13 / 79
不倫とか浮気とか③
しおりを挟む
この件は、どのみちダンナに報告しないと先に進めません。
私の目的は郷土史の勉強なので、別の講座を さがさなくてはなりませんから。
ダンナには、
「Aさんの勉強会を辞めて、別の講座をさがしたい」と、切り出しました。
「えっ。どうして? Aさんに失礼だよ。
紹介してくれたBさんにも失礼だよ」
Bさんは、ダンナの同業者です。当然のこと、理由を知りたがりました。
そこで、やり取りした例のメールを見せて
「私は普通に勉強したいからだよ」と。
━━━━━━━━━━
メールを見たダンナは唖然としていました。
そして最初の一言は
「……こいつの奥さん、オレ、気の毒でたまらん……」
そしてその後
「わかったよ。まともな講座を さがそうな。
あとの始末はオレがつける。みるくは何も心配いらないよ」
━━━━━━━━━━
その後、ダンナはAさんを わが家へ呼びつけ、玄関先で話をしました。
どのようにして呼び出したかは、省きます。
私は出て来ちゃダメと言われたので、壁の向こう側から会話を聞いていました。
二人の男性の、あまりに大きな人間性の違いを知りました。
Aさんは、熱心に質問する私の態度を見て、
"この女は間違いなく 自分に惚れている"と、確信したそうです。
Aさんいわく、
「ですから、先にモーションをかけてきたのは奥さんだ。
僕はそれに応えて喫茶店に誘った。車の助手席に乗せて、お宅へ送った。
奥さんは喜んでいましたよ!
僕だけを悪者にするのは筋違いでしょ!」
……私は呆れました。でもAさんは、そう考えていたんですね。
あと以下は、ダンナが話した内容です。
━━━━━━━━━━
へえ。そうかい。オレのヨメが悪いっていうんだな。
あんたの理屈では、学校の勉強で、熱心に質問する女生徒は みんな、男の先生にモーションかけてることに なっちまうよな。
ところで あんた、奥さんに惚れて結婚したんだろ? 幸せにするって、誓ったんだろ?
あんたと女たちのこと、奥さんは知ってるんだろうな。それで幸せなんだろうな。オレには理解できないけどな。
だからオレ、ヨメと寝ようとした あんたのこと、これからすぐ 奥さんに会って話すよ。
オレのヨメは、あんたのダンナと寝ません。だからごめんなさい。って、詫びるよ。
え? ダメなの? なぜ?
へえ。奥さんには知られたくないって?
じゃあさ、あんたの子どもに話すよ。子どもに詫びるよ。
だって あんた、PTA会長だったし、青少年健全育成会のリーダーやってるし。
え? 子どもに話すのは、なおさらダメ?
あのさあ、あんた、自分の理屈が矛盾だらけだってこと、まだ気づかないのか?
オレな、あんたのメール見て、あんたの奥さんが あんまり気の毒で、泣いたぜ。
死ぬほど痛い目にあって命がけで、あんたの子どもを産んでくれたのは、奥さんだろ?
奥さんは、あんたの人生の 大恩人じゃねえのか?
子どもは、あんたのこと、立派な父親だと信じてるに違いないんだ!
あんたがやってることを、奥さんや子どもが知ったら、絶望するとオレは思うよ!
オレはな、あんたと違う。オレの女は生涯ヨメだけだ。
そりゃ世の中は広い。ヨメより美人で、人間ができた女は、わんさかいるだろうさ。
いい女がいるな~って、思うことだってあるよ。自分にウソはつけないもんな。
だけどね、オレは、それで おしまいだ。先に進めば、真実 惚れたヨメを 不幸にしちまう。
そうなったら、オレは生きていけない。
ま。あんたとオレは、生きる世界が違うってことだな。
わかったよ。奥さんにも子どもにも言わないよ。
そのかわり、念書を書いてもらう。拇印も もらう。
あんたはオレのヨメに、二度と関わらない。ってな。
あとは あんたの お好きなように。
ハーレムを楽しむがいいさ。
けどな。最後に もうひとつだけ言わせてもらう。
あんたと女たちのこと、奥さんは気づいてると オレは思うぜ。
ごはんを作ってくれなくなったとか、黙って旅行に出かけるとか。
子どもだって、いずれは大人になる。自立して親もとを離れるんだ。
そして いずれ、あんたは老人になる。
あんたの未来に、何が残るだろう?
━━━━━━━━━━
その後、私は県立大学の聴講生になりました。
郷土史の講座で 聴講生の募集を見つけたのです。
お金が高くなり、通うのも少し遠くなりましたが、
いくら質問しても安心安全。
充実していました。
ダンナのことは━━もっと好きになりました。
☆☆☆
あと余談。
こうして日記を書いてみて、今さらながら気づいたことがあります。
私はAさんを通して、日本史の一面である、男尊女卑の歴史を学んでいたのでした。
日本史に登場する偉人たちの多くは男性で、
たいがいは、奥さんのほかに、おめかけさんや、性欲の相手がいました。
そんな女性たちの、ほんとの気持ちは、どうだったのかな?
