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一途な猫は夢に溺れる 〜僕の可愛い黒猫〜
1
マオは僕の可愛い息子だ、と思う。
森に捨てられていたところを保護したから血のつながりは無い。更に言えばマオは人間で僕は魔法使いだ。種族すら違う僕らの暮らしはそれなりに楽しかった。家族と言うものに良い思い出が無かった僕がマオと出会えたのは奇跡で、きっと神様からのプレゼントだろうと思った。内心神様なんて全然信じてはいないけれど。
そんなある日、僕は急に一緒に暮らしていく上で、マオに名前が必要なことに気がついた。それまで、君、とか、ぼくちゃん、とか適当に呼んでいた。これで一人前の親気取りだったのが、今思うと笑える。
僕はマオにどんな名前がいいか聞いてみた。
勿論、意味をよく理解していないマオは僕が与えた猫のぬいぐるみを振り回して嬉しそうに笑った。
その様子にピンときた。これから先、この子は僕の傍にずっといる。それならこういう名前はどうだろう。
「魔法使いの黒猫の……マオ」
マオは手を叩きながら喜んだ……ように見えた。
僕はほっとするとマオの頭を思い切り撫でた。嫌がる素振りも見せず、マオは更に声を上げて嬉しそうに目を細めた。こんなに愛おしい生き物が存在するなんて、と思わず真顔になってしまった。
それからというもの、名前をつけたマオは一層近くに感じるようになった。
小さな僕の黒猫は自分一人じゃ何も出来ないような子だった。何をやらせても失敗し、直ぐに僕に泣きついてくる。そんなところが堪らなく愛おしくて、この先もずっと僕だけを頼っていって欲しいと思うようになった。
僕の、僕だけのマオ。
マオの世界には僕だけがいればいい。僕の世界にもキミしかいらない。
僕は心の底から満たされた気持ちで微笑んだ。
こうして僕とマオとのちょっと変わった暮らしは始まり、二人で順調に思い出を重ねていく、はずだった。
***
「マオ?」
マオの姿が見当たらなくて家の中を探し回る。
少し前までは呼べば直ぐに駆けつけてくれたのに、最近は僕に反論する場面も増えてきた。人間の子どもには反抗期というものがあるらしい。順調に成長してくれているのは喜ばしい事だが、冷たくされるのは少し――いや、かなり心にくる。早く反抗期を終わらせることはできないかと本をめくる。マオを世話することになってそれなりに色々勉強した。それでも本には書かれていないことだらけで毎日が苦労の連続だ。
「マオ~どこ行ったの~僕のマオ~?」
いくらなんでも反応が無さ過ぎる。
マオの自室もキッチンもバスルームもトイレだって探した。それでもマオの姿はどこにもなかった。
常日頃からマオには家から出ないように言いつけていた。外に出ても良いことなんか一つもないし、僕の目が届かない場所にマオがいるのが嫌だった。
一人じゃ何も出来ないマオのことだ。僕の言いつけを勝手に破って外に出たりはしないだろう。それでも探し場所の当てがなくなると、僕は念のため、ドアを開けて外に飛び出た。するとドアの先にはマオと、あと一人見慣れない顔の女の子が立っていた。
「あ、お師匠さん」
僕に気がついたマオが声を掛けてくる。が、僕はマオの隣にいる女の子から視線を逸らせずにいた。女の子は俺の視線に気がつくと急に背筋を伸ばした。
「こ、こんにちは」
女の子は緊張したような面持ちで僕に挨拶してきた。両肩は上がっていて、頬はほんのり赤い。マオと何の話をしていたんだろう。
「こんにちは。マオ、こちらのお嬢さんは?」
探りを入れるために気さくに話しかける。本当は今すぐにでもマオの腕を引っ張って家の中に押し込み、辺りに結界を張って誰も近づけないようにしてやりたい。そんな気持ちをぐっと押さえ込む。
僕はマオの保護者だから。
「彼女はリシェル。郵便配達の仕事でうちまで来てくれたんです」
