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仲間回収編

危険度

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獣王国を出て東に行くと、とてつもなく広い海があった。

「おー久々に海を見たなー」

前世(?)含めての事だが、雫は知ってか知らずか頷き、玉藻は・・・泳いでいる。

速っ!なんて思わずに、玉藻だしと、割り切る。

それにしても・・・いやな、別に、ダメではないし、逆にもっと楽しんで欲しいのだが・・・

「なんというか・・・目の保養になるな・・・」

「う~・・・まっまだ、私にもチャンスが・・・・・・玉藻さんは幼児退行してしまったのでしょうか?」

海に入り、メロンを上下に揺らしながら、キャッキャッと笑っている様子は・・・

「子供だ」

「子供ですね」

すこーし育ち過ぎた子供・・・育ち切れなかった大人?は、この世界の中では、最強と言われる部族の一角なのだが・・・

「まぁいいや、泳いでから行くか・・・」

その言う朱雀の顔は、床に落ちた柿ピーを食べる赤子を見るようだった。


約2時間程爆速のクロールやらバタフライやらで海の水を半分くらい水蒸気に戻し(案外比喩でも無い)、現在朱雀たちは、綺麗な半月型のビーチを見ながら、魔族の国、エスカテーテに向かっていた。

「おーい玉藻ー、そろそろ行くぞー」

はーい、と返事をし、着物に着替え、ダッシュでこちらに来るも、

「ドウワッ!?」

案の定、いっそ清々しい程に綺麗に転ぶのは、もう駄目だろうなと諦めるには十分であった。



エスカテーテに行くには、特に名前の無い火山地帯を抜け、スライムの宝庫である特に名前の無い沼地を進み、魔素を吸って黒く変色した茨や木々の森を抜け、極小かつ馬鹿にならない質量の雨が降る地帯を何かしらで頭を守りながら進み、半径20kmの円形に盛り上がる形の土地からこぼれ落ちる滝をかき分けて登り、世界樹の苗木と呼ぼれる標高1km、半径500mの苗木(?)を登り、その頂点にいるサンダーバードなる雷鳥をてなずけ、東に向かって飛ぶ。と、ここまでは常人が苦労して死にかけてやっとたどり着けるルートである。

エスカテーテに向かう途中の環境は、聞く者が多過ぎて、ギルドが除名したらしい。(by玉藻)

ここで一つ、人間にのみ制定された危険度と呼ばれる数値の説明をしよう。

危険度とは、読んで字のごとく危険を示した数値であり、あるいは魔物(特定)何体分と言った書き方もされる。

災害などは、もはや防ぎようが無いので、危険度は無い。
ちなみに、ドラゴンや龍(別物)も災害として処理されている。

危険度には上限が無く、下限もない。(大体は0)

何故ここで危険度の話をしたか、恐らく気づいた者がいてもおかしくないが、エスカテーテに行く際の危険度について語ろうと思ったからである。

まず、特に名前の無い火山、旧ボルケー二火山は、危険度が200で、モンスターにしてみれば、スライム(危険度1)が2000集まってもまだ届かないくらいである。もう分かったかも知れないが、危険度1が危険度200の1/200だという訳では無い。
余談だが、スライムは共食いという名の合体をする(キングスラ〇ムみたいな)し、2千体のスライムが合体すると、知能が生まれ、ドラゴンに匹敵する魔力や体力を得る。(動き遅いけど)

スライムの宝庫である特に名前の無い沼地では、スライムだけでなく、ゲノムリザードと呼ばれる危険度30の巣が多数あり、先の2千スライムも居る。さらに、沼地は360度底なし沼であり、ある一定の面積か、質量を持っていないと一瞬で膝が呑まれる。

魔素を吸って黒く変色した茨や木々の森は、別名瘴気の森と呼ばれ、ファンタジーお馴染みの悪ーい空気が汚染しましたーと言う奴ではなく、木々が自ら毒を吸い込み天敵(サイクロプスなどの木をそのまま武器として扱う巨人など)から身を守っているのである。その効果は折り紙つきで、かつての賢者が触り、一瞬で触った手が腐り落ちたと言う話もある。
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