中途半端なソウルスティール受けたけど質問ある?

ミクリヤミナミ

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生方蒼甫の譚

石油王に俺はなる

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 というわけで、土地交渉を終えたわけだが、拍子抜けするほどあっさりと土地の所有を認めてくれた。
 結構だだっ広い範囲。町の北側の見渡す限りの平野をもらい受けることが出来た。墾田永年私財法的な感じかな、お前ら自分で開墾しろよって感じで。
 
 ここからはサトシの開墾作業ですよ。
 縦横約5km。つまり25平方kmってことだな。流石に開墾するには骨が折れる広さだな、なんて思ってたんですが、サトシのレベル上げを見くびってました。
 まずは、自分の魔法の恐ろしさを体感。

「ファイアストーム!」
 と、軽く下草を焼き払う気持ちで放ったら、1平方Kmほどの面積が焼け野原ですよ。一撃で。あり得んでしょ?鬱蒼とした森すらも一瞬で灰になりました。
いやいや、森に棲んでた動物や魔物の皆さんすんません。

 頭に流れる勝利のファンファーレ。あー。勝利って言う気分じゃないわ。申し訳なくて。

 そこに持ってきてサトシパイセンの超絶スキル「創造主クリエイター」ですよ。

 まあ、凄いだろうなとは考えてはいたんですが、ここまでぶっ壊れスキルだとは思ってませんでした。

 正直えげつないね。あっという間に焼け野原は奇麗な整地された土地になり。掘削も何も……サトシが念じれば思う深さの穴が開き油井が完成。
 なんじゃこりゃ。このチートえげつないな。
 
 ついでに、俺たちの新居もモノの数分で完成ですよ。流石に領主様の屋敷より立派なのは気が引けるのと、掃除が大変だってことでヨウトの家を参考に建てたが、住宅メーカー真っ青な立派なマイホームが完成です。開墾に2日もかかってませんよ。
 
 とまあ、ここまではうまくいったんだけどね。こっからだった問題は。

 掘っても掘っても油が出ない。あらゆる場所。深さで試しながら掘り進めること三週間。サトシも俺もイラつき始めていた時だった。
 急にサトシが思い出したように、

「ところでルークスさん。天命の書板タブレット手に入れたじゃないですか?あれ何かの役に立つんですか?」

「あ!」
 忘れてた。

「忘れてたんじゃないですよね?」
 サトシが随分怖い目で俺を睨みつける。

「そ、そんなわけないでしょ。あれ使うためにはいろいろと準備があるんだよ。それに、うまくいくかわからないし。」

「ところで、あれなんなんですか?」
「だから天命の……」
「いや、名前は良いですから。できる事が知りたいんですよ。」

 サトシもさすがにイラついてるな。
 よし。使ってみるか。

観測者オブザーバー
 そう唱えると、俺の手に天命の書板(タブレット)が現れる。

 さて、これで森羅万象、すべての理を覗くことが……

 俺が念ずるまでもなく、書板(タブレット)には、マップの様な物が表示されそこに赤いマークが点滅している。え~っと。横に出てる数字は深さかな?

 もしかして、これ、油田?

 サトシと目が合う。サトシはその場所を上空から探しその場所に超合金(イモータライト)のパイプを突き刺してゆく。

 目的の場所までパイプが到達すると……


 バッヒャァーーーーーーーーーーーー!!!

 真っ黒な液体が地面から噴き出す。高さは10mほどだろうか。飛沫が俺たちの方まで飛んでくる。その飛沫が俺たちの服にみるみる黒いしみを作る。この独特の匂い。

 原油だ。

「「原油だぁぁぁ!!!!!」」

「あははあ!!原油ですよ!!ルークスさん!」
「あは!でたなぁ!!でたじゃねぇか!!」
「ってか!これがあれば3日目には見つけてたんじゃないですか!?」
 嫌なことを言うな。
「んなことねぇよ!準備があるんだよ!」
「あはは!まあいいや。そう言うことにしときましょう!!」


 アブねぇ。サトシさんの逆鱗に触れなくてよかったよ。危うく頭からトゲトゲ生やして殺されるところだった。


 で、天命の書板タブレットについてだが、これもぶっ壊れスキルだった。

『性能の良い情報端末』

 というと、なんだかしょぼいが、そんなちんけなもんじゃなかった。

『望んだ情報が表示される』

 確かに、ログアウトして研究室に戻れば、ネットで情報検索できる。が、何でも情報が手に入る訳じゃない。
 当然ネットに上がってる情報なんて誰かがアップしたものだから情報の質や鮮度はまちまちだ。なにより正しい情報とは限らないし、企業や国家の機密情報みたいなものはおいそれと手に入れることは出来ない。