私の目的は郷土史の勉強なので、別の講座を さがさなくてはなりませんから。
ダンナには、
「Aさんの勉強会を辞めて、別の講座をさがしたい」と、切り出しました。
「えっ。どうして? Aさんに失礼だよ。
紹介してくれたBさんにも失礼だよ」
Bさんは、ダンナの同業者です。当然のこと、理由を知りたがりました。
そこで、やり取りした例のメールを見せて
「私は普通に勉強したいからだよ」と。
━━━━━━━━━━
メールを見たダンナは唖然としていました。
そして最初の一言は
「……こいつの奥さん、オレ、気の毒でたまらん……」
そしてその後
「わかったよ。まともな講座を さがそうな。
あとの始末はオレがつける。みるくは何も心配いらないよ」
━━━━━━━━━━
その後、ダンナはAさんを わが家へ呼びつけ、玄関先で話をしました。
どのようにして呼び出したかは、省きます。
私は出て来ちゃダメと言われたので、壁の向こう側から会話を聞いていました。
二人の男性の、あまりに大きな人間性の違いを知りました。
Aさんは、熱心に質問する私の態度を見て、
"この女は間違いなく 自分に惚れている"と、確信したそうです。
Aさんいわく、
「ですから、先にモーションをかけてきたのは奥さんだ。
僕はそれに応えて喫茶店に誘った。車の助手席に乗せて、お宅へ送った。
奥さんは喜んでいましたよ!
僕だけを悪者にするのは筋違いでしょ!」
……私は呆れました。でもAさんは、そう考えていたんですね。
あと以下は、ダンナが話した内容です。
━━━━━━━━━━
へえ。そうかい。オレのヨメが悪いっていうんだな。
あんたの理屈では、学校の勉強で、熱心に質問する女生徒は みんな、男の先生にモーションかけてることに なっちまうよな。
ところで あんた、奥さんに惚れて結婚したんだろ? 幸せにするって、誓ったんだろ?
あんたと女たちのこと、奥さんは知ってるんだろうな。それで幸せなんだろうな。オレには理解できないけどな。
だからオレ、ヨメと寝ようとした あんたのこと、これからすぐ 奥さんに会って話すよ。
オレのヨメは、あんたのダンナと寝ません。だからごめんなさい。って、詫びるよ。
え? ダメなの? なぜ?
へえ。奥さんには知られたくないって?
じゃあさ、あんたの子どもに話すよ。子どもに詫びるよ。
だって あんた、PTA会長だったし、青少年健全育成会のリーダーやってるし。
え? 子どもに話すのは、なおさらダメ?
あのさあ、あんた、自分の理屈が矛盾だらけだってこと、まだ気づかないのか?
オレな、あんたのメール見て、あんたの奥さんが あんまり気の毒で、泣いたぜ。
死ぬほど痛い目にあって命がけで、あんたの子どもを産んでくれたのは、奥さんだろ?
奥さんは、あんたの人生の 大恩人じゃねえのか?
子どもは、あんたのこと、立派な父親だと信じてるに違いないんだ!
あんたがやってることを、奥さんや子どもが知ったら、絶望するとオレは思うよ!
オレはな、あんたと違う。オレの女は生涯ヨメだけだ。
そりゃ世の中は広い。ヨメより美人で、人間ができた女は、わんさかいるだろうさ。
いい女がいるな~って、思うことだってあるよ。自分にウソはつけないもんな。
だけどね、オレは、それで おしまいだ。先に進めば、真実 惚れたヨメを 不幸にしちまう。
そうなったら、オレは生きていけない。
ま。あんたとオレは、生きる世界が違うってことだな。
わかったよ。奥さんにも子どもにも言わないよ。
そのかわり、念書を書いてもらう。拇印も もらう。
あんたはオレのヨメに、二度と関わらない。ってな。
あとは あんたの お好きなように。
ハーレムを楽しむがいいさ。
けどな。最後に もうひとつだけ言わせてもらう。
あんたと女たちのこと、奥さんは気づいてると オレは思うぜ。
ごはんを作ってくれなくなったとか、黙って旅行に出かけるとか。
子どもだって、いずれは大人になる。自立して親もとを離れるんだ。
そして いずれ、あんたは老人になる。
あんたの未来に、何が残るだろう?
━━━━━━━━━━
その後、私は県立大学の聴講生になりました。
郷土史の講座で 聴講生の募集を見つけたのです。
お金が高くなり、通うのも少し遠くなりましたが、
いくら質問しても安心安全。
充実していました。
ダンナのことは━━もっと好きになりました。
☆☆☆
あと余談。
こうして日記を書いてみて、今さらながら気づいたことがあります。
私はAさんを通して、日本史の一面である、男尊女卑の歴史を学んでいたのでした。
日本史に登場する偉人たちの多くは男性で、
たいがいは、奥さんのほかに、おめかけさんや、性欲の相手がいました。
そんな女性たちの、ほんとの気持ちは、どうだったのかな?
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
5
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる