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第二十話 警備隊員
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潜入中に、外が騒がしくなった。急いで天井裏へ身を潜めると、ドアが勢いよく開き、部屋の中に五人程入ってきた。
「服装的に、警備隊の人たちみたいね」
「なにか事件があったのかな?」
綾人と冬美は、バレない程度にヒソヒソと話す。暗くて口元が見づらいのと、下が騒がしいので声が聞こえにくくなっていると判断し、直接無声音でやり取りする。
警備隊の人たちは、外から持ってきたいくつかの書類を元に、新たになにか作成しているようだ。
「おい、犯人の目星はついたか?」
「いえ全く。 そもそも何を使って殺されたのかすらわからないんですよ!」
「人の体をあそこまでバラバラにするのは魔法でも既存の武器でも無理です!」
どうやらバラバラ殺人事件が起きたらしい。慌ただしく作業している警備隊の人たちは、全員実際に現場を見てきたようで一部の人は吐き気をこらえている様子の人もいる。相当グロテスクだったことがうかがえる。
「やっぱりターゲットの仕業かなぁ」
「その可能性は高いね。 ヨーヨーって、そんな殺傷能力高くすることが出来るのかな」
「めちゃくちゃ細い糸を高速で触れさせればいけるんじゃない?」
「そうかもな。 でも骨を断ち切るとなると耐久性が心配になる。 そう何回も使えないだろ」
もしかしたらヨーヨーは、他の世界から持ち込まれたものかもしれない。でなかったとしたらいくつか予備を持っている可能性も出てくる。どっちにしろ攻略は困難なものになるだろう。
「そういえば端にいる人、さっきからお腹抱えてない?」
「あぁ、そうだな」
綾人達が注目したのと同時に、同僚とみられる警備隊員が声をかけた。そのまま二人は、別の部屋に移動する。
吐き気をもよおしている人など体調がすぐれない人が大半だから仕方ない。途中で別の部屋に移動するのもおかしいことではない。とはいえ一応綾人は観察することにした。
「コスモポリタンはここで待機してて」
「了解。 十分後に」
「分かった」
綾人は天井裏にある配管らしきものを頼りに二人がいるであろう部屋を目指し、ほふく前進で進む。魔法が普及しても、インフラを保つには配管が必要らしい。
「まだまだ発展途上国だな」
綾人は昔任務で訪れた世界を思い返しながらつぶやく。あの世界はすべてのインフラを魔法に頼りきっていたためそもそも天井裏に身をひそめる隙間なんてなかった。
そう時間がかからないうちに目的の場所についた。覗くのに都合の良い隙間は残念ながら見つからなかったため、天井の板を持ってきた道具を使って少しずらし、その隙間から覗く。
綾人が向ける視線の先には、途中退出した二人の姿があった。今度は立場が逆転していて、声をかけた方がうずくまっている。
二人の服装はどちらも制服なため一緒だが、帽子の色が違う。二人しか部屋にいないのにわざわざ帽子を交換するとは考えにくいので、入れ替わっている可能性はないだろう。それに、聞こえる声の位置からも、その可能性は否定されている。
「大丈夫か?」
「あぁ」
「今日のは昨日よりもひどかったな。 配属されたばかりだっていうのに最悪だぜ」
「全くだよ」
どうやら二人は、新役員のリストにいたメンバーの一部だったらしい。残念ながらここからでは帽子が邪魔で顔が見えない。
綾人は腰ベルトから転写機(とある世界ではカメラという)を取り出し、撮影する。もちろん、音も光も発することはない。
あとは、このカメラから背丈とか体つきをリストと参照して、人物を割り出すだけだ。顔が見えなくとも割り出す方法はいくらでもある。
「あ、リストを撮るの忘れてた」
肝心なものを忘れてしまっていた綾人であったが状況が状況なので仕方がない。今回は人がいなくなることはなさそうなので次回以降の任務になるだろう。
綾人は一瞬、荒業として、腰ベルトにある睡眠ガスを噴射し、一度眠らせようかなと考えたが、不信感を抱かれては今後の動きに関わるので大人しく冬美のもとに戻っていった。
「おかえり~」
「こっちは問題なかったけどそっちはどう?」
