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*現在* 答え合わせ
229 恋人の父親
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(※カノン視点)
今すぐ飛んでいきたいと勇むリュンクスをなだめ、仮眠を取れと寝かし付けた後、カノンはリュンクスの父親に声を掛けた。
「少しよろしいですか?」
リュンクスの父親クオンは、穏やかで気の弱そうな、一見、地味な男だ。
だが、恋人の父親なので、気を使わなければならない。
カノンは珍しく緊張していた。
「いいよ。場所を移そうか」
人気のない中庭の一角に、二人で移動する。
まずは出身地を含めた自己紹介。そして、息子さんとお付き合いしています、と告白をする。
「俺は、リュンクスを公私共にパートナーにしたいと、考えています。塔を卒業後は、リュンクスをアウレルムに連れていきたい。どうか許可いただけますか?」
よろしくお願いします、と頭を下げられ、クオンはあたふたした。
「うわわ、真面目な子だな。リュンクスが行くって言うなら、僕が父親でも止められないよ」
納得できるかどうか別にして、現実的に、成長した息子を閉じ込めたりできようはずもないとクオンは嘆息する。
「そうか、アウレルムか。あそこは治安が良いから、安心だね」
「アウレルムに来られた事が?」
「通ったことは何回かあるよ。昔は、あちこち旅をしていたからね」
カノンは、リュンクスの父親を侮ってはいなかった。
物腰は穏やかだが、動作にキレがある。魔術には精通していないが、態度の端々に世慣れしている雰囲気があった。少なくとも田舎に引きこもっている、只の農民の男では無いことは確かだ。
「塔を卒業しても、リュンクスは帰って来ないのか。そうなると、僕は一人になっちゃうな……」
「アウレルムに引っ越しされてはいかがですか?」
「いやあ、あそこは魔術師至上主義の国だろう。僕みたいな半端者は、肩身が狭いよ」
カノンの誘いをすげなく断り、クオンは遠い目をした。
「せっかく身軽な一人身に戻ったんだから、昔みたいに、またあちこち旅をして回ろうかな」
さすがリュンクスの父親だと、カノンは密かに思った。
自由さや、ポジティブさが、共通している。
「それでは、リュンクスを連れて行くことを許して頂けるのですか?」
話が逸れそうなので、カノンは強引に話題を戻した。
「そうだなあ。僕はリュンクスが幸せなら構わないけど……シルヴィーはどう言うかな……」
「リュンクスの母上は、その、どのような方でしょう?」
「気が強い。我がまま。横暴。あと理不尽」
クオンの返事に、カノンは絶句する。
「僕よりも、彼女を説得する方が、大変だと思うよ」
「……そうですか」
聞いたか、先輩。
カノンは心の中だけで、つぶやく。
何を企んでいるか知らないが、俺よりも、母親を気にした方が良さそうだぞ。
今すぐ飛んでいきたいと勇むリュンクスをなだめ、仮眠を取れと寝かし付けた後、カノンはリュンクスの父親に声を掛けた。
「少しよろしいですか?」
リュンクスの父親クオンは、穏やかで気の弱そうな、一見、地味な男だ。
だが、恋人の父親なので、気を使わなければならない。
カノンは珍しく緊張していた。
「いいよ。場所を移そうか」
人気のない中庭の一角に、二人で移動する。
まずは出身地を含めた自己紹介。そして、息子さんとお付き合いしています、と告白をする。
「俺は、リュンクスを公私共にパートナーにしたいと、考えています。塔を卒業後は、リュンクスをアウレルムに連れていきたい。どうか許可いただけますか?」
よろしくお願いします、と頭を下げられ、クオンはあたふたした。
「うわわ、真面目な子だな。リュンクスが行くって言うなら、僕が父親でも止められないよ」
納得できるかどうか別にして、現実的に、成長した息子を閉じ込めたりできようはずもないとクオンは嘆息する。
「そうか、アウレルムか。あそこは治安が良いから、安心だね」
「アウレルムに来られた事が?」
「通ったことは何回かあるよ。昔は、あちこち旅をしていたからね」
カノンは、リュンクスの父親を侮ってはいなかった。
物腰は穏やかだが、動作にキレがある。魔術には精通していないが、態度の端々に世慣れしている雰囲気があった。少なくとも田舎に引きこもっている、只の農民の男では無いことは確かだ。
「塔を卒業しても、リュンクスは帰って来ないのか。そうなると、僕は一人になっちゃうな……」
「アウレルムに引っ越しされてはいかがですか?」
「いやあ、あそこは魔術師至上主義の国だろう。僕みたいな半端者は、肩身が狭いよ」
カノンの誘いをすげなく断り、クオンは遠い目をした。
「せっかく身軽な一人身に戻ったんだから、昔みたいに、またあちこち旅をして回ろうかな」
さすがリュンクスの父親だと、カノンは密かに思った。
自由さや、ポジティブさが、共通している。
「それでは、リュンクスを連れて行くことを許して頂けるのですか?」
話が逸れそうなので、カノンは強引に話題を戻した。
「そうだなあ。僕はリュンクスが幸せなら構わないけど……シルヴィーはどう言うかな……」
「リュンクスの母上は、その、どのような方でしょう?」
「気が強い。我がまま。横暴。あと理不尽」
クオンの返事に、カノンは絶句する。
「僕よりも、彼女を説得する方が、大変だと思うよ」
「……そうですか」
聞いたか、先輩。
カノンは心の中だけで、つぶやく。
何を企んでいるか知らないが、俺よりも、母親を気にした方が良さそうだぞ。
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