【完結】待って、待って!僕が好きなの貴方です!

N2O

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寮の色んなところからかき集めた木箱をパズルみたいに組み合わせた土台、布という布を敷いてつくった簡易ベッドとも今日でお別れ・・・・・・・・・と言うか、今朝早くユキ先輩に叩き起こされて、強制撤去完了。
 
元通りになった部屋を見て、少し寂しくなったけど、こんなにも心と頭がすっきりしているのはきっと、ユキ先輩から沢山"優しくない優しさ"を貰ったおかげだと思う。






「忘れ物はないよね。あっても捨てるけど。」

「・・・あれ?髪紐・・・どこだっけ・・・」

「今日俺が結んでやるって話だったでしょ。そこの椅子に座りなさい。」

「あ!そうでした!お願いしま~す!」

「・・・ラウーは俺が卒業するまでこの部屋出禁だから。」

「ええ?!な、何でですか?!」

「殺されたくないんだよね。すでに遅いかもだけど。」

「ぼ、僕、そんな物騒なことしませんよ?!」

「ハッ、ラウー如きに俺はやられませぇ~~ん。」

「?!絶対今意地悪な顔してますよね?!」





背後のユキ先輩を見上げると子どもの喧嘩みたいに「べろべろべろ~~~」っと舌を出すユキ先輩。なんて大人気ないんだ。
妹さんが二人いるというだけあって、器用に髪を結ってくれている。
でも「じっとしてなさい」って、セリフと意地悪な声色が全く合ってなくて妙に腹立たしいのですが?!
キィィィィって地団駄踏んだ僕を、ユキ先輩は鼻で笑った。


先週出会ったとは思えないほど、僕たちは気心が知れた仲になったと思う。
子どもっぽいところも実は好きですよ、ユキ先輩。



面と向かって、言ってあげませんけどね。





「ほら、できた。おまけ付き。」

「えっ!おまけ?!・・・本当だ!何かの飾り・・・?鏡で見たい見たい見た、」

「そんな時間ない、ギリギリです。会場に行きますよ、俺の可愛い弟子のラウー。」

「・・・はい!師匠!」

「うむ。よろしい。」

「「・・・・・・・・・」」

「ふっ、」「ははっ、」



目が合って、お互い笑いをこぼす。
体がふわりと、また軽くなった。




部屋を出てすぐ振り返り、部屋に一礼。
"僕に考える時間をくれて、本当にありがとうございました"
心の中でそう言ったあと、ユキ先輩の方を見ると、にまにました顔で僕の背中を軽く叩き、「どういたしまして」と笑われた。





「ユキ先輩、案外僕と似てるのかもしれません。」

「弟子のくせに生意気だな。」

「弟子は師匠に似るんですよ。」

「ふーん、そっか。」

「はい、そうです。」






指導役がユキ先輩で本当に良かった。
鬼みたいな訓練で毎日体中痛くなったし、竜人族の角をあんなに雑に扱う人初めてだったし、嫌いな食べ物を僕の皿にポイポイ移すのは本当今でも大人気ないな、と思うけど。


おかげで僕は次に進むことができそうです。


ユキ先輩だけじゃない。
ティフくんは公欠だった分の授業のノートをまとめてくれたり、痩せていく僕を心配してくれて、食堂でパンがゆを作ってくれたり。

アントスさんは僕があちらの教室棟付近に近づいていないからあれから会う機会がなかったけど、ユキ先輩伝いで手紙をくれた。
それがまた本当に心配してくれてるのが伝わってくる内容で・・・、手紙を読んで泣く僕を見て、ユキ先輩は角を・・・・・・って、本当に角の扱い雑すぎない?



でも・・・ま、いっか。




「ユキ先輩。」

「なに?」

「ちゃんと慰めてくださいね。今夜はパジャマでお菓子パーティーなんてどうですか?」

「だからラウーは出禁。」

「えええ?!あれ本気なんですか?!」

「まあ、いざとなったら俺が全部貰ってやる。」

「・・・へ?」

「はい、無駄話はここまでね。今日は目一杯楽しみましょう。わかりましたか?」

「へ?え?えっと・・・は、はい!」

「よろしい。」






ふふっと笑った顔が今までで一番優しくて、僕もつられて笑ってしまう。


僕たちは揃いの披露着を着て、寮を出た。
まだ朝早くて肌寒かったけど、澄んだ空気が気持ちいい。
あの日と同じ朝だけど、あの日と同じようには絶対ならない。


空に向かって「よーーーーし!!」と気合を入れて叫んだら、隣のユキ先輩から「黙れ」と言わんばかりの強さで角をぎゅっと持たれ、また全身がぞわぞわしたのだった。








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