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2.一度目の出会い
一度目の出会い③
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「驚いたわ。すごく素敵な方だったのね」
とても驚いているようには見えなかったが大島は驚いていたらしい。素敵だという意見には莉桜も同意しかなかった。
「はい。紳士で困っている人にはためらいなく声をかけられるって素敵ですよねぇ」
「そうね。世の中には素敵な人がいるものよね」
一瞬そんな話で盛り上がっていたら、そこへもう一人のビジネスクラスの担当者である福原が戻ってきた。
福原は次期パーサー候補とも言われているベテランだ。
「あら、盛り上がっているのね」
莉桜は福原にも経緯を伝える。共有することは本当に大事なのだ。一通りの話を聞いて、福原は驚いていた。
「まあ……そうだったの。倉木さん気づかなくてごめんなさいね。そう……9Dのお客様がね」
含みがあるように感じた。
「ご存知なのですか?」
「ええ。よく当社をご利用になるし……本社でもお会いしたことがあるから」
「本社?」
こくりと福原は頷いた。
「あの方は五十里様といって、五十里重工の取締役の方よ」
「あ、今度の新型飛行機の五十里重工ですか?」
「そう。多分新型飛行機の開発にも、携わっていらっしゃる方じゃないかしら」
五十里重工は国産航空機を国内で唯一取り扱っている会社だ。
今度JSAに導入されることもあり、世間の注目を集めていた。
導入されれば国内初の国産飛行機となるため、話題になっていた。
「お名前が会社と同じなんですね」
「五十里重工の御曹司って噂だもの」
「なるほど……紳士なわけですね」
御曹司と聞けば納得だ。
「名前に負けないやり手とも有名な方らしいけれど。国産飛行機のプロジェクトは、ご自身が先頭に立って企画とかされているそうだから。とても熱心な方なんですって」
「そうなんですね」
ではJSAは五十里にとって、自社の飛行機が導入される会社なのかもしれないのだ。
普通の客よりも、JSAに思い入れを持ってくれている可能性がある。
──いい人だな……。
莉桜は単純にそう思っていた。
今回のフライトは、ステイと言って現地での宿泊を伴ったものだった。
羽丘国際空港を夕刻経った便は約十二時間の飛行時間で、同日の夕刻シカゴに到着する。
シカゴにある空港は利用者数もアメリカ国内で三本の指に入るくらいで、かつては「最も混雑する空港」としてギネス認定されていたという空港だ。
八本もの滑走路を有している巨大空港なのである。
今日もJSAの有名パイロットである貴堂キャプテンは安定感のある着陸を見せ、莉桜は心の中で喝采を送っていた。
デブリーフィングという搭乗を終えた際の打ち合わせを機内で済ませた莉桜たちクルーは、今日宿泊するホテルに行くため、クルーシャトル乗り場に制服のまま向かう。
現地でのクルーの過ごし方はいろいろだ。
どうしても時差のある仕事なので、時差に身体を合わせる方法もそれぞれ違う。
あくまでも日本時間で過ごす人もいれば、現地時間に合わせる人もいるが、莉桜は現地時間に合わせる派だった。
「倉木さん、夜は一緒に食べに行かない?」
とても驚いているようには見えなかったが大島は驚いていたらしい。素敵だという意見には莉桜も同意しかなかった。
「はい。紳士で困っている人にはためらいなく声をかけられるって素敵ですよねぇ」
「そうね。世の中には素敵な人がいるものよね」
一瞬そんな話で盛り上がっていたら、そこへもう一人のビジネスクラスの担当者である福原が戻ってきた。
福原は次期パーサー候補とも言われているベテランだ。
「あら、盛り上がっているのね」
莉桜は福原にも経緯を伝える。共有することは本当に大事なのだ。一通りの話を聞いて、福原は驚いていた。
「まあ……そうだったの。倉木さん気づかなくてごめんなさいね。そう……9Dのお客様がね」
含みがあるように感じた。
「ご存知なのですか?」
「ええ。よく当社をご利用になるし……本社でもお会いしたことがあるから」
「本社?」
こくりと福原は頷いた。
「あの方は五十里様といって、五十里重工の取締役の方よ」
「あ、今度の新型飛行機の五十里重工ですか?」
「そう。多分新型飛行機の開発にも、携わっていらっしゃる方じゃないかしら」
五十里重工は国産航空機を国内で唯一取り扱っている会社だ。
今度JSAに導入されることもあり、世間の注目を集めていた。
導入されれば国内初の国産飛行機となるため、話題になっていた。
「お名前が会社と同じなんですね」
「五十里重工の御曹司って噂だもの」
「なるほど……紳士なわけですね」
御曹司と聞けば納得だ。
「名前に負けないやり手とも有名な方らしいけれど。国産飛行機のプロジェクトは、ご自身が先頭に立って企画とかされているそうだから。とても熱心な方なんですって」
「そうなんですね」
ではJSAは五十里にとって、自社の飛行機が導入される会社なのかもしれないのだ。
普通の客よりも、JSAに思い入れを持ってくれている可能性がある。
──いい人だな……。
莉桜は単純にそう思っていた。
今回のフライトは、ステイと言って現地での宿泊を伴ったものだった。
羽丘国際空港を夕刻経った便は約十二時間の飛行時間で、同日の夕刻シカゴに到着する。
シカゴにある空港は利用者数もアメリカ国内で三本の指に入るくらいで、かつては「最も混雑する空港」としてギネス認定されていたという空港だ。
八本もの滑走路を有している巨大空港なのである。
今日もJSAの有名パイロットである貴堂キャプテンは安定感のある着陸を見せ、莉桜は心の中で喝采を送っていた。
デブリーフィングという搭乗を終えた際の打ち合わせを機内で済ませた莉桜たちクルーは、今日宿泊するホテルに行くため、クルーシャトル乗り場に制服のまま向かう。
現地でのクルーの過ごし方はいろいろだ。
どうしても時差のある仕事なので、時差に身体を合わせる方法もそれぞれ違う。
あくまでも日本時間で過ごす人もいれば、現地時間に合わせる人もいるが、莉桜は現地時間に合わせる派だった。
「倉木さん、夜は一緒に食べに行かない?」
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