白蛇のお告げ

花芽 瞳子

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白蛇のお告げ

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ー白い蛇が目の前にいる。

彼か彼女か分からないそれは私の前に
佇んでいるだけで何も言わないし、何もしない。

すると白い光が私全体を包み込み、あっという間に私の記憶を奪っていった。

記憶が蘇ったのは、自分の部屋だ。
その時に、夢か現実か区別がついた。
その夢について、友人に話すと「おめでたい話だねぇ。そんな夢を見られて、羨ましいわ。だって、白蛇って神様の使いって言うじゃない。あんた、幸せ者だよ!」想定内の回答。私だって、白蛇はおめでたい存在だって知ってる。だが、夢は夢だ。覚めてしまったら、物語はそこで終わり。「はぁー、現実だったら、よかったのに…。」

その頃の私といったら、交際している彼との間で問題を抱えていた。
それは、彼と音信不通になったことだ。一方的と言ったら一方的だが、彼だけが悪い訳ではない。
私にも心当たりがある。遠距離恋愛中の私は彼が住んでいる関東に遊びに行った際に2人の未来のことをそれとなく、問いかけた。私はお互いに離れたところに住んでいるし、しょっちゅう会えるわけではないから、話は当然ながらするものだと思っていた。しかし、彼は驚いた表情で「今、その話?」と放った。私は今打ち明けないと後悔すると思って、今まで疑問に思っていたことを吐き出した。
内容といえば、男女関係などなど…。
すると、彼は少し寂しそうな声で「分かった。この話は今度会った時にしよう。」それだけだった。

ーそれから、早5ヶ月。
未だに、彼から音沙汰がない。
私としても踏ん切りをつけたいが、彼から連絡がないからにはどうすることもできない。このまま、フェードアウトか。心がグレーに染まっていく中、私は深い孤独という名の沼に沈んでいくような気持ちに苛まれた。

そんな中、最近見たあの白い蛇の夢を思い出した。あの蛇は一体、何者だろう。そして私に何を訴えかけたかったのだろう。いや、ひょっとしたらあの蛇は彼の化身だったのかもしれない。化身となって、私の夢に現れて大切な何かを伝えたかったのかもしれない。白い蛇が彼の化身という確証はない。だが、少なくとも今の私はそのように思うことで、心が救われる感覚を覚えた。連絡できない、ましてや会うことも叶わない彼への寂しさを癒すことができる心の拠り所とさえも思っている。

そんなことを考えながら今、私は彼との思い出のある喫茶店で温かいコーヒーを飲んでいる。
遠い所にいる彼のことを考えながら。
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