夢のゆめ

飛朔 凛

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第一章 夢

第一章 夢(二度目の遭遇)

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「ライカ……!!」

夢姫ゆめの声にライカは顔を上げる。
彼の腕の中の少年は規則正しい寝息を立てていた

「大丈夫、『起きた』だけだから」
「あの夢喰いバク見たらだよね?何か関係あるのかな」
「うーん、例えここで親子関係でも現実世界でもそうとは限らないし
見る限りは子供だけど……」

夢姫ゆめは首をかしげた。
見る限りは子供…?それって、たとえば夢の世界では子供でも現実世界では大人……下手をすれば老人……?



刹那。

夢喰いバクが突然奇声をあげた。
驚いて夢姫ゆめは耳を塞ぐ。
音が止んでからそちらを振り返るとユメアとドールが倒れている。

「え……?!」
「うーん、ちょっとまずいかな。」

今回のはちょっと手強いらしい。
恐らく、いつもは夢姫ゆめも戦闘に加わるのだろうけど今の状態では到底無理だ。
申し訳ない気持ちでいっぱいになる。

本当に何も出来ないのだろうか。


夢喰いバクの大きな手が2人に振り下ろされる。

「あっ……!!」

だめだ、助けに行きたいけど遠すぎる。
それに私は何も出来ない、夢喰いバクと戦ったことなんか……。

仲間が、いるから……。

昨日だって、ユメアが。






ーー最初は、ひとりだったじゃないか。ーー


静かに目を閉じる。

……あれ、私何してるのかな。


一瞬の出来事だ。

次に目を開いた時、夢姫ゆめ夢喰いバクの目の前に立っていた。
振り下ろされていた手は 見えないなにか にはじき返されていた。

夢喰いバクはグルグルとうなり始めた。まるで何かを話しているようだ。

……大丈夫だよ、怖くない。

そっと夢喰いバクに手をかざす。








夢姫ゆめ!」

起き上がって夢姫ゆめの肩を掴んできたユメアの声にはっと我に返った。

目の前にいたはずの夢喰いバクらず、かわりに1人の女性が倒れていた。


「……あ、れ?」

なにを、したんだっけ?
ユメアとドールが危なくて、助けたいって気持ちから……


……気持ち、から?


それはきっと、夢の世界ここ
夢姫ゆめの本心。

夢姫ゆめ、今の……」
「あ、えっと…。『夢姫ゆめ』が助けてくれた、みたいだね」

うまく言えないけど、多分そういうこと。
そして、夢姫ゆめの能力はこれ。

夢喰いバクになった人を元に戻す。

「使い勝手がわかれば夢姫ゆめにもできそうだな」

そう言ってアリスとライカが近づいてくる。

夢姫ゆめすごかったよ!ぱっと消えたの!」

と、さっきいた所と今いる所を交互に指さすアリス。
確かに、結構な距離があるが瞬間移動でもしたのだろうか。
夢の世界の夢姫ゆめ……。
自分であることに間違いはないのだろうけど、なんだか怖い。

緊張が解けたのか、ひとつあくびをした。
あ……眠い。もしかして朝が近いのかな。

そんなに時間は経っていない気もするが、時間軸が違うのだろう。


「…気になったんだけど、寝てる時に夢喰いバクって襲ってこないの?」
「こちらからちょっかい出さないと攻撃はしてこない。」
「そっか、なら……安心……」

今さっきまでわんわん騒いでいたアリスはいつの間にか寝ていた。ほかのみんなも座ったり横になったりし始める。

途端、立っていた夢姫ゆめは足の力が抜ける。
隣にいたユメアが受け止めてくれた。

あ……多分、昨日受け止めてくれたのもユメアだ。

そんなことを思いながら夢姫ゆめは瞼を閉じた。


「おやすみ、夢姫ゆめ



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