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泣き虫な俺と泣かせたいお前【8】
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誰かが俺の顔を覗き込んでる。
凛乃介が来てくれた、そう思った俺は凛乃介に向かって手を伸ばした。
「り、ん──」
声にならない声で凛乃介の名前を呼ぶ。
凛乃介は一瞬間を置いて返事をしてくれた。
必死に伸ばした俺の手を、凛乃介は両手で受け止めてくれた。
嬉しかった。
凛乃介に素直に甘えられている自分が信じられなくて気分が高揚した。
俺は高揚した気分のまま、どさくさに紛れて凛乃介に思いの丈をぶつけてしまおうかと悩んだ。
ずっと好きだったって言ったら凛乃介、困るかな。
浮かれて自問したが、すぐに思いとどまった。
どう考えても、困るに決まっている。
小さい頃から凛乃介に迷惑ばかりかけていて、凛乃介の力になれたことは一度もない。加えて、泣き虫と天邪鬼な性格が災いしていつも喧嘩腰。こんなやつから突然告白をされたところで、困らないやつなんて絶対にいない。
そもそも、凛乃介の周りには常に女の子が沢山いて、数え切れないくらい関係を持っているのだ。
男の、この体質だけが唯一の繋がりの自分なんかが選ばれるはずもない。
結果が目に見えているのに、わざわざ当たって砕ける必要なんかない。
無理に伝えて、傷を作って離れていくより、今のままでも良いから凛乃介のそばにいたい。
今まで何度もそう言い聞かせてきた。それでいいと思ってた。納得してきたはずなのに。
泣く資格なんかない。
そう思えば思うほど、涙が出てくる。
お願いだからどこにも行かないで。
伸ばした俺の手を凛乃介は優しく握った。
まるで、返事をくれたかのように。
そんな些細な動作でも、どうしようもなく安心した。自分はまだ凛乃介のそばにいていいんだと、自分勝手に解釈して気持ちが落ち着く。
安心すると、急に睡魔が襲ってきた。
ここ数日、ろくに寝れていなかったのが嘘のように身体が沈み込むような感覚に包まれる。
俺は凛乃介の手を握ったまま、深い眠に落ちた。
目を開けると、見慣れない天井が見えた。
周りを見回すと、四方をカーテンで囲まれたベッドの上で寝ていた。
病院かと思ったが、微妙に雰囲気が違う気がする。外から学生の声が聞こえてくる。どうやらここは大学の医務室らしい。入ったことが無かったので分からなかった。
まだ怠さの残る身体を持ち上げると、カーテンの外から声がかかった。
「あ、直生くん! もう起きて大丈夫?」
凛が変わらない笑顔で顔を覗かせた。
「あー、うん、大丈夫」
「そっか! 良かった! 直生くんベンチで倒れちゃったんだけど、覚えてる?」
どうやらまた凛に迷惑をかけたらしいと知って申し訳なくなる。
「迷惑かけちゃってごめん」
「迷惑だなんて思ってないから大丈夫! それよりもちょっと回復したみたいで良かったよ!」
どこまでも凛は人の良さを見せつけてくる。
自分とは正反対で羨ましくて眩しい。
俺は心の中でため息をついて、そう言えば、と切り出した。
「凛乃介がいたような気がするんだけど……」
一向に顔を出す気配のない凛乃介が気になって声をかける。
「凛乃介くん? さっきまで一緒にいたんだけど、直生くんが起きる前に用事があるからって帰っちゃった」
「そうなんだ……」
凛乃介の用事といえば、どうせアレだろう。
結局俺は沢山いる凛乃介のセフレ達より優先順位が低い。
当たり前のことなのに、未だに傷ついてしまう。
「あ、でも、すごい心配そうにしてたよ!」
落ち込んだ俺を見て、何かを察したのか、凛は明るくそう言った。
凛乃介は優しいから、幼馴染の心配くらい普通にする。だからなんの慰めにもならないんだと、吐き出しそうになって留まる。
凛にこれ以上迷惑をかけるわけにはいかない。
「多分、不摂生が原因だろうって先生が言ってたんだけど、心当たりある?」
「あー、うん」
「もー心配したんだよー!」
「ごめん」
「何か力になれることがあったら言ってね!」
凛はハキハキとそう言って、しばらくして部屋を出ていった。
俺はもうしばらく寝かせてもらおうと、ベッドに身体を埋めた。
