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5日目 《すれ違い》
しおりを挟む初めてのセックスの相手は同性だった。だけれど、好きな人に抱いてもらった。
それだけを聞いたら、たぶんほとんどの人は『良かった』と言ってくれるだろう。
相手にとっては本気ではなく、ただのセフレとして抱かれた、ということを除けば、本当に恵まれているのだと思う。
そう思うけど。理屈は分かっているけれど、心がついて行かない。
昨日抱かれたばかりの身体には、あちこちにその痕跡が残っている。それらを見ながら、オレはまだ少しいうことをきいてくれない身体を叱咤する。
(これは、学校はムリかな……)
今日は金曜日だ。どちらにしても一度自宅に帰らないと教科書などが揃っていない。既に遅刻になる時間だけれど、一応家族と沢口に連絡をした。
風邪をひいたかもしれないと言えば、家族は納得して悠晴の迷惑にならない程度で帰ってこいと言った。
沢口はと言えば。
『それ、本当に風邪なの?』
「どういう意味だよ」
『言葉のままだよ。小日向、今は桐生の家だよね?』
「そうだけど……」
『その掠れた声。桐生のせいなんじゃないの?』
「………………」
気まずくて、なんと言ったらいいのか分からず沈黙してしまうと。沢口は、小さく吐息した。
『やっぱり当たりか……。あのね、小日向、』
「沢口……どうしよう、沢口……」
言い当てられたことと、沢口のいつも通りの声にホッとしたのか、唐突に涙がボロボロと溢れては落ちた。一緒に言葉も溢れてくる。
『小日向?』
「好きになっちゃダメなのに……オレ、ダメなのに……」
『小日向、落ち着いて』
「そんな資格ないのに。好きなんだ……。なぁ、沢口。オレ、どうしたらいい……?」
『小日向、もしかして……桐生のこと……』
「うん、好き……。好きに、なってた。沢口……なぁ、どうしよう。オレ……」
ベッドの上に座り込んで、泣きながら沢口に縋るオレは、ノックもなしに開けられたドアの音に気付かなかった。
気付いたのは、耳に当てていたスマホを、すい、と取り上げられて通話を一方的に切られてからだった。
「悠晴……?」
ぽかんと見上げる以外に何ができただろう。
「今の。通話相手って沢口?」
「え? あ、そう……だけど」
「そうか……」
「なに……?」
なにか納得したような悠晴だけど、なんだろう。どうでもいいけど、スマホを返してほしい。
「葵って、沢口のことが好きなの?」
「……は?」
「違うの?」
「違う……。なに、なんの話?」
「葵の好きな人の話」
「……聞いてたのか?」
「聞こえたんだよ。今、葵の恋人は俺だよね?」
「契約上、だろ?」
「たとえ今はそうでも。葵の恋人は俺でしょ?」
トンと肩を押され、バランスを崩してベッドの上にどさりと仰向けに倒れると、そのまま組み敷かれた。
「悠晴」
窘めるように名前を呼べば、悠晴は微笑んだ。
「恋人同士がベッドですることと言えば……、ねぇ?」
その言葉を正しく理解し、ザッと血の気が引くと同時に全身が羞恥に染まった。
「待て……。落ち着け、悠晴。こんな時間から……、んぅ」
説得は意味を成さなかった。呆気なくキスで唇を塞がれて口内を舌で侵される。蹂躙するようでありながら優しささえ感じるその行為に、涙がこぼれる。
この行為は、いったい誰を想定して行われているのだろう。そう思ったら虚しくなったのだ。
「今日は、ちゃんと裸で抱き合おうね」
「……っは、……ぁ……、え……?」
キスで翻弄されたオレに、思考力というものはほとんど残っていない。悠晴に言われた内容が理解できず、頷くこともできなかった。
そんなオレに悠晴は『可愛い』と言ってキスをしてきて、また更に思考力を奪っていく。身体中にキスをされ、愛撫されて喘がされている間に、本当に身体から着衣を全て剥ぎ取られていた。それは悠晴もまた同じで、なにも身につけていなかった。
素肌同士が触れ合えば、しっとりと汗がにじむ肌が互いを求め合うように吸い付くのがわかる。
「ほら。昨日も使ったから、ココはすぐに俺の形になじむね?」
「い……っ、あ、あ、あぁっ! ひぁんっ!」
少しだけ簡単に解され、後孔にローションでぬめりを帯びた楔が一気に挿入されて、嬌声があがった。
すんなり、とはいかないけれど、たしかに悠晴のカタチを覚えたオレの内襞が悦んで受け入れては絡み付いていく。熱くて大きな凶器が、ナカをぐるりと掻き回す。
「ひっ! ああぁっ!」
ビクリと震えれば、ナカを悠晴に擦られる結果になり、きゅう、と締め付けてしまう。
「甘えてきて可愛いね。動くからね」
「あ、あぁっ! ぁん、ん、は……ぁ、あ、あぁ」
ゆっくりと抽挿を繰り返されて、喘ぎが止まらない。もう喉が痛いとか、そんなレベルを超えている。
これは、ダメだ。覚えてしまったら抜けられない。
気持ちいいが、ずっと続いているんだ。
「あ、ゆうせ……っ! も……っ!」
イく、と言う前に達していた。白濁を思い切り撒き散らし、うしろは悠晴のモノをきゅうきゅうと締めつけるから、悠晴も吐息とともにオレの奥に熱いものを吐き出してくる。どくどくと注ぎ込まれるその感触さえも快感にすり変わり、オレは全身が痙攣したように震えが止まらない。
「あ、あぁ……っ、あ、あ、……ん、ふぅ……っ」
悠晴に穿たれたままでビクビクと震えていれば、ナカのモノがまた質量を増すのを感じた。
「……あ……っ?」
「ごめんね……。葵があんまり可愛いから。また、付き合って?」
「あ……、あぁっ! んひ、あぅんっ! ……っく、あ、やぁ、ああぁっ!」
否、と言わせる隙もなく再開される行為に、オレはこれでもかと喘がされ続ける。
昼間からする行為ではない、と。背徳感が襲うけれど、悠晴が与えてくる快楽に抗うこともできずに。
その夜、オレは熱を出した。
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