燃えよ、想いを乗せ

ゆりえる

文字の大きさ
20 / 44
20.

オーラという見解

しおりを挟む
 夜の運動場で、2人で会っている颯天はやてと透子の姿に激怒し、まだ言い足りない様子でいる千加子。

「浅谷さん、そんな風に勘違いしたら、新見さんに対して失礼だよ! 僕達は、逢引きしていたわけではなく、さっき、偶然会っただけなんだから!」

 それ以上、透子に侮蔑の言葉を浴びせないよう、千加子を戒めた颯天。

「さっき、偶然会ったにしては、やけに親密そうに2人でベンチに座っているじゃない? 私に、そんな取って付けたような言い訳が通じると思っているの? こういう種類の女性はね、実力が無いのを分かっているから、生き残る為、男性に依存しようとしている寄生虫みたいな存在なのよ! 私は、新見さんとか、幕居さんとか、そういう外見だけで優遇されて、ここにいられるような感じの人種が大っ嫌いなのよ!」

 千加子の吐く言葉の一つ一つが胸に突き刺さり、物憂げに俯いた透子。

「なんて事を言うんだ! 新見さんは、浅谷さんが思っている感じの男性隊員をたぶらかすような人じゃないし、男性隊員達に依存なんかしていない! とても努力家なんだ! 今だって、ここに1人でトレーニングに来ていたのだから!」

「努力家? 努力したところで、時間の無駄、所詮、未覚醒者は未覚醒者のままよ! 地球防衛隊本部も、こんな開花する見込みの無い隊員に、いつまで無駄にお金を払い続けるのかしらね? 私がトップ就いたあかつきには、そんな無駄なシステムを根本から改革させてみせるわ!」

 耳を塞ぎたくなるような話を千加子から一方的に聞かされ、いたたまれない様子の透子。
 透子を庇おうとしても話が通じず、トップに君臨するなど豪語している千加子を異物のようにすら思えている颯天。

「いくら優秀でも、浅谷さんのような考えの人ばかりだったら、地球防衛隊は成り立たないよ! 浅谷さんは、もっと、協調性を磨くべきだと思う」

「たかが宇佐田君風情が、どうして私を諭そうなどと? 笑わせないで! 私は、第二の輪野田わのだ季代きよを目指して、将来的には追い越す予定よ! あなた達のような無能者とは、全くレベルが違うの! その次元で考えないでもらいたいわ!」

 輪野田わのだ季代きよは、女性でありながら、一般的な大和隊員の男性をも超越するほどの実力を持つ、大和撫子隊最強の女性戦士。
 彼女を目指すのみならず、追い越すと言い切った千加子。

「確かに、浅谷さんは僕と違って有能かも知れないけど、先輩隊員達に対する傲慢過ぎる態度は、改めた方が良いと思う」

 同期の訓練生として、千加子の言動を見過ごせない颯天。

「宇佐田君は、何も分かってないのね! 今日の古典の授業、しっかり起きて聞いていた?」

「古典の授業? そういえば、最初はつい居眠りしていたけど……」

(浅谷さん、いきなり、古典の授業の話なんて、どうして振って来るのかな? あの授業で、1人目立って発言していた事をここで自慢したいとか?)

 突然、今日の研修内容の話に飛び、頭の中が混乱した颯天。

「そうでしょうね、じゃないと、そんな反応では済まされないものね! あの龍体文字の文章は、とても大切だと言われていたのに、宇佐田君は、どうやら、まだ把握出来てないようね?」

(把握……って? 芹田先生も、あの内容がすぐに理解出来なくて当然だと、高らかに笑っていたけど。もしかして、浅谷さんは解読出来たのだろうか?)

「あの文章の意味、浅谷さんは分かったのか?」

 大切な事だと授業で説明されていた事を思い出し、興味津々に尋ねた。

「当然よ! なにしろ、私なのだから!」

 ますます横柄さが露見し出した千加子。

「あの5色の色の話に、浅谷さんが関係しているのか?」

「まだ分からないの、宇佐田君? ホント、呆れさせられるわね! あの5色は、オーラの色に決まっているじゃない!」

「オーラ?」

「オーラ?」

 颯天のみならず、ずっと俯いて2人の話を聞いていた透子も驚いて思わず、千加子を見上げ、その言葉を口に出していた。

「えっ、もしかして、新見さんも、ご存知じゃなかった? もう、呆れた~! どこまでニブイ人達なのかしらね!」

 千加子の見解に、呆気に取られていた透子を再び蔑む言葉を発した千加子。

「オーラって、あの、人の周りを漂っていて、その人のその時の感情とかによって色が変わるというあれか? えっ、浅谷さん、オーラが見えているのか?」

「何、言ってるのよ? いくら私がsup能力が覚醒しまくっているからって、まだそんな超能力的なものは無いわよ! オーラと言っても、感情とかに左右されるようなものじゃなくて、もっとその人本来が有しているような根本的なオーラの色の事よ!」