「あぁ、そうなの? いつもありがとう」
微笑めば更にリシェルの顔が赤くなる。彼女の反応なんてどうでもよかった。一刻も早くマオと彼女を引き離したい。
「こ、これ、今日の分です!」
リシェルは何故近くに居るマオではなく、僕に手紙を渡してきた。
「じゃ、じゃあ失礼します!」
リシェルは早口でそれだけ言うと、慌てたように塀に立て掛けてあった自転車にまたがり、大急ぎで去っていった。
僕は家に戻ろうとしたが、マオの動きが気になって立ち止まった。マオは急に立ち止まった僕を不思議そうに眺めながら、ドアを開けて待っててくれた。
「お師匠さん?」
待っていてくれたマオに少し心を許して忘れてしまいそうになるが、マオは僕の言いつけを破ったのだ。ここは親としてきっちり注意しないといけない。
「マオ、なんで僕の言いつけ破ったの?」
「言いつけを破った……?」
マオの心当たりの無さそうな顔に少しずつ腹が立ってくる。
「家から出たら駄目だって言ってるだろ」
「家の敷地からは出ていません。それに、外に出ないと郵便が受け取れません」
「そんなことやらなくていいよ。僕がやるから」
「そう言ってポストをいっぱいにして手紙をむちゃくちゃにしたのはどこの誰でしたっけ?」
「う」
「それにお師匠さんが寝こけている間に毎日やっていることなので今更です」
「毎日!?」
知らなかった。僕が徹夜で仕事をして、昼まで寝ている間にマオがそんなことをしていたなんて。
僕は驚きと共に、ある懸念が思い浮かんだ。
「毎日ってことは、リシェルにも毎日会ってるってこと?」
「たまに違う人の場合もありますが、そうですね、大体リシェルが届けてくれます」
マオの口から初めて女の名前を聞いた。例えただの郵便配達の女の子の名前だとしてもいい気がしない。僕はやさぐれた気持ちになった。
「僕の目を盗んでの逢引は楽しかったかな?」
「は……?」
マオは瞳を大きく見開いた後、眉根を寄せた。そんな顔を向けられたことが無かった僕は一瞬胸が痛んだ。しかし言葉は止まらない。
「あの子が好きならそう言ってくれればいいのに」
「話が飛躍しすぎです」
「じゃあ飛躍していないところから始めようか。マオはあの子のことをどう思ってる?」
「どうも……」
「そう、マオはそうかもしれないね。でもあの子の方はどうだろう? えらく顔を赤くしながら喋っていたみたいだけど」
「は?」
僕はマオに近づき、マオの胸に人差し指を付き立てた。至近距離でマオと向かい合うと目線が少し上に向いた。少し前に身長を抜かされたことは分かっていたが、そこから更に成長したらしい。マオに見下ろされる形となり、自分で近づいたのにも関わらず、寂しさと悔しさで奥歯を噛んだ。
「お師匠さん、自覚ないんですか?」
「なんの? ていうか話を逸らさないでくれる?」
マオは酷く悲しそうに顔を歪めた後、無言で僕に背中を向けた。
「あ、ちょっと、話はまだ──」
「俺はもうないです」
それだけ言い残すとマオは自室に繋がる階段を駆け上がっていってしまった。
一人残された僕は一瞬呆けた後、我に返って頭を抱えた。
マオと喧嘩するつもりはなかった。
しかし、マオとリシェルが並んでいるところを見た瞬間、言いようの無い不安に襲われた。マオに自分以外の人との繋がりがあると分かって、急に怖くなった。
「あ~~~もう!」
全部が上手くいかない。マオとの仲も、自分の中にある捌き切れない感情も、何もかも。
僕は長い前髪を掻き揚げると舌打ちした。いつもはマオが綺麗に結ってくれるが今日は無茶苦茶だ。しかし、もうどうでもいいな、と思う。
僕は乱暴な足音を立てて自分の寝室へ戻った。力強くドアを閉めると振動で本棚の本が何冊か倒れた。室内を見渡すと酷い有様だった。片付けるのは苦手だが、ここまで酷いと我ながら言葉を失う。この酷い状態をマオは毎日綺麗に元通りにしてくれる。
