不細工になるよ。泣き止んで。ほら、ハーブティー飲もう?」
「でぃーな、さん?ぐすっ、あの綺麗なヒト?あのヒトが、シン兄ちゃんの恋人?」
「ブッフォっ!ゲホッ、ゴホッ、」
「あ、違うの?じゃあ、あの髪の毛結んでるヒト?・・・・・・・・・まさかあの怖そうな虎のヒトじゃないよね?!」
「ゲホッ、ゲホッ。もう、ララったら本当そういう話好」
「ねぇってば!どのヒト!?」
僕はチラリとロシュさんの方を見た。
ディーナさんやフォルさんに話し掛けられているけど、ブスッと不機嫌そうにそっぽを向いている。
相変わらず耳も尻尾も元気が無さそう。
いつもあんなに自信満々なのに。
木の間から注ぐ陽の光に反射する金髪、そして黄金の瞳。
手や足はとっても長くて、きゅっと引き締まっている身体。
そんなヒトが何で僕を・・・?っていまだに思うけど。
「・・・・・・虎のヒトなんだね。シン兄ちゃん、顔真っ赤だよ。」
「・・・顔洗って冷やしたい・・・。ララのせいだからね、もう・・・」
そんな僕をニヤリとした顔で見たララが「虎の獣人様~!シン兄ちゃんのお迎えお願いしまーす!」と大声で叫んだのは、その後で。
僕は大慌ててで、顔に目一杯手で風を送るはめになった。
「んっ、ぐすっ、う、うん。わかった。ぐす、」
ララは僕にしがみついたまましばらく泣き続けた。
あの頃みたいに、僕はララの背中をとんとん、と摩る。
お互い母さんに叱られた時はこうやって、慰め合ってたなぁ。
僕の母さんも怒るとめちゃくちゃ怖かったから、よく泣いてた。
「シン、立ったままも疲れる。向こうで休憩しよう。」
「は、はいっ!ありがとうございます・・・。ララ、行こう?」
こくんと、ララが静かに頷く。
僕はララの手を引いて、少し離れた森の入り口を目指した。
何箇所か、木と木の間にタープが張られているのが見える。
身体はこんなに大きくなったのに、泣き虫なのは相変わらずなんだな。
「ほらほら、人間のララちゃん。いつまでも泣いてたら不細工になるわよ。そろそろ泣き止みなさい。いいわね?これ、ハーブティーよ。二人で飲むといいわ。」
「はっ、はい!ご、ごめんなさい・・・嬉しくて・・・」
「ディーナさん・・・ありがとうございます。」
「いいのよ。私たちはあっちにいるから。ゆっくりお話しするといいわ。ほら、あんた達っ、そっち行くわよっ!」
「・・・・・・シン、あとで迎えに来る。」
「はい!ロシュさん。ありがとうございます。」
ディーナさんに腕を引っ張られながら移動するロシュさんの尻尾がペタッと下がっている。
・・・心配してくれてるんだろうな。
獣人のヒト達は感情が目に見えて分かるから、人間より安心する。
「・・・シン兄ちゃん、大丈夫なの・・・?」
「ん?何が?僕はそのララの腫れた目の方が心配だけど?」
「・・・もう。あのヒト達のことだよ。前に来たことある、あの翼が生えたヒト達は、優しかったけどさ。」
「翼・・・、ヨミさん達ね。ヨミさんが教えてくれたんだよ。ララのこと。・・・もしかして、ロシュさんのこと?」
ララがチラッと、ロシュさん達の方を見る。
不安そうで、そしてどこか疑っているような目だ。
そうだよね。戦争に勝った国の相手と僕は今一緒にいる。
そして、この黒髪だ。
僕がロシュさん達に利用されてるんじゃないか、ララは心配してくれているんだろう。
同じ黒髪だ。
これまで少なからず、そういう理由で嫌な思いはしてきたはず。
僕は、ララにあの頃と同じように微笑んだ。
「ララ、心配してくれてるんだよね。ありがとう。でも僕今、とっても安心出来る場所にいるんだ。」
