会社員だった俺が試しに選挙に出てみたら当選して総理大臣になってしまった件

もっちもっち

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第2巻 新革党の選挙戦

どぶ板選挙に呼ばざる客①

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 選挙戦初日。俺はオーソドックスに駅前で演説することから始めた。選挙カーは謎の男にパンクさせられてしまったので、移動は自転車と電車である。まあ、今まで選挙カーなんて贅沢なものはなかったわけだし、自分一人ならこのままでもいいか。
「皆さん。古味良一です。皆さんの清き一票をよろしくお願い致します」
 通行人は通学・通勤の人がほとんどなので立ち止まらずに去っていく。しかし、メディアに何度か取り上げられて知名度があがったせいか、何人かは「古味良一だ」と言いながら立ち止まって話を聞いてくれている。
「そもそも、親子で選挙区を分割なんておかしいと思いませんか?そんな世襲政治に終止符を打つのは我々新革党。。。」

 プップッー

 誰だこんな人ごみに向かってクラクションを鳴らす奴は。
「うるせえぞ」
 ほら見ろ誰か叫んでいるじゃないか。(多分、俺の選挙演説に向けたものではない)あまりしつこいようなら注意しようとクラクションを鳴らしている赤いポルシェの方を見ていると。中の人が降りてきた。
「前澤さん?」
 なんと赤いポルシェから降りてきたのは同じ新革党から立候補している前澤議員だった。
「渦川さんから応援演説をするよう言われてきました。古味さん。朝から駅前に立って演説なんてどぶ板選挙って奴ですか?いいですね。私も見習いたいです」
 いや、お前もそれやってるはずだろう。そうか?今日は自分の応援に駆けつけてくれたのか。。。ありがとう。いや、あの赤いポルシェはなんだ。
「ポルシェが気になりますか?ポルシェはいいですよ。広い選挙区もなんのそのです。埼玉から茨城ぐらいの移動なら余裕です」
 なんならそのまま滋賀や大阪の選挙区までかっ飛ばしてくればいいのに。
 どことなく庶民派を自負している自分が高級車を迷惑そうに見ていると前澤議員が話し出す。
「古味さん足はどれですか?」
 俺がおもむろに自転車を指さす。
「わかりました。マイクを貸してください」
 言うが早いが俺からマイクを取り上げると前澤議員が大声で話し出す。
「皆さん。注目してください。彼が風雲児古味良一です」

 ざわざわざわ

 ちょっ。TVスクラムの「永田町戦国絵巻」みたいなこと言わないでよ。恥ずかしいじゃないか。
「こういうのは目立った者勝ちです。古味さん俺に任せて」
「いいですか?水園寺割りだなんてふざけたことを言ってる場合じゃない。お殿様じゃないんだから。彼がこの選挙区に新しい秩序を打ち立てます」
「いいぞーやれー」
 前澤議員の演説は意外に聴衆に受け、笑い声にまじって拍手が上がる。俺も風雲児だなんて言われて逆に大人しくなってしまっていたか。そうだ、もともと炎上選挙で勝ち取った地位じゃないか。今更大人しくなる必要なんかない。
「皆さん。今ご紹介にあずかりました。風雲児です」

 ドッ

「秩序というのはさすがに大げさかなと思いますが、やはり政治は選挙で皆さんが決めていくものです。世襲されて勝って当たり前の選挙なんてあっては。。。」
「何が風雲児だ。ふざけるな」
 やばい。誰か怒ってる。やっぱ調子に乗りすぎたか。すこし聴衆への配慮が足りなかったかと声のする方を見てみると、なんと声の主は水園寺割りの息子の方、水園寺義光であった。
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