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生方蒼甫の譚
交渉準備
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リザードマンたちに見送られながら俺は上空に舞い上がる。笹川の数奇な運命を聞いた後だと、多少の問題など誤差範囲に思えてきた。最初は目立たないようにと、反重力や転移を使わず移動しようと思っていたが、どうせこの後リザードマンを連れて王都に入ることを思えば多少目立つくらいがちょうどいいと思い始めた。
というわけで、上空から一気に王都の冒険者ギルドへ向かい、入り口前に降り立つ。
いや~。やっぱり早いね。歩くよりよっぽど楽だ。
「うわぁ!」
周囲の人たちが軽く悲鳴を上げているが気にしない。颯爽と冒険者ギルドの扉を開けて中に入って行く。
「あ、ちょっといいか?」
受付嬢に話しかけると、彼女はにこやかに答える。
「はい。何か忘れものですか?」
「いや、今リザードマンたちと話を付けてきたんだけど、討伐じゃなくて和平交渉ってことで進めたいんだが、この依頼主と話せる?」
「はい?」
受付嬢の頭の上にクエスチョンマークが見えるようだ。そうですよね。確かに今俺訳の分からないことを言ってるよね。
「あ~。たぶんギルマスか誰かに話をさせてもらった方が良いと思うんだけど。どうかな?」
「し、少々お待ちくださいっ!」
受付嬢は慌てて裏に下がる。
しばらくすると、あの金髪美女が出てきた。
「お待たせしております。私ギルドマスター代理のローラと申します。只今ギルドマスターは不在ですので、私がお話を承ります」
おう、硬い口調で来ますな。できる女って感じ。いいね。グッとくるね。ヒールで踏んでもらい……ゲフンゲフン。
なんか、俺に変な性癖が出てきた気がするな。
「!?」
心の揺らぎを読み取ったようにローラが眉尻をピクリとあげる。
「ああ、わかった。実はリザードキングと話すことが出来てな。奴が言うには、リザードマンの安全と経済的保証ができるならあの森を商人たちが通過してもいいって事らしいんだ。商業ギルドとしてその話を飲めるかどうかを確認したいんだ」
ローラは俺の顔をじっと見つめている。今スキルで判断してるんだろうなぁ。「鑑定」持ってたもんな。話の真偽を確かめてるんだろう。
沈黙の時間が続く。
俺はローラをじっと見つめて次の言葉を待つ。
いや。ホントにきれいだな、この女の子。俺のキャラクリもうちょっとイケメンにしとくべきだったかなぁ。完全なガチムチおっさんキャラにしちゃったもんなぁ。
などと考えていると、ローラが口を開く。
「わかりました。交渉の場を設けましょう。依頼主は商業ギルドですので、会合の日程を調整するためにしばらくお時間をいただけますか?」
「ああ、良いよ。ところでさ」
「はい。なんでしょう」
「この周辺で、転移しても問題ない開けた場所ってある?」
正直空を飛ぶのも時間が掛かる。転移で済ますことが出来るならそれが一番手っ取り早い。が、ある程度広いスペースが無いと危ないしな。安全な転移スペースを確保したいところだ。
「転移魔術が使えるんですね」
ローラは静かな声で確認する。
「ホントに!?」
「まじか!?」
カウンターにいた受付嬢や、ホールの端の方に居た冒険者から驚きの声が上がる。
「王宮魔術師の中でも一部しか使えないって話だぜ?」
あ、そうなの。ってか、使える人いるのね。じゃあ安心だ。
ローラはしばらく考えていたが
「わかりました。奥に転移用の部屋があります。そちらをお使いください」
「ローラさん、あれはSランク専用じゃ?Cランクの方に許可しても大丈夫なんですか?」
「大丈夫です。おそらくこの方もSランク相当だと思いますから」
何やらぼそぼそと話していたが、Sランクって言葉が聞こえましたね。マジで?やっぱりサトシやりすぎたんじゃない?
