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最初からサフィーは身分を隠す気はないらしい。
俺は昨日よりも少し鍔の小さな帽子を被ってきたけど、隠したところでサフィーの場合、赤い髪も、灰色の目も珍しいから目立つもんな。
街に着いた途端、みんなサフィーに手を振ったり、声掛けてきたり。勿論、少し距離を置いて。
おお・・・!当たり前だけど、超超有名人。
帝国の皇族と平民の距離感も割と近いんだな。
しかもサフィーも愛想はあんまりないけど、ちゃんと対応してる。
意外と、いい感じだ。
近寄ってきた人の中にはサフィーと俺を見比べて「良かったですね・・・っ!」と涙ぐむ人も結構居たんだけど、あれは何・・・?
しかも「お二人が持ってるだけで良い宣伝になるから!」と店の売り物である菓子とか、串焼きとか果物とか渡してくる人もいて。
あれよあれよと・・・・・・
「ほ、本当にこんなに貰っていいのかな・・・」
「民の厚意だ。好きなだけ食えばいい。」
「ええ・・・・・・?」
年季の入った木製のテーブルの上には、種類豊富な食べ物たち。
両手で抱えきれなくなって、キョロキョロしてたらたまたま昨日リファと一緒に串焼きを食べた場所が空いていたからそこに座った。
リファが見たら、涎垂らして喜びそう。
「だっ、だって、みんなサフィーにあげた訳だし、俺は・・・」
「むしろ、ジェハへの貢物だろ。」
「・・・・・・・・・何故にそうなる?」
「ジェハは自分の立場を全く分かっていない。」
「はあ?」
「・・・・・・心配だ。」
「はあ??」
サフィーの言ってる意味がわからなくて、う~んと腕を組み、無い頭を捻って考えたけど、やっぱわからん。
そんな俺をサフィーは頬杖をつきながら、まるで観察するように眺めていた。
「とにかく好きなものから食え」と、急かされて、俺は好物の甘酸っぱい果物を手に取り、皮も剥かずにかぶりつく。
串焼きから食べても良かったけど、朝ろくに食べてなかったから、いきなり串焼きは重いな~、と思ってさ。
うん。これが、正解。
「最っ高・・・!うまぁ・・・!」
ああ・・・美味しい。瑞々しい。甘味が強い。
今朝採ったばっかりの物かな?
何個でもいける。
もぐもぐと、果汁が滴り落ちるのも無視してかぶりついていると、サフィーの手が俺の腕に伸びてきた。
あ、さすがに行儀が悪すぎたとか?
一応皇子だったな、サフィー。
「すまん」と言う意味を込めて、ちょっと頭を下げるとサフィーは眉を下げて、くすりと笑った。
「・・・相変わらずそれ好きなんだな、ジェハ。」
「え?」
ぐんっ、とサフィーの方へ腕を引かれた。
俺の腕に垂れた果汁を、サフィーは何の抵抗もなく舐めとる。
普段なら、絶叫して、ぶん殴ってるところだと思う。
けど、この時何故か強烈な既視感と共に"そうされるのが当たり前"のような、不思議な、不思議な感覚に陥ってしまって、俺は食べかけだった果物を思わず落としてしまった。
俺がぽかん、と固まってしまったのを見てジェハも不思議そうな顔で首を傾げる。
そのサフィーの顔が、本当に穏やかな顔で、優しくて、「おいおいさっき声掛けたみんなにその顔したらイチコロだぜ」と声に出して言ってしまいそうだった。
最後の一滴、と言わんばかりに俺の手首についた果汁をペロリと舐めた後、サフィーは瞬時に意地悪そうな顔をして、ムギュと俺の鼻を摘む。
「・・・何すんだよ、こら。」
「目ぇ開けて寝てるのかと思ってな。」
「んなわけねぇだろ。」
「くっ、ふふふ、ふはっ、」
「お、俺で遊ぶな!!!」
「遊んでない。愛おしいと思っただけだ。」
「ぐっ、ぐぬぬ・・・っ!お前も早く食え!!勿体無いだろ!!」
「はいはい。」
「適当にあしらうな!!」
「はいはい。」
「~~~~クソッ!!!!」
ガブッと、蒸したパンに齧り付く。
絶対絶対絶対絶対、美味しいはずなのに。
耳が熱くて。
心臓が煩くて。
味がよくわからない。
ごめんよ、屋台のおばちゃん。
また今度ちゃんとお金を払って買いに行くから。
この後サフィーは俺の三倍くらいの量をぺろりと平らげて、さも当然かの如く俺の腰に手を回し、次の目的地へと歩き始めた。
俺は昨日よりも少し鍔の小さな帽子を被ってきたけど、隠したところでサフィーの場合、赤い髪も、灰色の目も珍しいから目立つもんな。
街に着いた途端、みんなサフィーに手を振ったり、声掛けてきたり。勿論、少し距離を置いて。
おお・・・!当たり前だけど、超超有名人。
帝国の皇族と平民の距離感も割と近いんだな。
しかもサフィーも愛想はあんまりないけど、ちゃんと対応してる。
意外と、いい感じだ。
近寄ってきた人の中にはサフィーと俺を見比べて「良かったですね・・・っ!」と涙ぐむ人も結構居たんだけど、あれは何・・・?
