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「ジルって何歳なの?僕は16だよ。」
「・・・俺は27だ。」
「あ、意外と離れてたね。というかジルは美しすぎて年齢不詳・・・?」
「何だそれは。ラピは姉と弟以外に家族はいないのか?ご両親は?」
「えっと、その2人だけだよ。両親はもう死んでるんだ。どっちも病気で。あ、結構前だから、割と立ち直ってるよ。気に病まないでね。」
「・・・そうか。」
「ジルは?家族、どんな感じ?下の兄弟がいそう!」
「よく分かったな。兄が・・・1人と、弟が1人と妹も1人いる。あと父と母も健在だ。いずれ会わせる。家族になるのだから。」
「へ?そ、そ、そうだね、う、うん!た、楽しみにしてる!」
僕の返事にジルはまた嬉しそうに微笑んだ。
今日だけでも表情が沢山見れた気がする。
そしてジルは僕の身体を撫でるのが好きみたいだ。
パウロからも「赤ちゃんみたいにもちもちしてるよね」とよく言われるが、ジルもそう思ってるのだろうか。
よしよし、と優しく至る所を撫でるのだ。
そうされているうちに段々と眠くなってきて、いつのまにか僕は寝ていたらしい。
朝、僕が起きるとジルはもう居なくなっていて、置き手紙と一緒に綺麗な榛色の石がついた耳飾りが置かれていた。
『虫除け、に俺の匂いが付けてある。必ず付けてくれ。』
「意外とヤキモチ妬き?なのかなぁ・・・」
『首のそれも虫除けだ。ラピの白肌によく似合ってる。また会いに行くから待っててくれ。ジル』
「・・・・・・首のそれ?別に何も・・・ん?」
鏡を見に行った僕は、首にいくつかの赤い痕を見つけた。痒くないし、痛くもない・・・なんだろう、コレ。
そして、目を凝らしてよーーーーく見てみるとどうやら内出血のようだ。
僕はハッと、昔酔ったマークおじさんから聞いたエッチな話を思い出した。
「こここれって、ききききキスマークってやつじゃないのぉぉおー????」
どうやら寝ている間にジルがつけたらしい。しかも1か所じゃない。見る限り5か所はある。
「ジ、ジル・・・我慢するって本当に出来るのかな・・・?」
僕はジルの忍耐力に少し疑問を持ったけど、今はこれを何とかして隠さないと、昼過ぎにはパウロが帰ってくるはずだ!
ワタワタと箪笥を漁って、薄手で首が詰まったデザインのシャツを見つけた。
「こ、これで隠れる・・・かな?」
しばらく亀みたいに首を引っ込めておこう・・・と心に決め、そのシャツを着ることにした。
しかし、画材を手にルンルンで帰ってきたパウロに「あれぇ?ラピ兄さん、首、虫に刺されてるよ」とすぐに気付かれ、結局僕は必死で誤魔化すことになったのだった。
「・・・で、そんな匂いさせてるってことか。大体事情は分かった。」
「うう・・・そんなひどい匂いするの?僕もパウロもあんまり分からないんだよね。」
「そりゃあ、もう・・・ずっと威嚇されてる気分になる匂いだぞ。ラピもパウロもこういう匂いには疎いんだろうな。多分。」
「副団長様がラピ兄さんのことだぁい好き、ってことでしょ?良いことじゃない!」
「パ、パウロぉ~・・・に、兄さんは、照れ屋なんだよぉ~・・・」
パウロは「何それ、あはは」と笑っていたが笑い事じゃない。
ジルが泊まった日から約10日、首のキスマークは虫刺され、ということで何とか乗り切り、だいぶ目立たなくなってきた。
昨日はサルマンの『サリーの店』まで納品の日だった。いつものように大きなリュックの中にクッキーやパウンドケーキを入れ、村を通る乗合の馬車に乗ってサルマンに向かった。馬車には珍しく若い人間の女性と、獣人の男性が乗っている。いつもは老人ばかりなのに。
夫婦兼番のようで、それぞれの左手の薬指にはそろいの指輪、頸には大きさの違う噛み跡があり、僕は無意識にその噛み跡を横目に見ていた。
「・・・ふふ、あなたにも決めた番がいるのかしら?噛み跡が気になるの?」
「・・・へっ!わっ、ごごめんなさい!!不躾でした!」