「それでは日程については明日お知らせいたしますので、明日の午後再度お越しいただけますか?」
「ああ、わかった。」
よし。これで転移もできる。
あ、そうだ。この街でも油を売りたいな。
「すまないが、この街に腕のいい鍛冶屋は居るかい?」
「腕のいい鍛冶屋……ですか?」
ローラの言葉に警戒する様子が見えるな。なんで?俺変な事言った?
「それは、どなたかご指名で?」
「いや、この街の事を知らないんでね。おすすめの鍛冶屋が居れば教えてほしいと思ってさ。ほら、冒険者ギルド御用達だと間違いないじゃない」
「そうですか。今王都随一と名高い鍛冶屋は留守にしているので別の者が店には居ると思います。それでよろしければ……」
「ああ、お弟子さんか何か?いいよ。助かる」
「わかりました。工房はこちらに御座います」
ローラ嬢の警戒は解けたようで、カウンター下から地図を出し場所を教えてくれる。
なんだったんだろう。まあいいや。
「あ、あと。信用が置ける宿屋ってある?」
「信用……ですか。高級な?という判断でよろしいですか?」
「いや、高級でなくていいんだ。誠実で融通が利く店なら」
「そう言うことでしたらこちらに……」
いいね。このローラさんは仕事ができると見える。テキパキと教えてくれるよ。ありがたい。
「じゃあ、明日の午後。よろしく」
「お待ちしております」
「あ、ごめん。転移部屋借りていい?ちょっと往復したいんだ」
「往復ですか……」
ローラは小首をかしげながらも受付嬢に案内するよう伝える。
カウンター横の扉から裏に入り、いくつかある小部屋の一つに通された。そこは窓の無い薄暗い部屋で転移するにはもってこいの部屋だった。
「あ、ありがとう。ちょっと使わせてもらうよ。また帰って来るけど、勝手に出るからもういいよ」
「承知しました。お気をつけて」
受付嬢は、半信半疑と言った様子で部屋から出てゆく。
さて、まずはヨウトに戻って、ストーブとコンロのサンプルを持って来るかな。
「転移」
俺の足元に転移の魔法陣が広がる。一瞬ゆがんだ風景が元に戻ると、そこは青々とした耕作地のど真ん中だった。
「あれ?ここ何処?」
というわけで、上空から一気に王都の冒険者ギルドへ向かい、入り口前に降り立つ。
いや~。やっぱり早いね。歩くよりよっぽど楽だ。
「うわぁ!」
周囲の人たちが軽く悲鳴を上げているが気にしない。颯爽と冒険者ギルドの扉を開けて中に入って行く。
「あ、ちょっといいか?」
受付嬢に話しかけると、彼女はにこやかに答える。
「はい。何か忘れものですか?」
「いや、今リザードマンたちと話を付けてきたんだけど、討伐じゃなくて和平交渉ってことで進めたいんだが、この依頼主と話せる?」
「はい?」
受付嬢の頭の上にクエスチョンマークが見えるようだ。そうですよね。確かに今俺訳の分からないことを言ってるよね。
「あ~。たぶんギルマスか誰かに話をさせてもらった方が良いと思うんだけど。どうかな?」
「し、少々お待ちくださいっ!」
受付嬢は慌てて裏に下がる。
しばらくすると、あの金髪美女が出てきた。
「お待たせしております。私ギルドマスター代理のローラと申します。只今ギルドマスターは不在ですので、私がお話を承ります」
おう、硬い口調で来ますな。できる女って感じ。いいね。グッとくるね。ヒールで踏んでもらい……ゲフンゲフン。
なんか、俺に変な性癖が出てきた気がするな。
「!?」
心の揺らぎを読み取ったようにローラが眉尻をピクリとあげる。
「ああ、わかった。実はリザードキングと話すことが出来てな。奴が言うには、リザードマンの安全と経済的保証ができるならあの森を商人たちが通過してもいいって事らしいんだ。商業ギルドとしてその話を飲めるかどうかを確認したいんだ」
ローラは俺の顔をじっと見つめている。今スキルで判断してるんだろうなぁ。「鑑定」持ってたもんな。話の真偽を確かめてるんだろう。