しかも「お二人が持ってるだけで良い宣伝になるから!」と店の売り物である菓子とか、串焼きとか果物とか渡してくる人もいて。
あれよあれよと・・・・・・
「ほ、本当にこんなに貰っていいのかな・・・」
「民の厚意だ。好きなだけ食えばいい。」
「ええ・・・・・・?」
年季の入った木製のテーブルの上には、種類豊富な食べ物たち。
両手で抱えきれなくなって、キョロキョロしてたらたまたま昨日リファと一緒に串焼きを食べた場所が空いていたからそこに座った。
リファが見たら、涎垂らして喜びそう。
「だっ、だって、みんなサフィーにあげた訳だし、俺は・・・」
「むしろ、ジェハへの貢物だろ。」
「・・・・・・・・・何故にそうなる?」
「ジェハは自分の立場を全く分かっていない。」
「はあ?」
「・・・・・・心配だ。」
「はあ??」
サフィーの言ってる意味がわからなくて、う~んと腕を組み、無い頭を捻って考えたけど、やっぱわからん。
そんな俺をサフィーは頬杖をつきながら、まるで観察するように眺めていた。
「とにかく好きなものから食え」と、急かされて、俺は好物の甘酸っぱい果物を手に取り、皮も剥かずにかぶりつく。
串焼きから食べても良かったけど、朝ろくに食べてなかったから、いきなり串焼きは重いな~、と思ってさ。
うん。これが、正解。
「最っ高・・・!うまぁ・・・!」
ああ・・・美味しい。瑞々しい。甘味が強い。
今朝採ったばっかりの物かな?
何個でもいける。
もぐもぐと、果汁が滴り落ちるのも無視してかぶりついていると、サフィーの手が俺の腕に伸びてきた。
あ、さすがに行儀が悪すぎたとか?
一応皇子だったな、サフィー。
「すまん」と言う意味を込めて、ちょっと頭を下げるとサフィーは眉を下げて、くすりと笑った。
「・・・相変わらずそれ好きなんだな、ジェハ。」
「え?」
ぐんっ、とサフィーの方へ腕を引かれた。
俺の腕に垂れた果汁を、サフィーは何の抵抗もなく舐めとる。
普段なら、絶叫して、ぶん殴ってるところだと思う。
けど、この時何故か強烈な既視感と共に"そうされるのが当たり前"のような、不思議な、不思議な感覚に陥ってしまって、俺は食べかけだった果物を思わず落としてしまった。
俺がぽかん、と固まってしまったのを見てジェハも不思議そうな顔で首を傾げる。
そのサフィーの顔が、本当に穏やかな顔で、優しくて、「おいおいさっき声掛けたみんなにその顔したらイチコロだぜ」と声に出して言ってしまいそうだった。
最後の一滴、と言わんばかりに俺の手首についた果汁をペロリと舐めた後、サフィーは瞬時に意地悪そうな顔をして、ムギュと俺の鼻を摘む。
「・・・何すんだよ、こら。」
「目ぇ開けて寝てるのかと思ってな。」
「んなわけねぇだろ。」
「くっ、ふふふ、ふはっ、」
「お、俺で遊ぶな!!!」
「遊んでない。愛おしいと思っただけだ。」
「ぐっ、ぐぬぬ・・・っ!お前も早く食え!!勿体無いだろ!!」
「はいはい。」
「適当にあしらうな!!」
「はいはい。」
「~~~~クソッ!!!!」
ガブッと、蒸したパンに齧り付く。
絶対絶対絶対絶対、美味しいはずなのに。
耳が熱くて。
心臓が煩くて。
味がよくわからない。
ごめんよ、屋台のおばちゃん。
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