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41:パン大会が終わったんです
しおりを挟む「これはまた…不思議なパンが出てきたものだ…」
上兄様に全く気付く様子もないお父様が驚いたように言った。お母様も下兄様も、食パンを差し出してきたペアの片方が上兄様だなんて一切思っていない様子だ。
隣に居るレオは後ろ姿だけでわかったのに…鈍感な親子だ……。
「食パンと言います」
「ショクパン……名前まで珍妙ですわね」
この離れたところからでも見てわかる。あのパンはとてもふんわりしていて、良いパンだって!いいなあ、わたしも審査員として参加すれば良かった……不公平だと思って、観客に回ったことを後悔してしまう。
「……おおっこれはすごい!」
お父様が驚いた声を上げる。切られた食パンを見て、皮がやわらかいことにびっくりしたようだ。
…それにしても、美味しそうだなぁ。ふわっふわだし!ここにまで焼き立てのいい匂いするし!
隣にレオが居なかったらきっとお腹を鳴らしてしまうところだっ――――ぐうぅ。
盛大に。わたしの腹の虫が鳴き声を上げた。見事なフラグ回収ですねありがとうございます。
「………」
「……ぶはっ、なんだよ腹減ってんのか?」
「ち、違いますのよ!違うんですの!」
耳まで熱くなってきてしまう。ああ、こんなところレオには見られたくなかったのに…!
「ちょっと待ってろよ。こんだけ出てるんだしなんか食えるモン探してくるから」
「え、いいんですのよ、レオ様……!」
わたしが引き止めるよりも早く、レオが出店が並ぶ方へと行ってしまう。貴族である立場なら買い食いなんて注意すべきだけど……。遠目からレオを見ていれば、街の子に話しかけられていた。漫画の中のレオはどちらかというと、孤高…のような感じだったような気がするけど…。
フラグがまた一つ折れたんだと、ほっとしたような、残念なような…。
レオに話しかけていた街の子が指差した先には、ピンクの髪色。レオもそのピンクの髪を見て、駆け出していく。
「あ…っ、だ、だめ…!」
本編に進むなら、それでいいはずなのに。何故だか、レオがアリスを見付けるのは凄く嫌な気持ちになってしまって。
追い掛けようとしたところで歓声が沸く。振り返ってみれば、上兄様たちが「優勝だ!!!!」とお父様が叫んでいるのが見えた。
良かった、上兄様が優勝されたわ…!
マルコと上兄様が振り向いて、わたしに手を振る。わたしも手を振りかえしたところで、はっとしてまた振り向くと……もう、レオとピンクの髪は消えていた。
何故だろう、……胸がざわざわする。
わたしの不安の始まりと共に、パン大会が終わりを告げた――。
※
筆が遅くなってしまい誠に申し訳ございません…!
久しぶりに書いて書き方忘れちゃってますね…へへ。がんばります。
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題名に惹かれて読み始め、テンポ良くて面白くて一気読みしました(*'▽'*)レオのツンツンが、可愛い(笑)ゆっくりでも良いので、続きを楽しみにしてます。