【完結】オーロラ魔法士と第3王子

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コンコン、とリーシュは扉をノックする。
するとすぐに中から「どうぞ」と優しい声が返ってきて、リーシュは笑みをこぼした。



リーシュが中に入ると、ラファドが部屋の奥の窓の近くに立っていた。
準備はできているようだが、部屋からは出ようとしないラファド。



「書類ですか?魔道具ですか?午前中の執務に使うものでしたら、急いで確認して処理いたしますよ。」


渡すものがあると言われたリーシュは、ごく自然に執務に関するものだろうと考えていた。
任せてください!と胸を張るリーシュをラファドは嬉しそうな顔でちょいちょい、と手招く。



手招きに合わせ、ラファドの元へ駆け寄ったリーシュ。そのままの勢いで腕をひかれ、もたれかかるような姿勢で抱きしめられた。




「ラ、ラファド、様?!」

「リーシュ、いいかい?今から俺が開けていいと言うまで、目をつぶってくれ。」

「はっ、はい・・・!」




抱きしめられるとは思っていなかったリーシュは耳を真っ赤にしながら慌てて目を瞑った。
するとラファドはリーシュから少しだけ身体を離し、何か準備を始めた。
目を瞑っているリーシュは言われた通り大人しく待っている。



リーシュの左耳が熱を帯び、ピリッと小さな痛みを感じた。
ラファドは小さな声で呪文を唱え始めた。



《これは、聞いたことない呪文だな》



リーシュの研究魂が疼く。
思わず思考がそちらの分野へ向きかけた時「目を開けていいよ」と声がした。
思考をこちらに引き戻し、ぱちりと目を開ける。目の前には微笑むラファドの顔。
何も変わっていないように見えるが、先程の呪文は一体何だったのだろう。
辺りを見渡せばヒントがあるかも知れない、と顔を動かした。
すると自分の左耳の方からから聞きなれない、シャリという音がする。



「え?」



思わず声が出たリーシュ。
左耳に手を伸ばすと、そこには細く華奢な4本の金属のついた耳飾りがついていた。
金属を触ると凹凸があり、模様が彫り込まれていることがわかる。
耳朶の部分には、中心に宝石が付いており、それを囲むようにして丸い金属の輪があるようだ。



一通り形を確かめながら、目線を前に戻すと、嬉しそうに微笑むラファドと目があった。
よく見るとラファドの左耳にもおそらく同じであろうデザインのもの。
"黒い"宝石が付いた耳飾りが付いていた。





「遅くなってすまない。ようやく出来たんだ。」

「・・・・・・はい。」

「宝石に護りの魔法をかけるのに時間がかかった。王族に代々伝わる"契りの耳飾り"をつける時に使う魔法を使ったんだが・・・少し痛かったか?大丈夫か?」



左耳を触ったまま、固まっているリーシュの顔を心配そうにラファドが覗き込むと、リーシュはラファドに飛びついた。




「~~い、痛くなんかありません!う、う、嬉しいです!」

「ふ、ふふ。そうか。」

「はい!ラファド様・・・大好き、です!僕、やっとラファド様の専属魔法士ですね!」

「・・・ああ。待たせた。俺もリーシュを愛しているよ。」



ラファドは少し力を込めて、リーシュを抱きしめ返す。
そして、こう囁いた。




「左指にはめるものは、一緒にデザインしような。」




ラファドからの提案に「勿論です!」と笑って、泣いて。



リーシュは返事をしたのである。





おしまい
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