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真相究明
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瑾曦様の推理を受け、私は『いやいや』と薄ら笑いを浮かべた。
「まさか、自分で自分の料理に水仙を混ぜたと? 雪花に命令されたという理由だけで?」
「死ぬことは滅多にないんだ、自らがお仕えする上級妃が命じればやるだろう。……特に、铃という侍女は皇帝陛下や張の爺さんが名前を覚えてしまうほどに忠誠心が高い女だ」
「自らの侍女に毒を食べさせるなんて、何のために?」
「そうだねぇ……。皇帝からの歓心を買うために、とかかな? なにせ前々から噂になっていた皇帝の初恋相手・凜風がやって来たんだ。焦ったとしても不思議じゃない。妊娠したばかりの妃が毒で狙われたとなれば、あの陛下だって心配してくれるだろう。……実際、事件の次の日には朝から雪花の宮を訪れたのだからね」
凜風が付いてきて丸投げしたのは予想外だっただろうがね。と、瑾曦様は付け足した。
「まるで欧羅の名探偵みたいですね」
「めいたんてい?」
「欧羅の物語で、事件を解決する人間をそう呼ぶのだそうですよ。明晰な頭脳と深い知識を持ち、事件現場に赴けばその鋭い観察力で証拠を見つけ、もしも犯人が抵抗しても制圧できるだけの力がある……」
「……それはあたしじゃなくて凜風の方が相応しいね」
「いえいえ私なんて。名探偵にはなれませんよ。事件の解決だとか、真相の究明になんてまるで興味がないのですから」
やれやれと首を横に振る私。瑾曦様の目は厳しいまま。どうやら追及の手を緩めるつもりはないみたい。
さて、どうしたものかなと私が悩んでいると――
「――お待ちください!」
まだ年若い少女の声が響き渡った。
振り向いた先にいたのは雪花の侍女・铃ちゃん。毒を食べたばかりとは思えない、まるで罪の告発をする正義の味方のような強い目をしている。
いや、事実として。雪花に無実の罪を着せようとしている私たちは、铃ちゃんにとって罪人でしかないのでしょう。
気丈にも私たちを睨め付けながら铃ちゃんは断罪した。
「雪花様は悪くありません! 何も知らなかったんです! ――私が! 自分の意思で! 勝手に毒を食べたのですから!」
「……へぇ?」
まるで全てを見抜いているかのような目で瑾曦様が笑う。
「じゃあ、あんたは雪花に命令されたわけじゃなく、自分の意思で毒を食べたと? 何のために? まさか、自分が毒を食べれば皇帝陛下が心配してくれるからと……?」
「もちろんです!」
「あぁ、そういうことか。自分も陛下の『お手つき』になって妃に――」
「危うく毒を食べそうになったとなれば、陛下も雪花様を心配してくださるでしょう! 今まで以上にお通りも多くなるはずです!」
「……え?」
自分のためではなく、雪花のために。
その答えが予想外だったのか瑾曦様が目を見開いた。
そんな彼女に構うことなく铃ちゃんがまくし立てる。
「だって陛下は雪花様にまるで興味を示してくださらないんですよ!? せっかくご懐妊されたのに! だから私は毒を食べたのです! 凜風様に負けないよう! そうすれば陛下も心配してもっと雪花様のところに来てくださるはずです! そうならなければいけないのです! なぜなら雪花様ほど皇后に相応しい御方はいないのですから――痛い!?」
あまりにも自分勝手な物言いに、思わず铃ちゃんの頭に手刀を叩き込んでしまった私である。
「いいかげんにしなさい」
「り、凜風様……?」
「雪花は確かに聡明で、見た目より度胸があって、私なんかより遥かに皇后に相応しい人間なのでしょう。……でもね、雪花は本当に皇后になりたがっているの?」
「そ、それはもちろん……」
「もちろん? よく思い出してみなさい。一度でも、雪花の口から『皇后になりたい』と発せられたことがあるの? 誰かから求められて肯定したことはあっても、自分の意思で、自分の言葉で意思表示したことがある?」
「そ、それは……。…………」
思い当たる節があったのか、力なく床に両膝を突く铃ちゃんだった。
あーあ……。だから推理とか、真相究明とか嫌いなのよね。
これ、どうするんですか瑾曦様?
