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途中休憩のために立ち寄った町で馬車に乗り、戻ってきたホーンドオウル領。
急いで崖の下に来てみれば、そこに馬車はなかった。
それだけじゃない、馬車が崖から落ちたというのに地面が抉れてもいないし、残骸の1欠片すら残っていない。
場所を間違えた?
いや、兄さんが事故った時の形跡が残ってるから、場所はここで間違いない。
「崖の上に馬車の車輪跡が残ってたはず。確認しに行こう」
混乱しそうになった俺の頭の方向修正をしてくれたジョーの常葉に頷き、2人して向かった崖の上には、深々と地面を削っていた筈の車輪が滑った跡がなくなっていた。
跡形もなく、というわけではなく、明らかに埋められたような跡はあるから……兄さん達が父さんを回収した?
だとしたら、兄さん達は既に俺達の敵になったってことでいい……のかな?
でも元は兄さんも戦争に反対で、父さんを止めようとしていたわけだから……いやだからって殺してしまうのは違うよな。
「そうだ、チビ。チビと合流しよう」
兄さんに手紙を渡した後、チビは屋敷で少しの間待機するってことだったから、なにか動きがあったんだとしたらチビが把握している可能性がある。
もし、兄さん達が俺を敵とみなしていたら、チビが危ない。
「分かった。アールはここで待機……いや、一緒に行こう」
うん。
もし待機と言われていたってついて行った。
屋敷の皆が俺達の味方であるとは限らないし、そもそも屋敷には精神系の魔法陣が仕掛けられているから、下手をすればジョーが操られてしまう可能性がある。
だけど、俺が一緒にいればその都度解除できる!
ドォン!
急いで屋敷に戻る道中、少し遠くの方から爆発音が聞こえた。
兄さん達が身を潜めている森ではなく、馬車の事故現場の奥にある森の中で、そこを超えた先には町がある。
「ちょっと寄り道良い!?」
「あぁ。分かってる」
2人で爆発音が聞こえた場所に向かうと、数名の僧兵が魔物の群れと戦っている最中だった。
数に差はあるけど、絶望的なほどの力差はないようで均衡している感じだな。
「魔物の数が凄いから、お前が死んだんじゃないかって思ったわ」
戦っていた顔見知りの僧兵の数名が、魔物と戦いながらも話しかけてきた。
魔物の1体1体はそこまで強そうではないが数が多く、聞こえていた爆発音は魔物による魔法だということが見て取れた。
「詳しい話は倒した後にしてくれ!アイン様加勢よろしくです!」
「任せろ!」
俺はジークベルトから魔物について色々と聞いた。
その中に、森から出た魔物は島の国に帰ろうとする。というものがあったし、暴れる原因は森の中に正気を失わせるような魔法陣の罠が仕掛けられているとも聞いた。
それなのに、今のこの現状はなんだ?
魔物は暴れているし、森を抜けた先の町に向かっているし、魔法を使って攻撃をして、既に僧兵の何人かは怪我をしている。
いや、今はもっと単純に考えるんだ。
魔法で広範囲攻撃をしている時点で元人間だろうと、人間だろうと、魔物だろうと関係なくて、ホーンドオウル領に住んでいる民の敵……盗賊の一種として討伐すればいい。
戦いが激しい前線に進み剣を構えて魔物を見れば、森に出てくる魔物とは少し様子が違っていて、戦いに慣れていない個体まで戦っている感じだった。
言ってしまえば戦士に混ざる一般人……そうか、あれ位弱い魔物まで森を抜け出しているから、僧兵達は俺が死んだと思ったんだな。
急いで崖の下に来てみれば、そこに馬車はなかった。
それだけじゃない、馬車が崖から落ちたというのに地面が抉れてもいないし、残骸の1欠片すら残っていない。
場所を間違えた?
いや、兄さんが事故った時の形跡が残ってるから、場所はここで間違いない。
「崖の上に馬車の車輪跡が残ってたはず。確認しに行こう」
混乱しそうになった俺の頭の方向修正をしてくれたジョーの常葉に頷き、2人して向かった崖の上には、深々と地面を削っていた筈の車輪が滑った跡がなくなっていた。
跡形もなく、というわけではなく、明らかに埋められたような跡はあるから……兄さん達が父さんを回収した?
だとしたら、兄さん達は既に俺達の敵になったってことでいい……のかな?
でも元は兄さんも戦争に反対で、父さんを止めようとしていたわけだから……いやだからって殺してしまうのは違うよな。
「そうだ、チビ。チビと合流しよう」
兄さんに手紙を渡した後、チビは屋敷で少しの間待機するってことだったから、なにか動きがあったんだとしたらチビが把握している可能性がある。
もし、兄さん達が俺を敵とみなしていたら、チビが危ない。
「分かった。アールはここで待機……いや、一緒に行こう」
うん。
もし待機と言われていたってついて行った。
屋敷の皆が俺達の味方であるとは限らないし、そもそも屋敷には精神系の魔法陣が仕掛けられているから、下手をすればジョーが操られてしまう可能性がある。
だけど、俺が一緒にいればその都度解除できる!
ドォン!
急いで屋敷に戻る道中、少し遠くの方から爆発音が聞こえた。
兄さん達が身を潜めている森ではなく、馬車の事故現場の奥にある森の中で、そこを超えた先には町がある。
「ちょっと寄り道良い!?」
「あぁ。分かってる」
2人で爆発音が聞こえた場所に向かうと、数名の僧兵が魔物の群れと戦っている最中だった。
数に差はあるけど、絶望的なほどの力差はないようで均衡している感じだな。
「魔物の数が凄いから、お前が死んだんじゃないかって思ったわ」
戦っていた顔見知りの僧兵の数名が、魔物と戦いながらも話しかけてきた。
魔物の1体1体はそこまで強そうではないが数が多く、聞こえていた爆発音は魔物による魔法だということが見て取れた。
「詳しい話は倒した後にしてくれ!アイン様加勢よろしくです!」
「任せろ!」
俺はジークベルトから魔物について色々と聞いた。
その中に、森から出た魔物は島の国に帰ろうとする。というものがあったし、暴れる原因は森の中に正気を失わせるような魔法陣の罠が仕掛けられているとも聞いた。
それなのに、今のこの現状はなんだ?
魔物は暴れているし、森を抜けた先の町に向かっているし、魔法を使って攻撃をして、既に僧兵の何人かは怪我をしている。
いや、今はもっと単純に考えるんだ。
魔法で広範囲攻撃をしている時点で元人間だろうと、人間だろうと、魔物だろうと関係なくて、ホーンドオウル領に住んでいる民の敵……盗賊の一種として討伐すればいい。
戦いが激しい前線に進み剣を構えて魔物を見れば、森に出てくる魔物とは少し様子が違っていて、戦いに慣れていない個体まで戦っている感じだった。
言ってしまえば戦士に混ざる一般人……そうか、あれ位弱い魔物まで森を抜け出しているから、僧兵達は俺が死んだと思ったんだな。
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