星の記憶

鳳聖院 雀羅

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第4証【アダムの結晶】

【アダムの結晶編】ep.11『クレイドール』

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ゲイボルグ『ほぉ…今宵は満月ですか? の、割には随分賑やかに星が煌めいている…』
『…おや?…おかしいですね…あるはずの星が見当たらない…』
『三連星である冥王の護星、オルキヌスの星が…ひとつ…』
『ま、まさか!…レオ?…も、もしや!五星騎士の裏切り?  いや、それは考えすぎですね…』
『…美人薄命とはよく言ったものです…から…』
『私も、罪な男ですね…女性を待たせて こんなところで物思いに黄昏ているのですからね…フフフ』
『…仕方ありませんね…そろそろ迎えに行ってあげましょうか…美しき亡国の姫君達をね…フフフ』



ニクス『ったく!もぅ!…導師だか騎士だかなんだか知らないけど!…何時まで待たせるのよ!…遅いったらありゃしないわ!…』

ヒドラ『…姉さん…遅い、遅いって 奴等ほんとに遅いけど…ステュクスが戻らない…おかしいと思わない?』

ニクス『いつもの事でしょ?…あの娘が時間を守ったこと今まで有ったかしら?』
『何かひとつの事に熱中したら、あの娘の周りだけは時間が流れないのよ』
『ほっときましょ  居たら居たで話の腰折るし、第一…人の話聴いてるのか それすら疑問よ!…だから居ないほうが何かと都合よく事が運ぶかもよ』
ヒドラ『…だと、いいんだけど…』

『…姉さん… 私 やっぱり気になるから ステュクスの事探しに行くよ…まだ少し時間あるでしょ?』
『大丈夫!直ぐに連れ戻すし、硬く口を閉ざして余計なことしないように私からしっかり言い聞かせて戻って来る!だから』
ニクス『はぁ!もぅ!仕方ないわね!…少しだけよ… こんな薄気味悪いとこに長い時間一人にしとかれたら 気でも狂っちゃうわ!ほんと直ぐ戻るのよ!』
『ほっんと 世話が焼けるわね!ステュクスには!』

同時刻 クロノスと共にアカデミーに向かうサージェスが夜空を見上げる
クロノス『ジャニュアリー様…御覧になられお気付きになられましたか?…』

サージェス『…あぁ…やはり、動いたか…運命の星よ!だが貴様の煌めきは今だけ…残された時間を有効にその美しき輝きでビスマルクを照らせ!…そして流星となりて道標となれ!』

*『コラコラ!…一人で出歩いてどこに行くつもりだい?』
『人の庭先であんまりオイタしてると どこかのお嬢ちゃんみたいに… 』
『消されるよ!…』
ヒドラ『…?!』
*『あれぇ~ 気づいて無いの?…それとも、現実を受けいれるのが恐くて 頭上の星から目を背けてるのかい?』
『聞こえなかった? あんた達の<元>飼犬(アヌビス)の遠吠えがさ!…』
『何が…冥界の従事者だか…聞いて呆れるよ!…』
ヒドラ『…貴女  何者?…騎…士…ではなさそうね…』
*『私は、この街 アカデミーで生れ育った…』
『生まれた?…』
『…いや、違うわね 正しく言えば…』
『造られた…と言われちゃうんだろうね…酷いものだよ』
ヒドラ『…貴女!さっきから何を言っているの?』
*『まぁまぁ、御姉さん、さっきそこで こんな綺麗な宝石の欠片…かしらね…見つけたんだけど…御姉さん、もしかして同じ様な宝石の欠片…持ってたりする?…フフフ』
ヒドラ『欠片?…あっ!!』
*『…ふ~ん やっぱビンゴか…』
『これが、断片ね~  …で、これ どうやって使うの?』
ヒドラ『…な、何故?…何故、貴女が、ステュクスの断片を持っているの!』
*『ねぇねぇ、先に質問したの此方じゃない  ねぇ、答えてよ~』

ヒドラ『あ、貴女がそれを手にしたところで…無理ね…認めたくは無いけれど…本来の輝きを失っている、それは、もう…ただの石ころよ!完全に無力化されているわ』
ヒドラ『貴女…ステュクスをどうしたの?何か知っているんでしょ?…』 
*『ステュクス?…あ、あぁ あのお嬢ちゃんね…残念だけど…消されたわ…』

ヒドラ『…だ、誰に!…貴女がステュクスを殺したの?』 
*『私…ではない!…と言っても  この断片を持っている時点で 信じて貰えないとは思うけど 
私はほんとにこの断片を手にしただけで、 
ステュ…クス…だっけ?そのお嬢ちゃんもおろか、誰一人、手にかけてはいないわ!…』

『修道士の様な格好で全身が黒い布に覆われ、白いベールで顔を隠した数名の者が、フッと現れ、同時に眩い閃光に包まれ、瞬時にブラックアウト…そしてフッと消えた
その一瞬の短時間で…お嬢ちゃんの姿もそいつらの姿も、跡形もなく消えていたの…この断片を残してね!』
ヒドラ『…ステュクスは、何処へ向かって居たの?…その修道士達はアカデミーの人達じゃないの?』

*『少なくとも、私は、あんな修道士達をみたのは始めて』
『その場所へ案内してあげてもいいんだけど…今やアヌビスは導師の犬よ…それと他の騎士や従事者達が導師の指示で<あるもの>を血眼になって探してる!』
ヒドラ『…そのステュクスの断片?』
*『いや、これよりずっと価値のあるものだと思う…』
ヒドラ『価値の<あるもの>…?』
*『もの…いや、人だと思う…』
『騎士や従事者達は、幼い子供達をアカデミーに集める様 指示を出されたみたい…』
ヒドラ『断片…子供…』
『さっぱり解らない…』
『それに…貴女…造られた って言ってたわよね?…何がどうなっているの?』
『まるで、世界が捻れて 別の世界に迷いこんだみたい…』
『ま、まさか!…私達冥界のオルキヌス達以外にも鍵を持つ者が居ると言うの?!』
『…そいつらに!…世界を塗り替えられた?…』
  *(心の中の呟き)
{私達以外?…世界を塗り替える?}
{…鍵?}
{…やっぱりそんな事も出来るんだ!…なんか怪しいと思ったのよね~} 
{私が、持っている この断片は…やっぱり…無理か…ただの石…}
{あの星が消え星力が絶えた…ということは…}
{…ん?…ちょっと待てよ}
{星は3つ有ったわね…ならば残りは後2つ…}

{なら…やっぱりそうよね…フフフ}
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