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魔法の はじまり、はじまりー
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「さあ。それでは、はじめましょう。
まずは、ひなだんを どこにするか、決めましょうね」
部屋に上がり込むなり、つぐみは狭い1DKを、ぐるーりと見回した。
つぐみと娘との やりとりを、ただ あんぐりと大口を開けて、見ているだけだったトマレも。
みんなの様子を、意味ありげに含み笑いしながら見守っていた司も。
身も心もすっかり、つぐみの とりこに なったミコも。
つぐみの動きに つられて、三人並んで、ぐるーりと、頭をまわした。
この部屋に、ひなだんを置ける場所なんて、あるのだろうか?
南北に長い1DKルームは、南側に たったひとつの窓。
東側には、備え付けのクローゼット。
北側はキッチンで、その向こうが、ほんの形ばかりの玄関だ。
残る西側は、古雑誌やら週刊誌やら……。さっさと処分すれば よいもの ばかりが、壁に押しつけるようにして、積み上げられていた。
・・・・・・
「決めたわ。ここに しましょう!
ミコちゃん、トマレさん、ここの壁を使うわ。
古雑誌も使えるわ。
最高にステキな ひなだんが つくれるわ」
つぐみは、ニッコリ笑うと、がらくた置き場だった西壁を、トントントン。と、3回たたいた。
「ミコ、わかったわ!
この かべに、まほうを かけるのね。
そうでしょ、つぐみちゃん?」
ミコの はしゃぐ声が、今朝の泣き声より大きくなった。
「しいっ、ミコちゃん。静かに話しましょう。
つぐみちゃんが、魔法使いだってことは、ほかの人に知られてしまうと、とても困るの。
つぐみちゃんは、魔法の国へ連れもどされてしまうのよ」
それからミコが聞かされた、魔法使いの おはなしは、こんな おはなしだった。
まずは、ひなだんを どこにするか、決めましょうね」
部屋に上がり込むなり、つぐみは狭い1DKを、ぐるーりと見回した。
つぐみと娘との やりとりを、ただ あんぐりと大口を開けて、見ているだけだったトマレも。
みんなの様子を、意味ありげに含み笑いしながら見守っていた司も。
身も心もすっかり、つぐみの とりこに なったミコも。
つぐみの動きに つられて、三人並んで、ぐるーりと、頭をまわした。
この部屋に、ひなだんを置ける場所なんて、あるのだろうか?
南北に長い1DKルームは、南側に たったひとつの窓。
東側には、備え付けのクローゼット。
北側はキッチンで、その向こうが、ほんの形ばかりの玄関だ。
残る西側は、古雑誌やら週刊誌やら……。さっさと処分すれば よいもの ばかりが、壁に押しつけるようにして、積み上げられていた。
・・・・・・
「決めたわ。ここに しましょう!
ミコちゃん、トマレさん、ここの壁を使うわ。
古雑誌も使えるわ。
最高にステキな ひなだんが つくれるわ」
つぐみは、ニッコリ笑うと、がらくた置き場だった西壁を、トントントン。と、3回たたいた。
「ミコ、わかったわ!
この かべに、まほうを かけるのね。
そうでしょ、つぐみちゃん?」
ミコの はしゃぐ声が、今朝の泣き声より大きくなった。
「しいっ、ミコちゃん。静かに話しましょう。
つぐみちゃんが、魔法使いだってことは、ほかの人に知られてしまうと、とても困るの。
つぐみちゃんは、魔法の国へ連れもどされてしまうのよ」
それからミコが聞かされた、魔法使いの おはなしは、こんな おはなしだった。
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