森に捨てられていたところを保護したから血のつながりは無い。更に言えばマオは人間で僕は魔法使いだ。種族すら違う僕らの暮らしはそれなりに楽しかった。家族と言うものに良い思い出が無かった僕がマオと出会えたのは奇跡で、きっと神様からのプレゼントだろうと思った。内心神様なんて全然信じてはいないけれど。
そんなある日、僕は急に一緒に暮らしていく上で、マオに名前が必要なことに気がついた。それまで、君、とか、ぼくちゃん、とか適当に呼んでいた。これで一人前の親気取りだったのが、今思うと笑える。
僕はマオにどんな名前がいいか聞いてみた。
勿論、意味をよく理解していないマオは僕が与えた猫のぬいぐるみを振り回して嬉しそうに笑った。
その様子にピンときた。これから先、この子は僕の傍にずっといる。それならこういう名前はどうだろう。
「魔法使いの黒猫の……マオ」
マオは手を叩きながら喜んだ……ように見えた。
僕はほっとするとマオの頭を思い切り撫でた。嫌がる素振りも見せず、マオは更に声を上げて嬉しそうに目を細めた。こんなに愛おしい生き物が存在するなんて、と思わず真顔になってしまった。
それからというもの、名前をつけたマオは一層近くに感じるようになった。
小さな僕の黒猫は自分一人じゃ何も出来ないような子だった。何をやらせても失敗し、直ぐに僕に泣きついてくる。そんなところが堪らなく愛おしくて、この先もずっと僕だけを頼っていって欲しいと思うようになった。
僕の、僕だけのマオ。
マオの世界には僕だけがいればいい。僕の世界にもキミしかいらない。
僕は心の底から満たされた気持ちで微笑んだ。
こうして僕とマオとのちょっと変わった暮らしは始まり、二人で順調に思い出を重ねていく、はずだった。
***
「マオ?」
マオの姿が見当たらなくて家の中を探し回る。
少し前までは呼べば直ぐに駆けつけてくれたのに、最近は僕に反論する場面も増えてきた。人間の子どもには反抗期というものがあるらしい。順調に成長してくれているのは喜ばしい事だが、冷たくされるのは少し――いや、かなり心にくる。早く反抗期を終わらせることはできないかと本をめくる。マオを世話することになってそれなりに色々勉強した。それでも本には書かれていないことだらけで毎日が苦労の連続だ。
「マオ~どこ行ったの~僕のマオ~?」
いくらなんでも反応が無さ過ぎる。
マオの自室もキッチンもバスルームもトイレだって探した。それでもマオの姿はどこにもなかった。
常日頃からマオには家から出ないように言いつけていた。外に出ても良いことなんか一つもないし、僕の目が届かない場所にマオがいるのが嫌だった。
一人じゃ何も出来ないマオのことだ。僕の言いつけを勝手に破って外に出たりはしないだろう。それでも探し場所の当てがなくなると、僕は念のため、ドアを開けて外に飛び出た。するとドアの先にはマオと、あと一人見慣れない顔の女の子が立っていた。
「あ、お師匠さん」
僕に気がついたマオが声を掛けてくる。が、僕はマオの隣にいる女の子から視線を逸らせずにいた。女の子は俺の視線に気がつくと急に背筋を伸ばした。
「こ、こんにちは」
女の子は緊張したような面持ちで僕に挨拶してきた。両肩は上がっていて、頬はほんのり赤い。マオと何の話をしていたんだろう。
「こんにちは。マオ、こちらのお嬢さんは?」
探りを入れるために気さくに話しかける。本当は今すぐにでもマオの腕を引っ張って家の中に押し込み、辺りに結界を張って誰も近づけないようにしてやりたい。そんな気持ちをぐっと押さえ込む。
僕はマオの保護者だから。
「彼女はリシェル。郵便配達の仕事でうちまで来てくれたんです」
「あぁ、そうなの? いつもありがとう」
微笑めば更にリシェルの顔が赤くなる。彼女の反応なんてどうでもよかった。一刻も早くマオと彼女を引き離したい。
