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第一章 ハムスターだもの
えええ、キスぅ!?
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この萌え上がるパッションを如何して表現せん。
ハムスターの身体だと出来ることは少ない。
この小さな手ではペンを持てないので、文章や絵にすることは出来ない。
なら踊りか、歌か!?
今日も影から金髪の王子様と黒髪の青年を眺めている。
ああっ、二人が近寄って……そのまま手を繋いで下さい!
妄想を膨らませていると、唐突に王子様が立ち上がった。
彼はかつかつとブーツの音を響かせて、私の隠れている植木の鉢の傍までやってくる。
まさか……
「見いつけた」
逃げる隙もなく(ハムスターの鈍足じゃ逃げられない)、首根っこを摘ままれて持ち上げられる。ふああっ!
「最近、視線を感じると思ったら君だったのか。可愛いパムスター君」
王子様の美貌がアップになって、私は思わず気絶しそうになった。
後で知ったのだが、私達の種族名はハムスターではなく、パムスターらしい。ハでもパでも、どっちでもいいよ。
呆然とする私は、そのまま王子様に摘ままれてテーブルの上に着地させられる。
「イッシュ、ピマワリの種はあったかな」
椅子に座って様子を見ていた黒髪の青年はポケットに手を入れた。
彼はイッシュと言う名前らしい。
ここしばらく彼等をストーキングしていたが、実は名前までは知らなかった。
「あるぜ」
彼はポケットから種を取り出すと、テーブルの上の私に差し出す。
条件反射で種を受け取った私は、貰えるものならと自棄になってそれをかじり始めた。ええい、ここまで来れば腹をくくるんだ私!近くで王子様を観察出来るチャンスじゃないか。
「可愛いな~~」
王子様の声は語尾にハートが付きそうな感じだ。
彼はにこにこしながら私を覗き込む。
「このパムスター、額に星がある。縁起が良い」
そう、私の額には白い五芒星がある。
背中はパムスターによくある稲穂の色なのだが、額は白く染め抜いたような星形の印があって私の特徴になっていた。
「パムスターは神の使いらしいけど、この子は本当に神の使いかもしれないな」
美男子は交互に私を覗き込んだ。
ああっ、そんな輝くような視線で見ないでっ!燃え尽きてしまう……
種を食べ終わって見上げると、王子様は驚くような行動に出た。
「好きだよ。可愛いパムスター君」
ちゅっ。
……。
……え?
……ええええええええあえ?!
「おい、パドリック。このパムスター、鼻血吹いてるぞ」
「予想外の反応だ。しかし鼻血を出すパムスターも実に愛くるしい」
「お前の丸いもの好きは筋金入りだな」
驚愕の余り鼻から赤い液体を出してぶっ倒れた私を見て、王子様とイッシュ君が何やら会話してるが、硬直している私の脳には会話の内容が入ってこなかった。
目を回している私を前に二人は会話を続ける。
「このまま持ち帰ろうか」
「パムスターは聖獣だぞ。お前がいくらこの国の王子だとしてもまずいんじゃないか」
持ち帰る?誰を?私を?
あれだ、よくあるお酒を飲ませてお持ち帰りというシチュエーション。持ち帰られた後はうっふんあっはんな展開になって、もれなく朝帰り……って、そんな訳あるか!
一気に現実に立ち返る。
麗しい手が伸びてくるが、すんでで避けて、テーブルから飛び降りた。
朝帰りとか物語を読む分ならともかく、自分自身は体験しようとは思わない。
美青年は鑑賞する用であって、鑑賞される用ではないのだ。
「あっ、パムスター君~」
名残惜しそうな声を聞きながら部屋の隅にダッシュすると、タンスの下に潜り込む。
ここまで来たら人間には追って来ることは出来ない。
私はいそいそと物影を伝って移動して、城から脱出した。
あー、危なかった。
何が危なかったかは知らないけど、まあいいか。
ハムスターは難しい事は考えないのだ。
ハムスターの身体だと出来ることは少ない。
この小さな手ではペンを持てないので、文章や絵にすることは出来ない。
なら踊りか、歌か!?
