【完結】ここで会ったが、十年目。

N2O

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しばらく泣いたら砂は目から出ていってくれたらしい。
まともに目が開くようになったから、軽く治癒術をかけておいた。視界良好。オーケー、オーケー。

俺はあの後近くに繋がれていた馬に一緒に乗せられ(担がれ?)、今、どこだと思う?





「絶っっ対人違いだかんな!・・・おい、待てよ。絶対待てよ?これ振りじゃないからな。聞いてますかーー?おーーーーいっ!」

「・・・俺の部屋に、ジェハがいる。」

「?!!何で俺の名前・・・っ?!」

「・・・ボソ(やっぱり俺のこと覚えてないか。)」

「・・・・・・はあ?聞こえねぇよ!」

「まあ、いい。教え直す。」

「・・・・・・はあああああ???」



馬鹿デカい部屋に、馬鹿デカいベッド。
我が家は敷布団だから、こんなデカいベッド初めて見た。初めて寝た。


俺の置かれた状況が大体わかったか?
そう、俺は今・・・



「おいっ!!てめっ、大人しくしてりゃ調子に乗りやがって!!!ふざけんな!ジャケットを脱ぐな!押し倒すな!!!」

「ジェハのどこが大人しい?」

「うるせぇ!!!」



ベッドに押し倒されている。






「つーか、お前!!ここ、城じゃん!あのどデカい中央の城じゃん!城に自室って!もしかして、もしかする!!?いや、もう確定!?」

「混乱した顔もいいな。」

「名を名乗れ!!!筋肉馬鹿野郎が!!!」

「名乗ったら、今すぐ嫁いでくれるか?」

「€○×#$%~~っ、やなこった!!!!!!お前っ、マジで第二皇、」

「少し黙れ、ジェハ。」

「!!??!んむっ、」



不敵な笑みが急に近づいてきたかと思ったら、そのまま俺との距離が0になった。
睫毛なっが。灰色の目って珍し。

・・・・・・いやいやいや、違うぞ、俺。
そうじゃない。



お!お!俺の!



初めての、ち、ち、ち、ちゅー!!!!!!




「んむ、んん、んーーーん!!!」

「・・・・・・ジェハ。会いたかった。」

「!!!?!んっ、んんっ、」


泣きそうな声で『会いたかった』なんて言われたからびっくりした。
びっくりした反動で、それまでぎゅっと固く閉じていた唇が少し開いてしまい、まさかの舌が侵入。
両手で抵抗したいところだが、こいつの大きくてゴツゴツした手によってベッドに縫い付けられてる。
つまり、俺は動けない。


しかもこいつの舌が熱くて、熱くて。
また、驚いて口を開けてしまった。



「あうっ、んんんっ、お、まっ、え!んんっ、」

「サフィーだ。ジェハ。」

「んんんっ、んむっ、」

「・・・はあ。かわいい。」

「???!!」



熱い吐息と共にするり、と背中を撫でられて、閉じていた目を慌てて開ける。
俺のことをガン見する男とばっちり目があった。
嬉しそうに弧を描きながら、背中を撫でる手も、口の中を動き回る舌も、一向に止まる気配はない。



やばい。
やばい。
やばい。




恥ずかしくて、心臓止まる。






「んむむーむ!!あぐっ、んむーーーー!(おい、てめぇ、いい加減にしろ!)」

「っ、痛ぇ・・・」

「・・・あ、ご、ごめん。」


羞恥心の限界到達で、思いっきり舌を噛んでやった。逃げ方を他に思いつかなかった。

反射的に謝ったけど、これは正当防衛ってやつだよな?俺、悪くない。絶対悪くない。
うわぁ・・・でも・・・結構、血出てる。痛そ~・・・
サフィーとか言う筋肉馬鹿の、元々赤みの強い唇が、さらに血で真っ赤。
俺の口の中も血の味するし。
思いっきり噛みすぎた・・・か?
でも今のうちにさっさとここから逃げ・・・ないと・・・・・・・・・



・・・・・・・・・
・・・・・・・・・

・・・・・・・・・クソッ!





「じっとしとけよ。」

「・・・・・・ふっ、ふは」

「笑うな。強姦魔。」

「まだそこまで出来てない。」

「絶対すんなよ?!!!」

「・・・・・・・・・・・・」

「何で黙る???!馬鹿なの?!」

「・・・ジェハ、かわいい。」

「~~~っ、んだよ。もうお前口閉じとけ!!!」


血がじわじわ滲み出すそいつの口元に、俺は静かに手をかざす。
淡い光と共に、シュワシュワ小さな泡のような光の粒が溢れ出す。



光の粒が全て消えると唇に血は付いたままだが、血は完全に止まった。



「・・・・・・痛みや違和感は?」

「ない。ジェハは・・・今もそういう奴なんだな。」

「・・・え?」


きゅっと、眉間に皺が寄り、今にも泣きそうな顔をした男。
それもほんの一瞬で、俺が呆気に取られている間にまたすぐ腕の中に捕まってしまった。



「おおおおわっ!てめっ、抱き付くな!!俺はもう帰、」
「会いたかった。本当に会いたかったんだ、ジェハ。愛してる。好きだ。ずっと、ずっと。」

「は、はあ?初対面で、なに言・・・・・・ええ?うぐっ、力強っ、」

「サフィーと、名を呼んでくれ。」

「うぐぐっ・・・や、だ。・・・!?ぐえええっ、」

「・・・頼む、ジェハ。」


ぎゅううううううっと、渾身の力で俺を抱きしめ(締め殺される?)、強制的に額と額を合わせてきた、灰色の瞳。
言葉にしなくても、そのゆらゆら揺れる灰色が「絶対に逃さない」と語っているようだった。



「ぐえっ・・・、力の加減を、ぐっ、考えろ・・・さ、さ、サフィーーー!!」

「・・・っ、うん。ジェハ、好きだ。」

「そ、そ、そういう、甘ったるい言葉を、ポンポンポンポン言うな!!」

「言わないと何事も伝わらない。」

「ぐぅ・・・っ、ごもっともですねぇ・・・!?」

「ふっ、ふふ、」

「~~~!??」



嬉しそうに、ふわりと微笑んだサフィーとかいう筋肉馬鹿は、緩めた腕の力を少しだけまた強くした後、また俺に触れるだけの、キスをした。







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