時の記憶

知る人ぞ知る

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「ねぇ、りんちゃん」

「なぁに?」

おばぁちゃんの声が左の耳から聞こえてくる

「りんちゃんは神様が好き?」

「うん!だいすきだよっ」

元気いっぱいにそう答えた。

本当はおばあちゃんの目を見て言いたかったけど、おばあちゃんがそれを許さないって言う様に抱きしめるから、諦めてそのまま答えた。

そしたらおばあちゃんは、そうかい。そうかい。って泣きそうな声で何度も呟くから、私はなにか悲しませることを言ったんじゃないかって心配になった。

「どうしたの?」

今日のおばあちゃんはいつにも増して涙もろい。今だって顔は見れないけどきっと泣いているに違いない。

それがわかるほど私は、いつだっておばあちゃんにくっついているんだ。

おばあちゃんは更に、今にも折れてしまいそうなその腕に力を入れ抱きしめる。

「く、苦しいよおばあちゃん」

おばあちゃんは、すまなかったねって言って、なだめるように背中をぽんぽん叩いた。


「りんちゃん、あなたが一人で神社に行っていることは知っているわ」

「えっ!」

腕の中で、りんはびくりと肩を跳ね上げる。

そんなりんに、おばあちゃんはりんから体を離し、手をりんの両肩へ添えると、りんを真正面から見つめた。

「どうしてわかったの?」

怒られると思い、身をすくめる少女に、おばあちゃんは優しい口調で告げた。

「おばあちゃんはね、いつでもりんちゃんの事を見守っているからわかるのよ」

「・・・ごめんなさい。でも、中に入った事はないの」

少女にとって神社はとても大きく、ピシリとした空気圧が少し怖くて、ただ遠くから眺めるだけにとどまっていた。

ぎゅっと目を瞑り、怯えながら右目をそっと開けておばあちゃんを見上げると、おばあちゃんは頬にほんのり笑みを隠しながら叱った。

「一人はとっても危ないのよ?大人の人と一緒に行かなきゃダメよ」

二度頭を優しくなでると、りんはは小さくつぶやいた。

「でも、迷惑かけたくないの」

その言葉に、おばあちゃんは目を見開き、やがて目頭を熱くして、再びりんを優しく優しく抱きしめた。

「迷惑なんて・・・迷惑なんて誰も思わないわ。りんちゃん。あなたはもっと甘えていいのよ。誰も悪くないのよ。誰も」


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