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コンサート
しおりを挟む今日は朝から雨
気温は暑くもなく 寒くもない
風も 無い
大気の粒子を 階段にして
静かやに降りて来る雨は
叙情歌のように
世界を優しく包んでいた
いま、
世界中が異常気象
こんなに優しい雨は
いつぶりかな
予定通り公演できることに
私たちは 心から感謝した
ゲネプロ終了
出演者は お互いに
念入りに 衣装をチェック
夕刻
傘の群れが 場内へ入り
客席へ移動する
ざわめき
開演5分前のベルが鳴った
静寂
そしてアナウンス
みなさま
ようこそ おいでくださいました
どうぞ今宵ひととき
私たちの歌を
ごいっしょに お楽しみください
暗い場内が
色とりどりの照明に満たされ
夢世界の 扉を開いた
・・・
さあ、私の出番
いつも思う
━━もしかしたら今が
私の歌を きいていただく
最後になるかもしれないのだ━━
舞台に立つ
光、降り注ぐ
伴奏スタート
客席は
砂漠の海になった
乾いた風が吹きわたり
はるか遠くに 白い街が見える
私は
旅の娘になっていた
披露した曲は
ジプシー娘の 旅の歌
(2019年10月)
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