「まさか、自分で自分の料理に水仙を混ぜたと? 雪花に命令されたという理由だけで?」
「死ぬことは滅多にないんだ、自らがお仕えする上級妃が命じればやるだろう。……特に、铃という侍女は皇帝陛下や張の爺さんが名前を覚えてしまうほどに忠誠心が高い女だ」
「自らの侍女に毒を食べさせるなんて、何のために?」
「そうだねぇ……。皇帝からの歓心を買うために、とかかな? なにせ前々から噂になっていた皇帝の初恋相手・凜風がやって来たんだ。焦ったとしても不思議じゃない。妊娠したばかりの妃が毒で狙われたとなれば、あの陛下だって心配してくれるだろう。……実際、事件の次の日には朝から雪花の宮を訪れたのだからね」
凜風が付いてきて丸投げしたのは予想外だっただろうがね。と、瑾曦様は付け足した。
「まるで欧羅の名探偵みたいですね」
「めいたんてい?」
「欧羅の物語で、事件を解決する人間をそう呼ぶのだそうですよ。明晰な頭脳と深い知識を持ち、事件現場に赴けばその鋭い観察力で証拠を見つけ、もしも犯人が抵抗しても制圧できるだけの力がある……」
「……それはあたしじゃなくて凜風の方が相応しいね」
「いえいえ私なんて。名探偵にはなれませんよ。事件の解決だとか、真相の究明になんてまるで興味がないのですから」
やれやれと首を横に振る私。瑾曦様の目は厳しいまま。どうやら追及の手を緩めるつもりはないみたい。
さて、どうしたものかなと私が悩んでいると――
「――お待ちください!」
まだ年若い少女の声が響き渡った。
振り向いた先にいたのは雪花の侍女・铃ちゃん。毒を食べたばかりとは思えない、まるで罪の告発をする正義の味方のような強い目をしている。
いや、事実として。雪花に無実の罪を着せようとしている私たちは、铃ちゃんにとって罪人でしかないのでしょう。
気丈にも私たちを睨め付けながら铃ちゃんは断罪した。
「雪花様は悪くありません! 何も知らなかったんです! ――私が! 自分の意思で! 勝手に毒を食べたのですから!」
「……へぇ?」
まるで全てを見抜いているかのような目で瑾曦様が笑う。
「じゃあ、あんたは雪花に命令されたわけじゃなく、自分の意思で毒を食べたと? 何のために? まさか、自分が毒を食べれば皇帝陛下が心配してくれるからと……?」
「もちろんです!」
「あぁ、そういうことか。自分も陛下の『お手つき』になって妃に――」
「危うく毒を食べそうになったとなれば、陛下も雪花様を心配してくださるでしょう! 今まで以上にお通りも多くなるはずです!」
「……え?」
自分のためではなく、雪花のために。
その答えが予想外だったのか瑾曦様が目を見開いた。
そんな彼女に構うことなく铃ちゃんがまくし立てる。
「だって陛下は雪花様にまるで興味を示してくださらないんですよ!? せっかくご懐妊されたのに! だから私は毒を食べたのです! 凜風様に負けないよう! そうすれば陛下も心配してもっと雪花様のところに来てくださるはずです! そうならなければいけないのです! なぜなら雪花様ほど皇后に相応しい御方はいないのですから――痛い!?」
あまりにも自分勝手な物言いに、思わず铃ちゃんの頭に手刀を叩き込んでしまった私である。
「いいかげんにしなさい」
「り、凜風様……?」
「雪花は確かに聡明で、見た目より度胸があって、私なんかより遥かに皇后に相応しい人間なのでしょう。……でもね、雪花は本当に皇后になりたがっているの?」
「そ、それはもちろん……」
「もちろん? よく思い出してみなさい。一度でも、雪花の口から『皇后になりたい』と発せられたことがあるの? 誰かから求められて肯定したことはあっても、自分の意思で、自分の言葉で意思表示したことがある?」
「そ、それは……。…………」
思い当たる節があったのか、力なく床に両膝を突く铃ちゃんだった。
あーあ……。だから推理とか、真相究明とか嫌いなのよね。
これ、どうするんですか瑾曦様?
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