時の記憶

知る人ぞ知る

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その学校に通いはじめるりんは、小学1年生。

りんが家に着くと、柔らかな白髪頭のおばあちゃんが、待ってましたと言わんばかりに、とびきりの笑顔で玄関に出迎えてくれた。

その手には見たことのない水色のリュックサックがあった。


りんは帰って来て早々、コタツが備え付けられた6畳の畳の居間で、真新しいピカピカのリュックサックをその小さな背中に背負ってみた。

すると味わったことのない重さに、りんはバランスを崩した。

それをおばあちゃんは楽しそうに見つめており、目が合えば二人して大笑いしていた。



それから1か月がたった。

りんが通い始めた学校の校舎は古く、廊下を駆け回るたびギシギシと木の板が悲鳴を上げる。

りんにはそれが楽しくてつい何度も飛び跳ねてしまい、床に穴があいた事があった。

それを必死に隠そうとしたけど結局先生にバレて、りんは怒られてしまった。


そんな明るく活発な少女りんの周りには、気がつけば沢山の友達が周り集まるようになっていた。


夕方まで遊んでおばあちゃんの迎えが来たら家へ帰る、そんな毎日を過ごす。

りんはおばあちゃんの影響で神様が大好きで、家に着けばおばあちゃんの隣に張り付いて、たくさんの物語をねだる元気な子であった。
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