燃えよ、想いを乗せ

ゆりえる

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13.

運動場での出逢い

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(でかい運動場だな~! 訓練棟の運動場より10倍くらい広そうだ)
 
 地球防衛隊の現場研修の初日は、雅人の予想通り、身体測定と健康診断と、オリエンテーリングだけで終えた。
 身体が鈍ってしまわないよう、颯天はやては、研修終了後、1人運動場へ向かい自主トレーニングに励んでいた。
 柔軟運動をしてからランニングし、ボルダリングをし、頂上まで達した時、その高い視点から広大な敷地内を万遍無く見渡した。

(こうして見ていると、なんか、自分には見当違いな場所に、来てしまっているような気持ちにさせられる。本当に、僕なんかが、ここにいていいのだろうか……?)

 それは、颯天自身、何度も突き当たる疑問だった。
 そして、その度に、離れて暮らす家族や、協力してくれている雅人、そして、目指している荒田や、憧れの透子の姿を思い描く。
 颯天の頭の中では、その誰もが、颯天を激励してくれているイメージで存在している。

(そうだった……まだ、現場訓練さえ始まってない段階なのに、何、弱気になっているんだ! 僕には、沢山の応援してくれる人達が付いている! 大丈夫だ! 今までだって、自分を信じて努力して、何とかなってきた! 今度だって、きっと……)

 今日の身体測定時には、雅人の予測通り、超sup遺伝子の判定検査をまた確認のように実施された。
 もしも、今回の検査機器が異常を唱えでもしたら、自分はどうなるのかと内心かなりヒヤヒヤした状態で受けた。

 結果、今朝になってから急遽、雅人と即席で作った青あざがまた功を成し、颯天は、すんなりと超sup遺伝子所持者と認められた。

(こんな心臓にも、尾骶骨にも明らかに良くない事をこれから何度続けていくうちに、僕のsup遺伝子は開花してくれるんだろう? そう、僕にsup遺伝子が有る事だけは、血縁者に恵まれて生まれていて確実なのだから……他の訓練生達みたいに、僕のもさっさと開花さえしてくれたら、地球防衛隊で現場研修の真っ只中にいるという違和感が、少しくらい感じないで済みそうなのに……)

 他の訓練生達に追い付く為には、ここでの現場研修後も、こうして身体がギブアップするくらい遅い時間までトレーニングを重ねる他に、手段は無かった。

(はぁ~、今日もいい加減、疲れたな……明日からの現場研修本番も有るし、そろそろ今日は引き上げようかな?)

 タオルで汗を拭きながら、スポーツドリンクを飲んでいた時だった。

「あっ、今日から研修に来ている訓練生でしょう? 随分、熱心なのね」

 誰もいないと思っていたが、背後から声をかけられ驚いた颯天。

(明るいけど、芯が強そうなこの声は、何度もCMや報道番組のインタビューで聞いたているから、すごく聞き覚えが有るけど……まさか……)

 振り返ると、部屋の中でいつも見慣れている笑顔が、ポスターのような二次元では無く、三次元の本体で、颯天の目の前に実現されていた。

(信じられない! 透子さんが、こんなに間近にいて、しかも、僕に話しかけてくれている!)

 自分の強い願望と、トレーニングの疲れのせいで、幻でも見たのかと思った。
 ところが、幻のように透子は消えたりする事はなかった。
 この状況が信じられない様子の颯天は、透子を目の当たりにしても、咄嗟にどう返事していいのか思い付かず、唖然と佇んでいた。

「ごめんなさい、邪魔するつもりは無かったの。ただ、そんな一生懸命に頑張っていると、つい……」

 透子には努力している颯天の様子が、自分の姿と重なって見えてしまっていたが、それを口には出来ない透子。
 と同時に、颯天の事をsup遺伝子未覚醒者と揶揄やゆしていた、昼食時の荒田の言動を思い出した。

「僕は、こうでもしないと……いや、こうしていても、仲間達には追い付けないんです。だからといって、夢を捨てる事も出来なくて、とにかく今、僕に出来る事をしなくてはという気持ちに駆り立てられるんです!」

 初対面の憧れの透子に、自分の非力さを語るのは惨めだったが、今までの事も然り、それはここでも既に周知な事だと割り切っていた颯天。
 同じ超sup遺伝子所持者でありながらsup遺伝子未覚醒者として、そんな颯天の気持ちが痛いほど伝わる透子。

「分かるわ、その気持ち! まだまだ諦めないで頑張ったら、きっと、そのうち開花するはずよ!」

 その言葉を颯天だけではなく、自分にも言い聞かせる透子。

「ありがとうございます! 新見さんに、そう言われただけで、何だか本当にそうなりそうな気持ちにさせられました!」

 そう言って、改めて透子を見つめると、頬に涙の痕が残り、まぶたが赤くなっている事に気付いた颯天。

(透子さん、泣いていた? どうしたのだろう? 荒田さんと何か有った? もしかして、プロポーズされて、嬉し涙? それで機嫌が良くて、僕にも話しかけて来たとか? だとしたら、初めて話しかけられた日が、玉砕記念日になってしまうのかな……? 嬉しさ半減しそうだ……)

「良かった! お互い、これからも頑張りましょうね!」

 荒田の言動に激怒し、トレーニングして悔しさを埋めるつもりで向かった運動場だったが、颯天がいた事で、その気持ちも薄れ、宿舎へと戻った透子。

(透子さん……帰ってしまった。これから、荒田さんの所へ行くのかな? なんか複雑な気持ちも残るけど、透子さんと面と向かって、こんなに沢山話せたんだ~! 感動だ~!)

 去り行く透子を見送りながら、1人ガッツポーズをしていた颯天。 
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