沈黙の時間が続く。
俺はローラをじっと見つめて次の言葉を待つ。
いや。ホントにきれいだな、この女の子。俺のキャラクリもうちょっとイケメンにしとくべきだったかなぁ。完全なガチムチおっさんキャラにしちゃったもんなぁ。
などと考えていると、ローラが口を開く。
「わかりました。交渉の場を設けましょう。依頼主は商業ギルドですので、会合の日程を調整するためにしばらくお時間をいただけますか?」
「ああ、良いよ。ところでさ」
「はい。なんでしょう」
「この周辺で、転移しても問題ない開けた場所ってある?」
正直空を飛ぶのも時間が掛かる。転移で済ますことが出来るならそれが一番手っ取り早い。が、ある程度広いスペースが無いと危ないしな。安全な転移スペースを確保したいところだ。
「転移魔術が使えるんですね」
ローラは静かな声で確認する。
「ホントに!?」
「まじか!?」
カウンターにいた受付嬢や、ホールの端の方に居た冒険者から驚きの声が上がる。
「王宮魔術師の中でも一部しか使えないって話だぜ?」
あ、そうなの。ってか、使える人いるのね。じゃあ安心だ。
ローラはしばらく考えていたが
「わかりました。奥に転移用の部屋があります。そちらをお使いください」
「ローラさん、あれはSランク専用じゃ?Cランクの方に許可しても大丈夫なんですか?」
「大丈夫です。おそらくこの方もSランク相当だと思いますから」
何やらぼそぼそと話していたが、Sランクって言葉が聞こえましたね。マジで?やっぱりサトシやりすぎたんじゃない?
「それでは日程については明日お知らせいたしますので、明日の午後再度お越しいただけますか?」
「ああ、わかった。」
よし。これで転移もできる。
あ、そうだ。この街でも油を売りたいな。
「すまないが、この街に腕のいい鍛冶屋は居るかい?」
「腕のいい鍛冶屋……ですか?」
ローラの言葉に警戒する様子が見えるな。なんで?俺変な事言った?
「それは、どなたかご指名で?」
「いや、この街の事を知らないんでね。おすすめの鍛冶屋が居れば教えてほしいと思ってさ。ほら、冒険者ギルド御用達だと間違いないじゃない」
「そうですか。今王都随一と名高い鍛冶屋は留守にしているので別の者が店には居ると思います。それでよろしければ……」
「ああ、お弟子さんか何か?いいよ。助かる」
「わかりました。工房はこちらに御座います」
ローラ嬢の警戒は解けたようで、カウンター下から地図を出し場所を教えてくれる。
なんだったんだろう。まあいいや。
「あ、あと。信用が置ける宿屋ってある?」
「信用……ですか。高級な?という判断でよろしいですか?」
「いや、高級でなくていいんだ。誠実で融通が利く店なら」
「そう言うことでしたらこちらに……」
いいね。このローラさんは仕事ができると見える。テキパキと教えてくれるよ。ありがたい。
「じゃあ、明日の午後。よろしく」
「お待ちしております」
「あ、ごめん。転移部屋借りていい?ちょっと往復したいんだ」
「往復ですか……」
ローラは小首をかしげながらも受付嬢に案内するよう伝える。
カウンター横の扉から裏に入り、いくつかある小部屋の一つに通された。そこは窓の無い薄暗い部屋で転移するにはもってこいの部屋だった。
「あ、ありがとう。ちょっと使わせてもらうよ。また帰って来るけど、勝手に出るからもういいよ」
「承知しました。お気をつけて」
受付嬢は、半信半疑と言った様子で部屋から出てゆく。
さて、まずはヨウトに戻って、ストーブとコンロのサンプルを持って来るかな。
「転移」
俺の足元に転移の魔法陣が広がる。一瞬ゆがんだ風景が元に戻ると、そこは青々とした耕作地のど真ん中だった。
「あれ?ここ何処?」
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