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学舎編 一
比良坂師の巻物 ☆ちょっと性描写あり
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宿舎から大広間への移動が始まってから、ナジュと桃栗を見ているのは神様候補達だけではなかった。挨拶の為に集まった師達が待機する別室から抜け出して、学舎の天井に密かに作った秘密の道を通る者が居た。麒麟と号左が話していた比良坂である。
「さてさて…垂涎の美人達は無事に辿り着いているのか…。此度は4人も見目麗しい者がいて、これからの日々が楽しみであるな…ヒヒ」
邪心潜む独り言を聞く者は居ない。この通路は比良坂以外は知らぬ場所で、溜まりに溜まった埃が一歩進むごとに舞い、真新しい足跡が着いていく。比良坂は袖で口元を覆い、床の隙間から見える廊下の景色を見下ろす。緊張した面持ちの神様候補の中に、比良坂が目を付けた美男子を発見した。
「あれは…!」
廊下を歩いていたのは双面忌福の君の御手付き様であるナジュ。比良坂は埃が着物を汚すのも厭わず、床の隙間に顔を近づけた。ナジュは他の神様候補を少し気にしながらも凛とした雰囲気で前を見据えていた。その表情を見て、髪と着物の間から覗く無防備な首筋を見て、支給服で隠された身体を懸想する。
「グフ……何とも美味そうな美男子…!双面様といえば伴侶も妾も持たぬ実直な方との噂だ……そのような神様を落とした手管…男神様の御手付き様という経歴は……当然その身を技を持って神様を日々癒してきたはず…!きっとあの澄ました顔の下には、この世の淫の悉くを詰め込んだ様な好き者が潜んでいるに違いない」
比良坂はこの日まで後生大事に隠していた巻物を懐から取り出す。これは呪いの掛かった特殊な呪物で、特定の相手の現在の姿を浮き上がらせる事が出来、また特別な呪いの掛かった筆で印を入れる事でその場面を巻物に封印しておく事もできる。ナジュの推薦状が届いてから、この希少な巻物を利用して度々ナジュの姿を覗いていた。
「茂籠茶老様の読座は、このような素晴らしい品を生み出す力があるとは」
この巻物の名は、夢想望遠の書。比良坂が学舎の師として、その知恵を神様候補達に授ける礼として茂籠茶老が贈った品である。この巻物を神様候補の選定が始まる度に受け取っており、比良坂の邸宅には同じ巻物が幾つも積み上がっている。さっそく出した巻物を広げると、巻物は比良坂が封印した光景を浮かび上がらせた。
「何時みても絶景…!この猿の様な助平そうな男が居なければ言う事なしなのだが…」
比良坂が偶然目にしたその光景は、主様の御渡り前ナジュが股右衛門の不埒な手によって陰茎を掴まれている場面であった。熱に浮かされたように上気し、陰茎と胸飾りを弄ばせている、というのが比良坂の認識である。
「この後に交わりも見られるのではないかと期待したが、主との共寝だけとは。でもまあ、この淫らな姿を手に入れただけでも十分、当の本人がこの学舎に居るのだからな…!この淫らな胸装飾は今もあの場所に…?」
比良坂は自身の着物の下に手を差し入れ、ごそごそと手を動かしていた。ナジュやその他の神様候補のあられもない姿を巻物に封印し、夜毎それを使って欲望を発散するのが比良坂の筆禍である。今、その脳内ではナジュが邪悪な妄想の餌食となり、股右衛門の姿を比良坂の姿に置換して淫らな行為に及ぶ妄想を展開していた。
「さてさて…垂涎の美人達は無事に辿り着いているのか…。此度は4人も見目麗しい者がいて、これからの日々が楽しみであるな…ヒヒ」
邪心潜む独り言を聞く者は居ない。この通路は比良坂以外は知らぬ場所で、溜まりに溜まった埃が一歩進むごとに舞い、真新しい足跡が着いていく。比良坂は袖で口元を覆い、床の隙間から見える廊下の景色を見下ろす。緊張した面持ちの神様候補の中に、比良坂が目を付けた美男子を発見した。
「あれは…!」
廊下を歩いていたのは双面忌福の君の御手付き様であるナジュ。比良坂は埃が着物を汚すのも厭わず、床の隙間に顔を近づけた。ナジュは他の神様候補を少し気にしながらも凛とした雰囲気で前を見据えていた。その表情を見て、髪と着物の間から覗く無防備な首筋を見て、支給服で隠された身体を懸想する。
「グフ……何とも美味そうな美男子…!双面様といえば伴侶も妾も持たぬ実直な方との噂だ……そのような神様を落とした手管…男神様の御手付き様という経歴は……当然その身を技を持って神様を日々癒してきたはず…!きっとあの澄ました顔の下には、この世の淫の悉くを詰め込んだ様な好き者が潜んでいるに違いない」
比良坂はこの日まで後生大事に隠していた巻物を懐から取り出す。これは呪いの掛かった特殊な呪物で、特定の相手の現在の姿を浮き上がらせる事が出来、また特別な呪いの掛かった筆で印を入れる事でその場面を巻物に封印しておく事もできる。ナジュの推薦状が届いてから、この希少な巻物を利用して度々ナジュの姿を覗いていた。
「茂籠茶老様の読座は、このような素晴らしい品を生み出す力があるとは」
この巻物の名は、夢想望遠の書。比良坂が学舎の師として、その知恵を神様候補達に授ける礼として茂籠茶老が贈った品である。この巻物を神様候補の選定が始まる度に受け取っており、比良坂の邸宅には同じ巻物が幾つも積み上がっている。さっそく出した巻物を広げると、巻物は比良坂が封印した光景を浮かび上がらせた。
「何時みても絶景…!この猿の様な助平そうな男が居なければ言う事なしなのだが…」
比良坂が偶然目にしたその光景は、主様の御渡り前ナジュが股右衛門の不埒な手によって陰茎を掴まれている場面であった。熱に浮かされたように上気し、陰茎と胸飾りを弄ばせている、というのが比良坂の認識である。
「この後に交わりも見られるのではないかと期待したが、主との共寝だけとは。でもまあ、この淫らな姿を手に入れただけでも十分、当の本人がこの学舎に居るのだからな…!この淫らな胸装飾は今もあの場所に…?」
比良坂は自身の着物の下に手を差し入れ、ごそごそと手を動かしていた。ナジュやその他の神様候補のあられもない姿を巻物に封印し、夜毎それを使って欲望を発散するのが比良坂の筆禍である。今、その脳内ではナジュが邪悪な妄想の餌食となり、股右衛門の姿を比良坂の姿に置換して淫らな行為に及ぶ妄想を展開していた。
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