「いいのよ。私たちも最近番になったの。ね、キース。」
「・・・俺の番にちょっかいかけんなよ、坊主。」
「もうっ!そんな言い方しないで!怖がらせちゃうでしょ!」
「ごごごめんなさい!し、幸せそうだな、と思って!!つ、つい!」
「・・・・・・お前もそんな匂いさせてんだから、すぐ幸せになれるだろ。」
「へっ?そ、そんな匂い・・・?クッキー・・・のことですか?」
「・・・・・・・・・気付いてねぇのか?お前。」
「ふぇ?」
情けない声と一緒に首を傾げた僕を見て、豹の獣人のキースさんは僕に匂いのことを教えてくれた。
「お前の番・・・には、まだなってないみたいだけど、恋人か?相当な執念の持ち主だろ。入念にマーキングしてある。独占欲丸出しだな。」
「・・・・・・・・・僕、その匂い分かんないです・・・」
「はぁ?そりゃあ・・・珍しい獣人だな。リスはみんなそんなもんなのか?ずっと見えないそいつに威嚇されてる気がするぞ。さっさと番になりゃいいのに。大事にされてんなぁ、お前。」
「あらあら、可愛いお顔真っ赤じゃない!あなたは人間寄りなのかもね。私も匂い?は分からないの。でもキース嘘はつかないから本当のことよ。戸惑うかもしれないけど、その相手のこと、よくよく考えてあげると良いわ。ふふ。」
「・・・・・・ハイ。」
僕は『サリーの店』に向かう途中、大型の獣人からジロジロ見られているような気がした。・・・いや、気のせいじゃないと思う。
『サリーの店』の店主、人間のサリーさんにクッキーをお願いして、その日はどこにも寄り道せず家に帰った。
そして今日、たまたま遊びにきたフィードに(恥ずかしいから所々誤魔化しながら)事情を説明すると、相手を知っているだけに下手なことは言えないようで、ただひたすら苦笑いされたのだった。
「あの氷の副団長様がねぇ・・・」
フィードはどこか遠い目をしながら、僕の焼いた胡桃入りマフィンに齧り付いていた。
「・・・俺は27だ。」
「あ、意外と離れてたね。というかジルは美しすぎて年齢不詳・・・?」
「何だそれは。ラピは姉と弟以外に家族はいないのか?ご両親は?」
「えっと、その2人だけだよ。両親はもう死んでるんだ。どっちも病気で。あ、結構前だから、割と立ち直ってるよ。気に病まないでね。」
「・・・そうか。」
「ジルは?家族、どんな感じ?下の兄弟がいそう!」
「よく分かったな。兄が・・・1人と、弟が1人と妹も1人いる。あと父と母も健在だ。いずれ会わせる。家族になるのだから。」
「へ?そ、そ、そうだね、う、うん!た、楽しみにしてる!」
僕の返事にジルはまた嬉しそうに微笑んだ。
今日だけでも表情が沢山見れた気がする。
そしてジルは僕の身体を撫でるのが好きみたいだ。
パウロからも「赤ちゃんみたいにもちもちしてるよね」とよく言われるが、ジルもそう思ってるのだろうか。
よしよし、と優しく至る所を撫でるのだ。
そうされているうちに段々と眠くなってきて、いつのまにか僕は寝ていたらしい。
朝、僕が起きるとジルはもう居なくなっていて、置き手紙と一緒に綺麗な榛色の石がついた耳飾りが置かれていた。
『虫除け、に俺の匂いが付けてある。必ず付けてくれ。』
「意外とヤキモチ妬き?なのかなぁ・・・」
『首のそれも虫除けだ。ラピの白肌によく似合ってる。また会いに行くから待っててくれ。ジル』
「・・・・・・首のそれ?別に何も・・・ん?」
鏡を見に行った僕は、首にいくつかの赤い痕を見つけた。痒くないし、痛くもない・・・なんだろう、コレ。
そして、目を凝らしてよーーーーく見てみるとどうやら内出血のようだ。
僕はハッと、昔酔ったマークおじさんから聞いたエッチな話を思い出した。
「こここれって、ききききキスマークってやつじゃないのぉぉおー????」
どうやら寝ている間にジルがつけたらしい。しかも1か所じゃない。見る限り5か所はある。
「ジ、ジル・・・我慢するって本当に出来るのかな・・・?」
僕はジルの忍耐力に少し疑問を持ったけど、今はこれを何とかして隠さないと、昼過ぎにはパウロが帰ってくるはずだ!
