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今日も僕は、君を……
しおりを挟む今日も僕は星を見上げる。
星が僅かでも見える夜、僕は必ずこうして宇宙を見上げている。君がそうしていたように、僕もそうすることにしたんだ。
あれからもう三年……君が隣にいない時間にまだ慣れない自分がいる。
あの日、君は宇宙に消えた──。
女性宇宙飛行士として念願のミッション参加を果たした君は、大気圏を出たところで宇宙船が大破……宇宙は僕から君という半身を奪っていった……。
僕は流石に参ってしまって、本当にどうしたら良いのか分からなくなった。仕事も、日々の暮らしさえもどうでも良くなってしまったんだ。君の後を追うことすら考えたよ。
でも……そんな僕を救ったのは君から届いた手紙だった。
宇宙飛行士は旅立つ前に遺書を書かされる。君を失うとは思っていなかったから、そんなことすっかり忘れていた……。
『あなたがこの手紙を読んでいるということは、何かの問題が発生して私は死んだということになるわね。
あなたはこうなることをずっと心配していたけど、私はそれでも宇宙に惹かれたの。どうしても地球の外に飛び立ちたかった。ごめんなさい。
それでも私は幸せだったわ。あなたと出逢えて、そして夢を追えた。だから私自自身は死を悔やむことはない。
でもね……私はあなたが心配だわ。あなたは優しいから私のことで苦しむんじゃないかってとても心配なの。
ねぇ、覚えてる? 人は死んだら空の星になるって話。『星の王子さま』にもそんな話があったよね。きっと皆、死後に星となって地上の大切な人を見守っているんだよ。その時は私も宇宙からあなたを見守っているわ。
だから……独りが辛い時は星空を見てね。その時、私もきっとあなたを見ている筈だから』
それから僕は星空を見る様になった。
そこに君がいるなら……君の心に逢えるなら……。
仕事も辞めたんだ。自暴自棄になった訳じゃないから心配しないでね。どうせなら世界中の星を見ることにしたんだ。君の星がどれか分からないから、宇宙そのものが君になったと思うことにした。
バックパッカーになって世界中で君に逢おうと思った。お金がない時は昼に働いて、夜を君と過ごす。そんな日々を日記に書いているよ。
星は本当に不思議だね。今輝いている光が百年前に無くなった星の輝きかもしれないと思うと神秘を感じるよ。動かないと思っていた北極星アルファ星が一万二千年後には琴座のベガになる……それは不変はないことを意味しているんだよね。世界で見える星が違ったりするのは当たり前だけど、だからこそ無限の広がりを感じるんだ。
三年で色んなところに行ったよ。荒野も草原も山も海も、色んな星を見せてくれた。今は砂漠の街で滞在しながらこうして君に語り掛けている。
ねぇ……聞こえてるかい? 満天の星を見上げているこの時、君も僕を見てくれているんだろう?
今日も僕は星空を見上げる。
いつかは僕も星になる。その時は君と一緒に星を見る人達を見守ろう。
だから……それまでは、星空とのこの逢瀬が続くよう精一杯生きてみるつもりだ。
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