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08:反省室に押し込まれまして

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 監禁のための部屋は、寮というよりは塔である。十階建ての塔は学園から遠く、ひっそりと森のなかにある。
 そういえばヒロイン(って呼んで良いのかわからないけど)も、この塔に来るイベントがあったはずだ。最後の方の、しかも特殊な条件を満たさないと起こらないイベントだから、今から考えるともう少し先の話だけど……どんなイベントだったのか、思い出せない。前世の記憶が少しずつ薄れてしまってきている。

「とはいえ、断罪イベント回避おめでとうわたしーー!」

 寮よりもずっと広い部屋に一人。広さの分、寂しさは感じるけどご飯もお風呂もしっかり付いてくるので授業がないから快適な自堕落生活が保証されている。
 以前のわたしだったり、普通の令嬢なら広い部屋に一人、しかも食事やお風呂だって自立してやらなければいけないので三日で泣き出すような場所になっているが、前世の記憶を思い出したので一人で居ることに苦痛はない。

「でも暇すぎるな。森の中だからちょっと薄暗いし、部屋の外には出られないし」

 塔の二階なのでちょうど窓の外は森しかない。空には綺麗な月が浮かんでいて、魔法の力でちょっと明るくしているとはいえ、学園内や寮に比べると暗すぎるし……。

 ――コツン、と窓の方からなにかぶつけられた音がする。

「な、なに…?」

 塔は魔法の力で管理する生徒会や収容される人以外には認識されないと聞いているので外からの来客はないはず。
 恐る恐る窓の外を覗き込んでみれば、さらさらの金色の髪が見えて…。

「シャーリィ…シャルトリューズ殿下…!?」

 シャーリィの姿に戻しているシャルトリューズが、木の上に登って窓と同じ高さまで来ていた。
 塔は二階だけど、高さとしてはマンションの三階に近いのでかなりの高さがある。太い枝に居るとはいえ不安定な場所に居るので不安になってしまう。

「君に一言謝りたくて」
「そ、そんなことは良いのでとりあえずこちらに!危ないですわ!」

 窓は大きめに造られているので飛び移るにも十分だろう。慌てて全開にして手を伸ばす。ここで落ちて怪我をさせてしまったら申し訳ない上にわたしが突き落としたと言われ、今度こそ死刑待った無しだろう。
 わたしが必死に手を伸ばす姿に何が面白いのかシャルトリューズがふっと笑って、胸がドキッとしてしまう。

 胸を高鳴らせるのと同時に枝がミシッと軋む音が聞こえる。

「シャルトリューズ殿下!ははは早くこちらへ!」

 シャルトリューズが枝を蹴って、窓枠に飛び乗ってくる――その姿が、なんだかかっこよくて思わず見惚れてしまった…。

~~

また分割ですごめんなさい…
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