「はぁ?」

 オーラ自体は分かったとして、それと古典の授業の内容との繋がりを理解出来ないでいる颯天。

「いちいち説明しないと分かってもらえないようね! だから、つまりね、古来は黒いオーラの持ち主が最強だったけど、世代交代で、その後今までは、緑のオーラの持ち主が統べていたのよ! それが、赤いオーラの持ち主が現れたのが徴候となって、白いオーラの持ち主と黒いオーラの持ち主が現れ、これからは彼らの時代になるという預言書なの!」

 千加子の言わんとしている事を漠然とだが、理解出来た颯天と透子。 
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

ブラック国家を制裁する方法は、性癖全開のハーレムを作ることでした。

タカハシヨウ
ファンタジー
ヴァン・スナキアはたった一人で世界を圧倒できる強さを誇り、母国ウィルクトリアを守る使命を背負っていた。 しかし国民たちはヴァンの威を借りて他国から財産を搾取し、その金でろくに働かずに暮らしている害悪ばかり。さらにはその歪んだ体制を維持するためにヴァンの魔力を受け継ぐ後継を求め、ヴァンに一夫多妻制まで用意する始末。 ヴァンは国を叩き直すため、あえてヴァンとは子どもを作れない異種族とばかり八人と結婚した。もし後継が生まれなければウィルクトリアは世界中から報復を受けて滅亡するだろう。生き残りたければ心を入れ替えてまともな国になるしかない。 激しく抵抗する国民を圧倒的な力でギャフンと言わせながら、ヴァンは愛する妻たちと甘々イチャイチャ暮らしていく。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

(完)百合短編集 

南條 綾
恋愛
ジャンルは沢山の百合小説の短編集を沢山入れました。

ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話

桜井正宗
青春
 ――結婚しています!  それは二人だけの秘密。  高校二年の遙と遥は結婚した。  近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。  キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。  ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。 *結婚要素あり *ヤンデレ要素あり

『俺アレルギー』の抗体は、俺のことが好きな人にしか現れない?学園のアイドルから、幼馴染までノーマスク。その意味を俺は知らない

七星点灯
青春
 雨宮優(あまみや ゆう)は、世界でたった一つしかない奇病、『俺アレルギー』の根源となってしまった。  彼の周りにいる人間は、花粉症の様な症状に見舞われ、マスク無しではまともに会話できない。  しかし、マスクをつけずに彼とラクラク会話ができる女の子達がいる。幼馴染、クラスメイトのギャル、先輩などなど……。 彼女達はそう、彼のことが好きすぎて、身体が勝手に『俺アレルギー』の抗体を作ってしまったのだ!

【完結】うさぎ転生 〜女子高生の私、交通事故で死んだと思ったら、気づけば現代ダンジョンの最弱モンスターに!?最強目指して生き延びる〜

旅する書斎(☆ほしい)
ファンタジー
 女子高生の篠崎カレンは、交通事故に遭って命を落とした……はずが、目覚めるとそこはモンスターあふれる現代ダンジョン。しかも身体はウサギになっていた!  HPはわずか5、攻撃力もゼロに等しい「最弱モンスター」扱いの白うさぎ。それでもスライムやコボルトにおびえながら、なんとか生き延びる日々。唯一の救いは、ダンジョン特有の“スキル”を磨けば強くなれるということ。  跳躍蹴りでスライムを倒し、小動物の悲鳴でコボルトを怯ませ、少しずつ経験値を積んでいくうちに、カレンは手応えを感じ始める。 「このままじゃ終わらない。私、もっと強くなっていつか……」  最弱からの“首刈りウサギ”進化を目指して、ウサギの身体で奮闘するカレン。彼女はこの危険だらけのダンジョンで、生き延びるだけでなく“人間へ戻る術(すべ)”を探し当てられるのか? それとも新たなモンスターとしての道を歩むのか?最弱うさぎの成り上がりサバイバルが、いま幕を開ける!

処理中です...