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14・よく馴染む
しおりを挟む朝日にふと目を覚ます。
身体中があまくてくてんくてんで動かせなかった。
お腹の底にもったりと大量の魔力を感じる。最初の口付けで貰った魔力とは比べものにならない位の、大量の魔力で満たされている。
なら大丈夫。
私は浮遊魔法でふわりと身を起こす。
ん……秘部の入り口がまだ開かれたままみたいな感覚がする。
何本も指を挿入されていたからかな。
でももっと、大きいモノが挿入っていたような、もっと熱いモノが収められていたような気がするけれど、指を挿入れて治療して貰っていたところまでしか覚えていない。
あの後、別のナニかで治療してくれたのかも知れない。
何となく、秘部に触れる。
ぬちゅ。
指先が白い。
ねと、と私のナカから零れているみたい。
……私がナカから零してたのって白いモノだったんだ。
こんな色の、零してたんだ。
ファンタジー世界の治療だとこうなるのかな? 人狼さんの治療だから? 現代日本にはない治療だ。
うん、でもこの治療のお陰で魔力たぷたぷ。
身体は甘ったるいけど、魔力が満ち満ちに満ちているから浮遊魔法で軽やかに爽快に飛び回れる。
お股からとろ、と白いの零れたけれど、浮遊魔法の応用でナカに押し戻す。何だろう、こぼれ落ちるのが勿体ないように思えてしまう。
この白いべとべとは私にとって大切な、いとおしいモノだったはず。
ああ、これ。私から出た粘液じゃない。
びしゃびしゃ、どぷどぷ。びゅるる。
この胎に、何度も何度も熱い飛沫をまき散らされた感触を思い出す。
その瞬間の悦びが、じゅんと私を支配する。
私の身体に生々しく残る感覚が現実にあった事だと深く知らしめる。
眠っている間のコトかな。
なんだか、勿体ない事、したのかも。
私は微塵も、恐怖や嫌悪を覚えなかった。むしろ恥ずかしくも喜ばしい事だとしか思えなかった。
いっそ不自然なまでに。
ほぅ、と零れる熱い吐息。
私は一つ頷いた。
うん。ナカに貯めておいた方が良い気がする。
だってこれ、治療の為に注がれたモノだろうからね。この粘液のお陰でお腹が魔力でひたひたで常にうっすら気持ちいいし。
どんどんと私の細胞一つ一つに染み渡っていって、良く馴染んでいくみたいだし。彼に注がれたモノが私の肉体に浸透していくのはいいコト。だってもっと彼に近しいいきものにならないといけないのだから。これに馴染んでなじみきって、そして。
「馴染む……なじむ。馴染まないと。もっとどうしゅに」
私は無意識に言葉を紡いだ。
この時、辿る思考の異常さに気づけたならば、間に合ったのかも知れないけれど。正気であるという事、正しいという事、それに何の価値があるだろう。私を壊したのは人間なのだから。壊れた私に人間であるという状態が壊されるのは仕方がないと諦めて欲しい。
……もう、嫌じゃないでしょう? 人間じゃなくなるの。
後に誰が何と言おうと、こうすべきだったと糾弾しようと、この分岐で私が正気になる事はなかった。
「はら……って、あれ。何言ってんだろ私。」
それにしても治療の途中で寝ちゃうなんて失礼だったよね。
エントさんは底抜けの善狼で、私の身を案じて完全なる厚意で治療してくれているのに。謝らないと。
私はふわんと台所まで飛んでいって、エントさんの肩に手を回して宿り木にする。
「おはようございますエントさん。昨日は治療の途中で寝ちゃってごめんなさい」
「おはようございますフーカ。体調はどうですか? どこか痛いところはありませんか?」
「エントさんの治療のお陰で痛みはちっともありません。何か身体がくたっとして、ふやけた感じで本当は動けないみたいだけど、魔法があるからへっちゃらです。エントさん、魔力補充してくれてありがとう!」
「いいえ、いいえ。こちらこそ」
エントさんはにこ~っと微笑みながら、何故か微妙に噛み合わない返事をしつつ、ベーコンカリカリ目玉焼きを完成させていた。
私は一瞬だけ首を傾げつつも、お皿持ってきますねと、また浮遊した。
そうやって、特になんて事のない異世界の1日が始まり。
そして夜な夜な私は、治療と魔力補充をして貰う。
とろとろ。とろとろ。
甘くて蜂蜜のような何かをひたすら注いで貰えて、ひたひたに優しく満たされるばかりの日々。彼に深くなじむ日々。
そんな日々が、少し流れた。
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