今日も影から金髪の王子様と黒髪の青年を眺めている。
ああっ、二人が近寄って……そのまま手を繋いで下さい!
妄想を膨らませていると、唐突に王子様が立ち上がった。
彼はかつかつとブーツの音を響かせて、私の隠れている植木の鉢の傍までやってくる。
まさか……
「見いつけた」
逃げる隙もなく(ハムスターの鈍足じゃ逃げられない)、首根っこを摘ままれて持ち上げられる。ふああっ!
「最近、視線を感じると思ったら君だったのか。可愛いパムスター君」
王子様の美貌がアップになって、私は思わず気絶しそうになった。
後で知ったのだが、私達の種族名はハムスターではなく、パムスターらしい。ハでもパでも、どっちでもいいよ。
呆然とする私は、そのまま王子様に摘ままれてテーブルの上に着地させられる。
「イッシュ、ピマワリの種はあったかな」
椅子に座って様子を見ていた黒髪の青年はポケットに手を入れた。
彼はイッシュと言う名前らしい。
ここしばらく彼等をストーキングしていたが、実は名前までは知らなかった。
「あるぜ」
彼はポケットから種を取り出すと、テーブルの上の私に差し出す。
条件反射で種を受け取った私は、貰えるものならと自棄になってそれをかじり始めた。ええい、ここまで来れば腹をくくるんだ私!近くで王子様を観察出来るチャンスじゃないか。
「可愛いな~~」
王子様の声は語尾にハートが付きそうな感じだ。
彼はにこにこしながら私を覗き込む。
「このパムスター、額に星がある。縁起が良い」
そう、私の額には白い五芒星がある。
背中はパムスターによくある稲穂の色なのだが、額は白く染め抜いたような星形の印があって私の特徴になっていた。
「パムスターは神の使いらしいけど、この子は本当に神の使いかもしれないな」
美男子は交互に私を覗き込んだ。
ああっ、そんな輝くような視線で見ないでっ!燃え尽きてしまう……
種を食べ終わって見上げると、王子様は驚くような行動に出た。
「好きだよ。可愛いパムスター君」
ちゅっ。
……。
……え?
……ええええええええあえ?!
「おい、パドリック。このパムスター、鼻血吹いてるぞ」
「予想外の反応だ。しかし鼻血を出すパムスターも実に愛くるしい」
「お前の丸いもの好きは筋金入りだな」
驚愕の余り鼻から赤い液体を出してぶっ倒れた私を見て、王子様とイッシュ君が何やら会話してるが、硬直している私の脳には会話の内容が入ってこなかった。
目を回している私を前に二人は会話を続ける。
「このまま持ち帰ろうか」
「パムスターは聖獣だぞ。お前がいくらこの国の王子だとしてもまずいんじゃないか」
持ち帰る?誰を?私を?
あれだ、よくあるお酒を飲ませてお持ち帰りというシチュエーション。持ち帰られた後はうっふんあっはんな展開になって、もれなく朝帰り……って、そんな訳あるか!
一気に現実に立ち返る。
麗しい手が伸びてくるが、すんでで避けて、テーブルから飛び降りた。
朝帰りとか物語を読む分ならともかく、自分自身は体験しようとは思わない。
美青年は鑑賞する用であって、鑑賞される用ではないのだ。
「あっ、パムスター君~」
名残惜しそうな声を聞きながら部屋の隅にダッシュすると、タンスの下に潜り込む。
ここまで来たら人間には追って来ることは出来ない。
私はいそいそと物影を伝って移動して、城から脱出した。
あー、危なかった。
何が危なかったかは知らないけど、まあいいか。
ハムスターは難しい事は考えないのだ。
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