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12.仲違い
仲違い③
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「それならばご安心ください」
妙なことを心配されても困ると、神代はすかさず言った。
「香澄さんが書道をされることについては賛同し応援しています。それに俺は書いている彼女にも惹かれていますから、反対するようなことはしないです。彼女を幸せにすることも約束しますよ」
「そうですか。聞きたかったことはそれだけです」
にこりと感じ良く笑った清柊は心配そうに神代たちを見ている香澄を指さした。
神代は大丈夫、と片手を挙げて合図する。それを見て香澄はホッとしたようだ。
「仲がいいなあ。かき乱したかったのに」
「清柊先生……」
どうにもこの人は同性には遠慮がないようだった。もしかしたら神代ならば大丈夫だと思われて遠慮なくされているのかもしれなかったが、どちらにしても神代には迷惑な話だった。
香澄と岡野のところに戻ると、心配そうに首を傾げられた。
「大丈夫でしたか?」
可愛くて純粋な香澄に触れると神代は本当に心が洗われるようだ。
「はい。大丈夫でした。香澄さんの師匠は心配性なのですね。結婚したら俺が書道を反対しないかを気にされているようでしたので、そんな心配はいらないというお話をしました」
それだけではないが、もがいているさまが美しいなどという発言があったとは香澄には聞かせたくない。
つい神代は香澄に尋ねてしまう。
「今まで……清柊先生とは……その、なにもありませんでしたよね?」
もがくさまが美しいからとわざといじわるなどはされていないだろうかと確認をしたかったのだ。
香澄は即座に否定した。
「なにもありません! そんなこと……」
心配だっただけなのだが、神代は香澄を怒らせてしまったようだった。
「ごめんなさい。香澄さん、そういうつもりで言ったわけではないのです」
清柊は自分のことについては巧妙に隠しているようで、香澄は全く気づいていないのだと神代は分かった。
最終的には香澄を応援していることは間違いないと思うのだが、神代にはどうにも先ほどの妖しい雰囲気が頭から離れない。
「清柊先生には十分気を付けてください」
それは先ほどの印象からつい言葉にしてしまったものだったのだが、香澄から返事がなく、その顔を見て神代は初めてしまったと思ったのだった。
香澄の顔が怒りで一杯だったからだ。それでも大声で怒鳴ったり詰ったりと、激しい態度を取るわけではないが、怒っている、ということは十分に伝わった。
「今日、佳祐さんはこの後お仕事と仰っていましたわね。私はこのまま帰ります」
「香澄さん、お送りします」
「お忙しいところ申し訳ないので、結構ですわ」
香澄が怒っているところなど神代は見たことがない。いつもふわふわとしていて叔父にあんな頼みごとをされてさえ困った顔をしても、怒ってはいなかった香澄だ。
妙なことを心配されても困ると、神代はすかさず言った。
「香澄さんが書道をされることについては賛同し応援しています。それに俺は書いている彼女にも惹かれていますから、反対するようなことはしないです。彼女を幸せにすることも約束しますよ」
「そうですか。聞きたかったことはそれだけです」
にこりと感じ良く笑った清柊は心配そうに神代たちを見ている香澄を指さした。
神代は大丈夫、と片手を挙げて合図する。それを見て香澄はホッとしたようだ。
「仲がいいなあ。かき乱したかったのに」
「清柊先生……」
どうにもこの人は同性には遠慮がないようだった。もしかしたら神代ならば大丈夫だと思われて遠慮なくされているのかもしれなかったが、どちらにしても神代には迷惑な話だった。
香澄と岡野のところに戻ると、心配そうに首を傾げられた。
「大丈夫でしたか?」
可愛くて純粋な香澄に触れると神代は本当に心が洗われるようだ。
「はい。大丈夫でした。香澄さんの師匠は心配性なのですね。結婚したら俺が書道を反対しないかを気にされているようでしたので、そんな心配はいらないというお話をしました」
それだけではないが、もがいているさまが美しいなどという発言があったとは香澄には聞かせたくない。
つい神代は香澄に尋ねてしまう。
「今まで……清柊先生とは……その、なにもありませんでしたよね?」
もがくさまが美しいからとわざといじわるなどはされていないだろうかと確認をしたかったのだ。
香澄は即座に否定した。
「なにもありません! そんなこと……」
心配だっただけなのだが、神代は香澄を怒らせてしまったようだった。
「ごめんなさい。香澄さん、そういうつもりで言ったわけではないのです」
清柊は自分のことについては巧妙に隠しているようで、香澄は全く気づいていないのだと神代は分かった。
最終的には香澄を応援していることは間違いないと思うのだが、神代にはどうにも先ほどの妖しい雰囲気が頭から離れない。
「清柊先生には十分気を付けてください」
それは先ほどの印象からつい言葉にしてしまったものだったのだが、香澄から返事がなく、その顔を見て神代は初めてしまったと思ったのだった。
香澄の顔が怒りで一杯だったからだ。それでも大声で怒鳴ったり詰ったりと、激しい態度を取るわけではないが、怒っている、ということは十分に伝わった。
「今日、佳祐さんはこの後お仕事と仰っていましたわね。私はこのまま帰ります」
「香澄さん、お送りします」
「お忙しいところ申し訳ないので、結構ですわ」
香澄が怒っているところなど神代は見たことがない。いつもふわふわとしていて叔父にあんな頼みごとをされてさえ困った顔をしても、怒ってはいなかった香澄だ。
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