そう、これが今の僕の本心。
母さんがいない村。
そして、誰もいないあの塔の中。
安心できる場所なんてなかった。
本当は誰にも会わず、ソレイユに行っても良かったのかもしれない。
でもララのことを聞いて、ララにだけは会いたかった。
僕の、たった一人の人間の友達だったから。
ララは僕の言葉を静かに聞いていた。
しばらく目に涙を溜めながら何か考えていたけど、その溜まった涙をごしごし手で拭うと、真っ直ぐ僕を見た。
薄茶色の瞳が、相変わらず澄んでいて、安心する。
「私ね、ずっと・・・ずっと、シン兄ちゃんに謝りたかったの。村の・・・ううん、私の両親がシン兄ちゃんにしたこと、聞いたの。」
「・・・あの時はきっとそうするしかなかったんだよ、ララ。」
「そんなことないっ!!!あんなの間違ってる!!私が・・・もう少し強い力持ってたら・・・シン兄ちゃんを一人で行かせることなんて・・・っ、」
「ララ。それ以上言わないで。・・・もう、全部終わったんだよ。」
「ひっく、でも、でもぉ~・・・」
「ララ、よく聞いて。」
僕はララの手を優しく手に取る。
家の手伝いを良くしてるんだろう。
ところどころ、小さな切り傷がある。
その手をそっと、握りしめた。
「この首輪見て。僕のこと・・・本当に大切に思ってくれるヒトができたんだよ。僕・・・・・・そのヒト達と一緒にソレイユに行く。ララとはここで、お別れなんだ。」
握った手が、ピクリと動いた。
口をぎゅっと固く閉め、泣かないように、泣かないように、我慢するララの瞳は本当に澄んでいる。
「また会いに来れるか分からない・・・けどね、僕、きっと幸せになるから。ララも、幸せになって。」
「・・・ん。わ、かった。私、村一番の美人、って言われてるんだからっ!シン兄ちゃんより可愛い人見つけて、その人と結婚するっ!」
「か、か、可愛い!?僕喜んでいいの、それ・・・?」
「喜んでいいのっ!シン兄ちゃん・・・大好きだよ。絶対、絶対、幸せになってね。約束・・・ひっく、なんだからぁ~~!」
「・・・ふふ、ふふふっ、また泣くんだから。ほら、ディーナさんにも言われたでしょ?不細工になるよ。泣き止んで。ほら、ハーブティー飲もう?」
「でぃーな、さん?ぐすっ、あの綺麗なヒト?あのヒトが、シン兄ちゃんの恋人?」
「ブッフォっ!ゲホッ、ゴホッ、」
「あ、違うの?じゃあ、あの髪の毛結んでるヒト?・・・・・・・・・まさかあの怖そうな虎のヒトじゃないよね?!」
「ゲホッ、ゲホッ。もう、ララったら本当そういう話好」
「ねぇってば!どのヒト!?」
僕はチラリとロシュさんの方を見た。
ディーナさんやフォルさんに話し掛けられているけど、ブスッと不機嫌そうにそっぽを向いている。
相変わらず耳も尻尾も元気が無さそう。
いつもあんなに自信満々なのに。
木の間から注ぐ陽の光に反射する金髪、そして黄金の瞳。
手や足はとっても長くて、きゅっと引き締まっている身体。
そんなヒトが何で僕を・・・?っていまだに思うけど。
「・・・・・・虎のヒトなんだね。シン兄ちゃん、顔真っ赤だよ。」
「・・・顔洗って冷やしたい・・・。ララのせいだからね、もう・・・」
そんな僕をニヤリとした顔で見たララが「虎の獣人様~!シン兄ちゃんのお迎えお願いしまーす!」と大声で叫んだのは、その後で。
僕は大慌ててで、顔に目一杯手で風を送るはめになった。
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