会社員だった俺が試しに選挙に出てみたら当選して総理大臣になってしまった件

もっちもっち

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第2巻 新革党の選挙戦

[開票速報]風雲児当選

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 一通り、大物議員たちの当確が報じられると、次に注目されるのは接戦の激戦区。
 俺――古味良一の選挙区も、まさにそのひとつだった。

 特番を何気なく眺めていた俺も、いよいよ自分の番が近づいてきたとなると、心臓が急に忙しくなる。
 画面が切り替わるたび、「次は俺か?」とドキリとする。
 そういえば、受験も就職も適当に受けてきたから、こんなに結果を緊張して待つのは人生初だ。

 そんなとき、ついにテレビに**「茨城県第○区」**の文字が映し出された。
 思わず前のめりになる。だが、当確の文字はまだない。開票率は5%。
 票数は拮抗していたが、俺の名前が対立候補・水園寺幸房の上に表示されている。
 これは「優勢」と見ていいのだろうか――。

「ふーっ……」

 安堵とも落胆ともつかないため息が、事務所にぽつりとこぼれた。

「こちら、古味良一候補の選挙事務所前からお伝えします」

 画面が切り替わり、俺たちが見ているテレビに自分の事務所の外の様子が映る。

「水園寺割りの選挙制度改革で注目を集めたこの選挙区、まだ当確は出ておらず、ご覧の通り、現場は静まり返っています」

 ……いやいや、外から中の様子がわかるってどういうことだ?
 レポーター、もし俺が落選してたら、その足で水園寺の事務所に向かうつもりだったんじゃ……。

「ここで、選挙戦中の様子をご覧いただきましょう」

 ナレーションとともに画面が切り替わり、俺の選挙戦初日の演説風景が流れた。
 応援演説に来てくれた前澤さんの姿も映っている。
 幸い、例の水園寺義光との口論はカットされていた。

 次に、自転車を漕ぎながら手を振る俺の姿。
 さらには動画サイトにアップされた選挙スピーチの様子も流れる。
 これだけ見ると、なかなかアグレッシブで若々しい候補者に見えなくもない。

 一方、対立候補・水園寺幸房の映像は、ポスターが一枚映っただけ。
 まあ、そりゃそうだ。あの人、選挙期間中、一度も姿見せてなかったんだから。

「まさか、あの幸房さんがここまでやる気を失ってるとは……これは、勝ったかもしれません」

 そう呟いたのは目白さんだった。
 俺は無言で頷き、画面を見つめ続けた。

「茨城県選挙区の結果が入りました。古味良一、当選確実です!
 “風雲児”が、議席を手にしました!」

「やったぁーっ!!」

 事務所内は歓声と拍手の嵐。
 万歳三唱が始まり、その声は外の通りにまで響き渡っていた。

 そして、その様子を、テレビの画面が外から中へと切り替えながら映し出している。
 なんとも不思議な光景だ。

「古味さん、当選おめでとうございます」

 さっきまで“帰ろうとしてた感”を隠せなかったレポーターが、いそいそと事務所内へ。

「当選を受けて、いまのお気持ちは? 巷では“風雲児”なんて呼ばれていますが」

「はい、そのあだ名に恥じないように――いえ、むしろ、その“風”に乗って、政界に嵐を起こしていきたいと思います」

 ――おお、俺にしては、リップサービスうまくなったじゃないか。

「頼もしいですね、古味さん。今後のご活躍、期待してます」

 そう言い残してレポーターはマイクを引っ込めたが、テレビ画面ではまだ事務所の熱気が続いていた。
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