ワタワタと箪笥を漁って、薄手で首が詰まったデザインのシャツを見つけた。
「こ、これで隠れる・・・かな?」
しばらく亀みたいに首を引っ込めておこう・・・と心に決め、そのシャツを着ることにした。
しかし、画材を手にルンルンで帰ってきたパウロに「あれぇ?ラピ兄さん、首、虫に刺されてるよ」とすぐに気付かれ、結局僕は必死で誤魔化すことになったのだった。
「・・・で、そんな匂いさせてるってことか。大体事情は分かった。」
「うう・・・そんなひどい匂いするの?僕もパウロもあんまり分からないんだよね。」
「そりゃあ、もう・・・ずっと威嚇されてる気分になる匂いだぞ。ラピもパウロもこういう匂いには疎いんだろうな。多分。」
「副団長様がラピ兄さんのことだぁい好き、ってことでしょ?良いことじゃない!」
「パ、パウロぉ~・・・に、兄さんは、照れ屋なんだよぉ~・・・」
パウロは「何それ、あはは」と笑っていたが笑い事じゃない。
ジルが泊まった日から約10日、首のキスマークは虫刺され、ということで何とか乗り切り、だいぶ目立たなくなってきた。
昨日はサルマンの『サリーの店』まで納品の日だった。いつものように大きなリュックの中にクッキーやパウンドケーキを入れ、村を通る乗合の馬車に乗ってサルマンに向かった。馬車には珍しく若い人間の女性と、獣人の男性が乗っている。いつもは老人ばかりなのに。
夫婦兼番のようで、それぞれの左手の薬指にはそろいの指輪、頸には大きさの違う噛み跡があり、僕は無意識にその噛み跡を横目に見ていた。
「・・・ふふ、あなたにも決めた番がいるのかしら?噛み跡が気になるの?」
「・・・へっ!わっ、ごごめんなさい!!不躾でした!」
「いいのよ。私たちも最近番になったの。ね、キース。」
「・・・俺の番にちょっかいかけんなよ、坊主。」
「もうっ!そんな言い方しないで!怖がらせちゃうでしょ!」
「ごごごめんなさい!し、幸せそうだな、と思って!!つ、つい!」
「・・・・・・お前もそんな匂いさせてんだから、すぐ幸せになれるだろ。」
「へっ?そ、そんな匂い・・・?クッキー・・・のことですか?」
「・・・・・・・・・気付いてねぇのか?お前。」
「ふぇ?」
情けない声と一緒に首を傾げた僕を見て、豹の獣人のキースさんは僕に匂いのことを教えてくれた。
「お前の番・・・には、まだなってないみたいだけど、恋人か?相当な執念の持ち主だろ。入念にマーキングしてある。独占欲丸出しだな。」
「・・・・・・・・・僕、その匂い分かんないです・・・」
「はぁ?そりゃあ・・・珍しい獣人だな。リスはみんなそんなもんなのか?ずっと見えないそいつに威嚇されてる気がするぞ。さっさと番になりゃいいのに。大事にされてんなぁ、お前。」
「あらあら、可愛いお顔真っ赤じゃない!あなたは人間寄りなのかもね。私も匂い?は分からないの。でもキース嘘はつかないから本当のことよ。戸惑うかもしれないけど、その相手のこと、よくよく考えてあげると良いわ。ふふ。」
「・・・・・・ハイ。」
僕は『サリーの店』に向かう途中、大型の獣人からジロジロ見られているような気がした。・・・いや、気のせいじゃないと思う。
『サリーの店』の店主、人間のサリーさんにクッキーをお願いして、その日はどこにも寄り道せず家に帰った。
そして今日、たまたま遊びにきたフィードに(恥ずかしいから所々誤魔化しながら)事情を説明すると、相手を知っているだけに下手なことは言えないようで、ただひたすら苦笑いされたのだった。
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