「特になにもないかな。 さっきから事務作業ばかりみたいで動きがなくなってきてる」
「そろそろ離脱するか」
「そうだね」
「服装的に、警備隊の人たちみたいね」
「なにか事件があったのかな?」
綾人と冬美は、バレない程度にヒソヒソと話す。暗くて口元が見づらいのと、下が騒がしいので声が聞こえにくくなっていると判断し、直接無声音でやり取りする。
警備隊の人たちは、外から持ってきたいくつかの書類を元に、新たになにか作成しているようだ。
「おい、犯人の目星はついたか?」
「いえ全く。 そもそも何を使って殺されたのかすらわからないんですよ!」
「人の体をあそこまでバラバラにするのは魔法でも既存の武器でも無理です!」
どうやらバラバラ殺人事件が起きたらしい。慌ただしく作業している警備隊の人たちは、全員実際に現場を見てきたようで一部の人は吐き気をこらえている様子の人もいる。相当グロテスクだったことがうかがえる。
「やっぱりターゲットの仕業かなぁ」
「その可能性は高いね。 ヨーヨーって、そんな殺傷能力高くすることが出来るのかな」
「めちゃくちゃ細い糸を高速で触れさせればいけるんじゃない?」
「そうかもな。 でも骨を断ち切るとなると耐久性が心配になる。 そう何回も使えないだろ」
もしかしたらヨーヨーは、他の世界から持ち込まれたものかもしれない。でなかったとしたらいくつか予備を持っている可能性も出てくる。どっちにしろ攻略は困難なものになるだろう。
「そういえば端にいる人、さっきからお腹抱えてない?」
「あぁ、そうだな」
綾人達が注目したのと同時に、同僚とみられる警備隊員が声をかけた。そのまま二人は、別の部屋に移動する。
吐き気をもよおしている人など体調がすぐれない人が大半だから仕方ない。途中で別の部屋に移動するのもおかしいことではない。とはいえ一応綾人は観察することにした。
「コスモポリタンはここで待機してて」
「了解。 十分後に」
「分かった」
綾人は天井裏にある配管らしきものを頼りに二人がいるであろう部屋を目指し、ほふく前進で進む。魔法が普及しても、インフラを保つには配管が必要らしい。
「まだまだ発展途上国だな」
綾人は昔任務で訪れた世界を思い返しながらつぶやく。あの世界はすべてのインフラを魔法に頼りきっていたためそもそも天井裏に身をひそめる隙間なんてなかった。
そう時間がかからないうちに目的の場所についた。覗くのに都合の良い隙間は残念ながら見つからなかったため、天井の板を持ってきた道具を使って少しずらし、その隙間から覗く。
綾人が向ける視線の先には、途中退出した二人の姿があった。今度は立場が逆転していて、声をかけた方がうずくまっている。
二人の服装はどちらも制服なため一緒だが、帽子の色が違う。二人しか部屋にいないのにわざわざ帽子を交換するとは考えにくいので、入れ替わっている可能性はないだろう。それに、聞こえる声の位置からも、その可能性は否定されている。
「大丈夫か?」
「あぁ」
「今日のは昨日よりもひどかったな。 配属されたばかりだっていうのに最悪だぜ」
「全くだよ」
どうやら二人は、新役員のリストにいたメンバーの一部だったらしい。残念ながらここからでは帽子が邪魔で顔が見えない。
綾人は腰ベルトから転写機(とある世界ではカメラという)を取り出し、撮影する。もちろん、音も光も発することはない。
あとは、このカメラから背丈とか体つきをリストと参照して、人物を割り出すだけだ。顔が見えなくとも割り出す方法はいくらでもある。
「あ、リストを撮るの忘れてた」
肝心なものを忘れてしまっていた綾人であったが状況が状況なので仕方がない。今回は人がいなくなることはなさそうなので次回以降の任務になるだろう。
綾人は一瞬、荒業として、腰ベルトにある睡眠ガスを噴射し、一度眠らせようかなと考えたが、不信感を抱かれては今後の動きに関わるので大人しく冬美のもとに戻っていった。
「おかえり~」
「こっちは問題なかったけどそっちはどう?」
「特になにもないかな。 さっきから事務作業ばかりみたいで動きがなくなってきてる」
「そろそろ離脱するか」
「そうだね」
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