しばらく寝れていなかった為か、医務室が閉まるまで爆睡してしまい、半ば追い出されるような形で先生に起こされる羽目になった。
誰かが俺の顔を覗き込んでる。
凛乃介が来てくれた、そう思った俺は凛乃介に向かって手を伸ばした。
「り、ん──」
声にならない声で凛乃介の名前を呼ぶ。
凛乃介は一瞬間を置いて返事をしてくれた。
必死に伸ばした俺の手を、凛乃介は両手で受け止めてくれた。
嬉しかった。
凛乃介に素直に甘えられている自分が信じられなくて気分が高揚した。
俺は高揚した気分のまま、どさくさに紛れて凛乃介に思いの丈をぶつけてしまおうかと悩んだ。
ずっと好きだったって言ったら凛乃介、困るかな。
浮かれて自問したが、すぐに思いとどまった。
どう考えても、困るに決まっている。
小さい頃から凛乃介に迷惑ばかりかけていて、凛乃介の力になれたことは一度もない。加えて、泣き虫と天邪鬼な性格が災いしていつも喧嘩腰。こんなやつから突然告白をされたところで、困らないやつなんて絶対にいない。
そもそも、凛乃介の周りには常に女の子が沢山いて、数え切れないくらい関係を持っているのだ。
男の、この体質だけが唯一の繋がりの自分なんかが選ばれるはずもない。
結果が目に見えているのに、わざわざ当たって砕ける必要なんかない。
無理に伝えて、傷を作って離れていくより、今のままでも良いから凛乃介のそばにいたい。
今まで何度もそう言い聞かせてきた。それでいいと思ってた。納得してきたはずなのに。
泣く資格なんかない。
そう思えば思うほど、涙が出てくる。
お願いだからどこにも行かないで。
伸ばした俺の手を凛乃介は優しく握った。
まるで、返事をくれたかのように。
そんな些細な動作でも、どうしようもなく安心した。自分はまだ凛乃介のそばにいていいんだと、自分勝手に解釈して気持ちが落ち着く。
安心すると、急に睡魔が襲ってきた。
ここ数日、ろくに寝れていなかったのが嘘のように身体が沈み込むような感覚に包まれる。
俺は凛乃介の手を握ったまま、深い眠に落ちた。
目を開けると、見慣れない天井が見えた。
周りを見回すと、四方をカーテンで囲まれたベッドの上で寝ていた。
病院かと思ったが、微妙に雰囲気が違う気がする。外から学生の声が聞こえてくる。どうやらここは大学の医務室らしい。入ったことが無かったので分からなかった。
まだ怠さの残る身体を持ち上げると、カーテンの外から声がかかった。
「あ、直生くん! もう起きて大丈夫?」
凛が変わらない笑顔で顔を覗かせた。
「あー、うん、大丈夫」
「そっか! 良かった! 直生くんベンチで倒れちゃったんだけど、覚えてる?」
どうやらまた凛に迷惑をかけたらしいと知って申し訳なくなる。
「迷惑かけちゃってごめん」
「迷惑だなんて思ってないから大丈夫! それよりもちょっと回復したみたいで良かったよ!」
どこまでも凛は人の良さを見せつけてくる。
自分とは正反対で羨ましくて眩しい。
俺は心の中でため息をついて、そう言えば、と切り出した。
「凛乃介がいたような気がするんだけど……」
一向に顔を出す気配のない凛乃介が気になって声をかける。
「凛乃介くん? さっきまで一緒にいたんだけど、直生くんが起きる前に用事があるからって帰っちゃった」
「そうなんだ……」
凛乃介の用事といえば、どうせアレだろう。
結局俺は沢山いる凛乃介のセフレ達より優先順位が低い。
当たり前のことなのに、未だに傷ついてしまう。
「あ、でも、すごい心配そうにしてたよ!」
落ち込んだ俺を見て、何かを察したのか、凛は明るくそう言った。
凛乃介は優しいから、幼馴染の心配くらい普通にする。だからなんの慰めにもならないんだと、吐き出しそうになって留まる。
凛にこれ以上迷惑をかけるわけにはいかない。
「多分、不摂生が原因だろうって先生が言ってたんだけど、心当たりある?」
「あー、うん」
「もー心配したんだよー!」
「ごめん」
「何か力になれることがあったら言ってね!」
凛はハキハキとそう言って、しばらくして部屋を出ていった。
俺はもうしばらく寝かせてもらおうと、ベッドに身体を埋めた。
しばらく寝れていなかった為か、医務室が閉まるまで爆睡してしまい、半ば追い出されるような形で先生に起こされる羽目になった。
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