「こ、これ、今日の分です!」
リシェルは何故近くに居るマオではなく、僕に手紙を渡してきた。
「じゃ、じゃあ失礼します!」
リシェルは早口でそれだけ言うと、慌てたように塀に立て掛けてあった自転車にまたがり、大急ぎで去っていった。
僕は家に戻ろうとしたが、マオの動きが気になって立ち止まった。マオは急に立ち止まった僕を不思議そうに眺めながら、ドアを開けて待っててくれた。
「お師匠さん?」
待っていてくれたマオに少し心を許して忘れてしまいそうになるが、マオは僕の言いつけを破ったのだ。ここは親としてきっちり注意しないといけない。
「マオ、なんで僕の言いつけ破ったの?」
「言いつけを破った……?」
マオの心当たりの無さそうな顔に少しずつ腹が立ってくる。
「家から出たら駄目だって言ってるだろ」
「家の敷地からは出ていません。それに、外に出ないと郵便が受け取れません」
「そんなことやらなくていいよ。僕がやるから」
「そう言ってポストをいっぱいにして手紙をむちゃくちゃにしたのはどこの誰でしたっけ?」
「う」
「それにお師匠さんが寝こけている間に毎日やっていることなので今更です」
「毎日!?」
知らなかった。僕が徹夜で仕事をして、昼まで寝ている間にマオがそんなことをしていたなんて。
僕は驚きと共に、ある懸念が思い浮かんだ。
「毎日ってことは、リシェルにも毎日会ってるってこと?」
「たまに違う人の場合もありますが、そうですね、大体リシェルが届けてくれます」
マオの口から初めて女の名前を聞いた。例えただの郵便配達の女の子の名前だとしてもいい気がしない。僕はやさぐれた気持ちになった。
「僕の目を盗んでの逢引は楽しかったかな?」
「は……?」
マオは瞳を大きく見開いた後、眉根を寄せた。そんな顔を向けられたことが無かった僕は一瞬胸が痛んだ。しかし言葉は止まらない。
「あの子が好きならそう言ってくれればいいのに」
「話が飛躍しすぎです」
「じゃあ飛躍していないところから始めようか。マオはあの子のことをどう思ってる?」
「どうも……」
「そう、マオはそうかもしれないね。でもあの子の方はどうだろう? えらく顔を赤くしながら喋っていたみたいだけど」
「は?」
僕はマオに近づき、マオの胸に人差し指を付き立てた。至近距離でマオと向かい合うと目線が少し上に向いた。少し前に身長を抜かされたことは分かっていたが、そこから更に成長したらしい。マオに見下ろされる形となり、自分で近づいたのにも関わらず、寂しさと悔しさで奥歯を噛んだ。
「お師匠さん、自覚ないんですか?」
「なんの? ていうか話を逸らさないでくれる?」
マオは酷く悲しそうに顔を歪めた後、無言で僕に背中を向けた。
「あ、ちょっと、話はまだ──」
「俺はもうないです」
それだけ言い残すとマオは自室に繋がる階段を駆け上がっていってしまった。
一人残された僕は一瞬呆けた後、我に返って頭を抱えた。
マオと喧嘩するつもりはなかった。
しかし、マオとリシェルが並んでいるところを見た瞬間、言いようの無い不安に襲われた。マオに自分以外の人との繋がりがあると分かって、急に怖くなった。
「あ~~~もう!」
全部が上手くいかない。マオとの仲も、自分の中にある捌き切れない感情も、何もかも。
僕は長い前髪を掻き揚げると舌打ちした。いつもはマオが綺麗に結ってくれるが今日は無茶苦茶だ。しかし、もうどうでもいいな、と思う。
僕は乱暴な足音を立てて自分の寝室へ戻った。力強くドアを閉めると振動で本棚の本が何冊か倒れた。室内を見渡すと酷い有様だった。片付けるのは苦手だが、ここまで酷いと我ながら言葉を失う。この酷い状態をマオは毎日綺麗に元通りにしてくれる。
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