 ところがだ、この天命の書板タブレットはかなり機微な情報まで収集できる。

 例えば、原油採掘施設の図面。こんなの大手ゼネコンのサーバーに管理者権限でアクセスしない限り手に入らないと思うんだけど、これが普通に見れてしまう。
 
 サトシに石油の精製施設を作ってもらいたいと思っただけで、中東に実在する石油プラントの図面を閲覧することが出来た。まずいでしょこれ。正直なところ、現実世界でも使いたいんだけど。ログアウトするよりも重要度の高い情報が簡単に手に入る。このゲームホントに大丈夫か?


 まあ、そんな心配しても仕方ないので、今はできる事からやっていこう。


「まずは、精製施設かな」

「原油からガソリンなんかを取り出すんですか?」
「そう言うことだ。」

 と言うことで、天命の書板(タブレット)で精製施設の図面を呼び出す。この 書板タブレット何がすごいって……
『もっと簡単な構造の製品でいいのにな』なんて考えるだけで、簡便な装置の図面に変更される。
 特に今回は、加熱と冷却に魔法を利用できるから、ボイラーと冷却塔は省略できる。単なる筒の様な構造で十分だ。

「こんな形で良いんですか?」
「ああ、加熱と冷却は俺がやるよ」

 みるみる精製設備が出来上がった。サトシすげえ。語彙力がひどいが、そうとしか表現できん。

 で、その中に原油を流し込む。

 すると、それぞれのタンクに「ナフサ」「軽油」「灯油」「重油」「アスファルト」が溜まる。
 できれば「ナフサ」を「ガソリン」にしたいところだが、まあ今回は良いだろう。

 あと天然ガスもできているが、これは回収しても今のところ用途が無いので大気開放だ。そのまま放出して燃焼させている。

 ああ、油田って感じ!

 これで燃料が手に入った。

 さて、この燃料をどうやって売るか。

 まずは、燃料の有用性を広めないとな。
 エンドゥは山の麓の街なので、朝晩はかなり冷え込む。今は比較的あったかい時期だが、それでも暖房は欠かせない。

「灯油ストーブ欲しいな。対流型の」

 なぜ対流型なのか。電力が無いからと言うのもあるが、対流型だと天板が加熱されて、そこで湯を沸かしたり調理ができる。これは地味に便利だ。で、これを外注することにした。

 
 というわけでエンドゥの冒険者ギルド。

 
「なあ、ゴードンさんよ。」
 ゴードンとは冒険者ギルドのギルマスだ。
「どうした?何かあったか?」
「いや、いま腕のいい鍛冶屋を探してるんだが、心当たりはねぇか?」
「心当たりも何も、この街に鍛冶屋は一軒しかいないからな。そこに頼むしかないんじゃねぇか?」

 一軒しか無いのかぁ。

「腕はいい?」
「あ~。いい仕事してたと思うぜ。俺は冒険者を引退しちまったからな。最近仕事を頼むこともなくなったんでよくわかんねぇけどよ。」
「あれ?あんた若いのに引退したのか?」
「まあ、若いっつっても50だしな。流石にもう依頼に命を懸けらんねぇよ。だからギルマスに落ち着いたってところだ」
「そうか。ところで、そこの鍛冶屋、仕事はキッチリやってくれるのか?」
「それは大丈夫だ。基本信用商売だからな。依頼が明確なら望む通りのもんを作ってくれると思うぜ」
 
 じゃあ頼むか。

 まずはサトシに対流型ストーブをサンプルとして1台作ってもらう。ちゃんと分解できるようにパーツごとに作ってもらった。かなりめんどくさそうにしてたけど。

「なんで、こんな作り方するんです?俺一体成型でもできますよ?」
「いや、これをサンプルとして鍛冶屋に渡して、大量生産してもらうんだよ。」
「俺たちで作って売らないんですか?」
「これの利益なんて微々たるもんだろ?俺たちは燃料で稼ぐんだから、燃料を消費する器具をいろんなところで作ってもらわないとな」

 サンプルを持って鍛冶屋に向かった。
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